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弁護士コラムvol.77 「ご近所との騒音トラブル」 榎本紀子

2014年7月4日 公開 / 2019年6月17日更新

テーマ:弁護士コラム/いろいろ

山下江法律事務所 弁護士 榎本紀子
1 先日、隣家の車のドアの開閉音がストレスだったとして自分の排泄物を隣家に投げつけた女性が、東京都迷惑防止条例違反で逮捕されたという報道に触れました。この件はやや極端な例ですが、騒音をめぐってご近所同士でトラブルになるケースは多数あると思います。今日は、具体的な裁判例を見ながら、大きなトラブルとならないために普段からどのようなことを心がけるべきか、実際にトラブルになってしまったらどのように対応すべきかについてお話します。

2 まず、人が生活するのに全く音を出さないというのは不可能で、話し声、テレビや音楽プレイヤーの音、子どもが泣く声や走り回る音、洗濯機や掃除機等の音等、様々な音がどうしても生じます。これらの音が生じるのはお互い様なので、社会共同生活を送る上で一定の限度までは受け入れて我慢しなければなりません。
 ではどこまで我慢すべきか、という限界は、裁判例では「受忍限度」の問題として論じられ、騒音を出す行為の性質と内容、地域環境、騒音を出す行為の開始とその後の継続の経過及び状況、その間にとられた被害防止措置の有無や内容・効果等の事情を考慮して総合的に判断されることになります。受忍限度を超える騒音について、裁判所は損害賠償を命じたり、音を出す行為をやめるよう指示したりする判断を出しています。

3 東京地裁平成19年10月3日判決では、マンションの階上の部屋で子どもが廊下を走ったり跳んだり跳ねたりする音が、階下の住民受忍限度を超えるとして子どもの親に慰謝料30万円の損害賠償責任を負わせました。問題が起きたマンションは、床の遮音性能がやや劣る水準であった上、ファミリー向けの物件で子どもが居住することが予定されていました。それでも、問題の音が数値で見てもかなり大きく聞こえるレベルで長時間連続して聞こえるものであったことに加え、音を出す側としては子どものしつけ等住まい方を工夫し、苦情を訴えてきた階下の住人に対して誠意ある対応をとるべきであったのにそれをしなかったということが考慮され、受忍限度を超えるという判断となっています。
  騒音に対する受けとめ方は、個人の感覚や感受性に左右され、音を出す側の日頃の住まい方に対する姿勢やご近所に対する配慮・対応により、受け取る側の騒音の気になり具合が異なると言われています。大きなトラブルになる前に、できる限り音が外に響かないよう住まい方を工夫したり、音を立てていることについて「うるさくありませんか」とご近所へ声をかけたりする等、お互いに相手の生活環境を尊重し、配慮する意識をもつことが大切なのではないかと思います。

4 実際にトラブルになってしまった場合でも、今後もご近所付き合いを続けていかなければならないので、できる限り円満に解決することが肝要です。その意味で、当人同士やマンションの管理組合等に間に入ってもらっての話し合いで解決できることが一番でしょう。
 その場合、感情的な対立を招かないため、被害側は加害側に実際の騒音を聞いてもらったり、騒音計で測定した数値を見てもらったりして、客観的な騒音の状況について双方で共通認識をもってもらうようにするのがいいと思います。はじめのうちから継続的に騒音を録音したり、騒音計で記録したりして客観的なデータを残しておけば、万が一訴訟になった場合の立証資料にもなります。
 当人同士で解決ができなかった場合でも、いきなり訴訟を起こすのではなく、民事調停や弁護士会の紛争解決(仲裁)センターへの申立て等、法律の専門家の関与する話し合いで解決策を模索するのがよいと思われます。
 ご近所との騒音トラブルは、誰もが巻き込まれる可能性のある問題である上、自分の生活環境に関する問題であるから、どう対応するかがその人の人生を大きく左右します。トラブルに悩まされている方、是非一度弁護士にご相談ください。
 

 執筆者:弁護士 榎本 紀子 (広島弁護士会所属) ※2014.8退所


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