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コラム

空き家の管理をするために必要な費用

2017年9月26日

テーマ:空き家

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 都市計画

親から空き家を相続して実感するのが、管理にかかるコストの高さです。誰も住んでいなくても固定資産税や維持管理費が毎年発生し続けます。

お金をかけたくないと放置すれば、まわりに迷惑をかける「特定空き家」と認定されかねません。
問題が小さなうちは修繕や回復に手間も費用もそれほどかかりません。最低限の維持管理をすることが、結局は管理費を抑えることにつながります。

不動産を保有している時点で発生するコスト

空き家の管理をする上で、まず大きな出費となるのが固定資産税です。全ての土地や家屋に課される税金です。空き家であろうとなかろうと関係はなく、毎年1月1日時点での所有者に支払い義務があります。
固定資産税の評価税率は1.4パーセントです。ただし軽減措置があります。土地に建物があれば次のように評価額が下がり、固定資産税も安くなります。

・建物がない更地 
→ 固定資産税評価額×1.4パーセント
・建物がある土地で住宅1戸200平方メートル以下の部分
 → 固定資産税評価額×1/6×1.4パーセント
・建物がある土地で住宅1戸200平方メートルを超える部分
 → 固定資産税評価額×1/3×1.4パーセント

このような住宅用地特例があるために、急いで更地にせずに空き地のままにしておく人が多くなっているのです。

不動産が都市計画法による市街化区域とされる地域にあるのならば、さらに都市計画税も課税されます。こちらに関しては最高限度0.3パーセントとされています。固定資産税と同様に軽減措置があり最大1/3まで軽減されます。

今度は具体的な金額を出してみましょう。

地方の木造一戸建てでみていきます。
(取得から4年目以降。建物の延べ床面積150平方メートル。土地面積150平方メートル。建物評価額900万円。土地評価額1,800万円)
固定資産税 建物12万6,000円 土地4万2,000円
都市計画税 建物2万7,000円 土地1万8,000円
計21万3,000円

東京23区内のマンションの例で考えてみます。
(取得から6年目以降。専有面積70平方メートル。共用部分の持ち分を加えた面積90平方メートル。土地の持分面積20平方メートル。建物評価額900万円。土地持分評価額1,200万円)
・固定資産税 建物12万,6000円 土地2万8,000円
・都市計画税 建物2万7,000円 土地6,000円
計18万7,000円

実際に空き家となる家は築年数がより古いので、建物にかかる税額はもう少し下がります。それでも土地については変わりません。住んでいない不動産に年間これほどのお金が取られてしまうのです。

さらに、土地や建物にまだ支払いの終わっていない住宅ローンが残っていたとしたら、その負債も不動産とともに引き継がなければなりません。

管理するためのコスト

特定空き家にしないためには、放置せずに定期的に様子を見に行かなくてはなりません。遠方にあるのであれば、そこまでの交通費もかかります。もし持ち主が東京在住であれば、広島までの新幹線往復で4万円近くかかります。

掃除や片付けのためには、電気や水道を使いたいので契約も解除できません。毎月の水道と電気の基本料金が発生します。地域にもよりますが中国電力のスマートコースで契約する場合は電気を使用しない月の料金は251円です。水道は呼び径が20ミリの場合であると2カ月で1,620円、下水は1,390円です。1カ月では1,505円となります。電気と水道を使わなくても毎月1,755円近く出ていくことになります。

また、庭木の剪定を業者に依頼すれば費用はかかります。外壁の塗装や修繕などもその都度行わなければなりません。一戸建てではなくマンションだった場合には、管理費や修繕積立金が毎月徴収されます。

庭木の手入れや敷地内の見回りのために季節ごとに訪れるのが望ましいです。時間と交通費をかけていくのを惜しんで何年も放置しておくと、かえって費用がかさむのです。

木も低いうちは剪定費用も高くはありませんが、梯子では届かなくなるほど伸びてしまうと格段に費用が跳ね上がります。屋根も定期的に塗り替えをしないと劣化が進み寿命が早まります。屋根が駄目になってしまえば天井や壁の中に水が浸入し、取り返しのつかないことになってしまいます。基礎のコンクリートにヒビが入っていても小さなうちならば、数千円の補修材でコーキングするだけです。しかし寒冷地でそのままにしておくと、入り込んだ水が凍りヒビを広げてしまいます。

水を流していない期間が長ければ水道管も傷みます。軟水の日本では水道管に錆が発生しやすく、通水していないと大きなトラブルにつながりやすくなります。床下や地中の配管漏れが起こると補修費は15万円から100万円にも及びます。
このように、こまめに点検をしておくことが結果として管理コストが抑えられるのです。

遠方に所有していたり体の自由が利かなかったりして大きな負担となる場合は、業者に依頼することもできます。

空き家管理業者や空き家巡回業者を利用した場合、1回につき3,000円から6,000円程度で換気や通水、庭先の清掃、郵便物の回収を引き受けてもらえます。空き家までの交通費よりも安くなる場合もあります。参入しているのは運送業者、不動産業者、建築業者、何でも屋など幅広いため、内容と料金もまちまちです。一度は地元の業者を調べて実情を把握しておきましょう。

ほかに、利用できるサービスとして高齢者を派遣するシルバー人材センターがあります。行政が関与しているためトラブルの心配も少なく、比較的安価で依頼できます。重労働となる業務は受けていないこともありますが、剪定やふすまの張替えなどは依頼できます。
庭が広いのであれば植木屋に依頼するのもよいでしょう。ただし、裕福な層を相手に仕事をすることが多いので費用が高めなこともあります。事前に見積を取り、作業内容と費用について明確にしてから取り掛かってもらいましょう。

この記事を書いたプロ

香川滋

遺品整理・空家整理・ごみ屋敷などの片付けのプロ

香川滋(こころテラス)

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