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山下江

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山下江(やましたこう)

山下江法律事務所

コラム

弁護士・江さんの何でも法律相談「残業代の不払い」

2011年5月10日 / 2014年7月4日更新

2011/5/2(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「残業代の不払い」について


■残業代の不払い
相談者 41歳/女性

Q: 私の夫は、社員100人程度の会社に勤務しており、毎日遅くまで残業を余儀なくされています。
 しかし、残業代がほとんど支払われていないのです。
 夫は、「みんなそうなのだから仕方ない」と言っていますが、私は納得できません。何か良い方法はないものでしょうか?

A: だんなさんの残業は、いわゆる「サービス残業」といわれるものですね。
 しかし、残業に「サービス」というものはありません。
 真実は残業代不払いの残業であり、いうまでもなくこれは違法行為にあたります。

Q: 違法行為?

A: そうですね。法律に反しています。
 労働基準法は、残業に関して「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、割増賃金を支払わなければならない」としています。
 すなわち、残業をした場合には、正規の賃金に一定の割増率を加えた賃金を支払わなければいけない、ということを法律に定めています。

 ちなみに割増率は、通常の残業では25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働(午後10時~午前5時)は25%以上とされています。
 また、平成22年4月1日以降は、1ヶ月の時間外労働の時間数が60時間を超えた部分については、割増率が50%以上に引き上げられております。なお、中小企業については、当面その適用が猶予されています。

Q: 重複する場合、例えば、深夜労働で残業する場合は、どうなるのでしょうか。

A: 割増率が合算されることになります。通常の時間外労働を深夜労働として行った場合は、25%+25%で、50%以上となるわけです。
 休日労働が深夜に及んだ場合は、35%+25%で、60%以上の割増率、つまり160%の賃金を払わなければいけません。

Q: 法律で、いろいろと決められているのですね。
 でも、私の周りにも、サービス残業をしているサラリーマンがけっこういます。残業代を支払っていない会社には、なにか罰則というものはあるのでしょうか?

A: 残業代の不払いについては、使用者(会社)に対して、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処すると定められています。
 ただ、場合によっては、残業代としては払っていないけれども、「職務別手当」等の別の名目で実質的には残業代がそこに含まれている場合もあります。あるいは時間の計算のしようがない種類の労働で、そもそも残業代がつかない場合もあります。どういう労働をしているのか実態を見て、給与明細の構成を確認することも大事です。
 この相談者のだんなさんは、どうなんでしょうかね?

Q: 残念ながら、この相談者のだんな様は、「職務別手当」などの手当てはないようです。この問題、解決する方法って、あるのでしょうか?
   
A: 一般的には、労働基準監督署に残業代不払の事実を申告して、是正措置の指導等をしてもらうのがいいでしょうね。

Q: 労働基準監督署に言いに行くわけですね。ということは、後々会社に申告したことが分かって居づらくなる、なんてことはないのでしょうか?

A: そうですね。ですから、会社を辞めた後に、それまでの残業代を請求する人が多いですね。ただ、その場合に請求できるのは、2年分のみです。

Q: どうしてですか。

A: 残業代請求権は給料債権ですから、2年の時効にかかるからです。ですから2年より前の残業代は時効にかかっていて請求できません。

Q: 仕事を続けたい場合もあると思います。会社を辞める前に、手を打つ良い方法はありませんか。

A: 勇気を持って、会社にキチンと話しをすることかなと思いますが、それもやりにくいという人は、労働基準監督署に申告すること、その際には、使用者に対しては匿名になるように要請することです。
 労働基準監督署は、申告者に迷惑にならない方法で会社への調査等を行い、是正勧告を行ってくれます。

Q: 匿名でも受け付けてもらえるのですね。

A: そうですね。この場合にも、先ほど述べた時効の問題があり、未払い分の残業代を支払ってもらえるのは過去2年分に限られます。

Q: 今日の相談は労働者側からですが、経営者の方の対して、何か助言はあるでしょうか。

A: そうですね。企業側においては、日頃から法律に則った経営をしていくことです。残業代を支払わないままにしておくと、請求された場合に、一人当たり300万~500万円の請求権が発生することは、ざらにあります。
 また、賃確法という賃金を確保する法律より、遅延損害金は14.5%となります。

Q: 残業代とは別に遅延損害金も支払うことになるのですね。

A: そうですね。場合によっては、裁判所によって、未払い賃金と同額の付加金の支払を命じられることもあります。

Q: まだあるのですね。

A: そうです。金額が2倍になってしまいます。こういう支払が命じられることもあるのです。
 当事務所においては、企業側、労働者側の双方から、残業代についての相談や受任が増えております。企業は法律に則った経営、コンプライアンス経営が、結局は企業の発展になりますので、くれぐれもご注意、ご理解ください。



■次回のテーマ
「出資金の返還」について
2011/5/9(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)


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