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コラム
国からの補助金を申請する際・交付決定後の注意点とは?
2022年4月28日
はじめに
国(どの省庁の管轄下は様々)・都道府県から,予算措置がつくと様々な補助金や助成金の
公募がなされています。各省庁や都道府県のHPに案内があり,最近では小規模事業者持続化
給付金や事業再構築補助金等が出ています。数年前に持続化給付金について不正申請があり刑
事事件があたということで記憶に新しいところかと思われます。
このうち,国からの補助金については補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補
助金適正化法)の規制を受けます。今回はこの法律の規制を中心に補助金のトラブルにならな
いために注意すべき点の一端を触れていきます。
補助金交付決定の意味は?国と都道府県で何が異なる?
国からの補助金の交付決定は行政処分と呼ばれるもので,補助金適正化法の規制を受けま
す。これに対し,都道府県からの補助金は申請者と都道府県との契約であって,公募要領や約款
の規制を受けることになります。
実際は公募要領や約款によって目的や事業要件などの規制がかかるので,大きくは異なりま
せん。特に,都道府県で公募要件や事業実態を満たさないのに交付決定を行い補助金を出す⇒
その後契約解除や返還請求を求めないとなると,内部監査での問題はもちろん住民監査請求や
住民訴訟によって返還を求めるよう促される可能性があるためです。
また,公募要領をよく読んで要件(契約の前提)や取得したものの処分制限や報告(しない
と契約解除)等は契約の内容となりますから,国からの補助金と同じくよく注意をしておく必
要があります。
行政処分と契約の違いについて触れておきます。契約は,お互いが内容や前提を決めてから
契約するもので,解除できるのは契約で決めた場合か債務不履行の場合になります。これに対
し,行政処分は国が法令の範囲でどうするか裁量を持ったうえで,一方的に補助金の交付をする
かどうか・一度交付しても取り消すかの判断をある程度自由に行うことができるというもので
す。不服申し立てについてもそのルートを含めかなり限定されます。
補助金のトラブルはどこで起きる?
補助金のトラブルはおこるかは段階があります。申請の段階や交付決定を受けた後の段階,
申請を代行した業者とのトラブルが考えられます。申請について要件を満たしていなかった・
実際は満たしていないの野に経費水増しやそもそも対象事業や目的を満たしていないのに満た
した風にごまかすと,交付決定を受けることができない・受けたとしても取消⇒返還や祭儀罪
などでの告発を受ける可能性があります。
申請代行業者とのトラブルは報酬金額の多寡をめぐるトラブル・契約書がなく契約内容が曖
昧である・報酬が高いために水増し請求をすることで,先ほど述べた取り消しや返還などの問
題が起こる可能性があります。
補助金適正化法の内容とは?
補助金適正化法は,国から支給される補助金や利子補給補助金等について,不正申請や不正利
用の防止などを目的として規定されています。そのすべてをここで触れることはできません
が,補助金の案内(公募要領)の注意書き・重要事項施5つ名にも記載されている重要事項が定
められています。
まず,補助金交付決定はいわゆる採択に関する根拠規定です。予算で定める補助金の目的と
適合するか・内容が適正か・金額に間違いがないかなどの観点から給付側が相当と認めるとき
とされており,ポイント付けなどで行政側の裁量が相当程度あります。ただ,他の規制の関係と
もかかわる補助金の目的と整合するか・内容が適正かつ真実か・金額が適正かといった取消
(返還)や罰則と関わる事項が定められています。
この話と裏腹の関係で,補助金事業の目的外の利用・交付決定の内容やつけられた条件への
違反があった場合には,補助金交付決定を行政側が取り消せるとされています。取り消すかど
うかは行政の裁量がはたらくところですが,国の予算(税金)から支給をするものですから,そ
の適正利用のため虚偽の申請や目的外利用等問題があるものは裁量の余地なく取り消される可
能性が高くなるものと思われます。
取り消し決定を受けると,補助金を受け取っている場合(交付決定後,申請に沿った際ビスや
物品の購入などを行いその報告をもって給付を受けるのが通常。交付決定≠お金が給付となる
わけではないのが多いかと思われます)には,年10.95%をつけて受け取ったお金の返還をする
必要があります。
同様に,取得した財産を一定期間は運営事務局サイドの承認なく譲渡や担保に出すことなど
ができないことも決められています。高い手数料を支払うその他の目的のために,水増し請求
をする(目的の沿わない支出を行う・一部虚偽の書類を使った請求)は取消以外に刑罰を受け
る可能性があります。こうしたことが定められています。
注意点とは?
先ほど触れました水増し請求や実態のない滋養での請求・書類に事実に反した記載をする
(空領収書など)ことになると,返還や刑罰のリスクがあります。また,行政側は不正があるの
ではないかという疑いがある場合には,申請書類や裏付け資料以外に実地調査(拒否や虚偽の
回答には刑罰制裁あり)を行うことができます。したがって,事前の調査がある可能性も無視
はできません。
ここでいう刑罰には「虚偽その他不正の方法」による申請や目的外利用・必要な報告を行わ
ない場合に定められています。いずれも先ほど触れたところに出てくるものです。
ここで「虚偽その他不正の方法」による申請による刑罰か・詐欺罪(内容虚偽の書類を行政
側が真実と誤解し補助金交付決定がされるよう仕組んだ場合)なのかが崔下院まで問題となっ
ていました。
これは,刑罰の上限は詐欺罪の方が重い一方で,別の刑罰なので仮に詐欺罪で逮捕⇒刑事裁判
まで言った場合に,補助金適正化法違反でした補助金の虚偽新税は処罰できないのであれば,無
罪判決になるということで問題になったものです。こちらは,最高裁の決定(最高齢令和3年6
月23日決定)によりどちらの罪で逮捕や起訴しても構わないということになったので,よりデ
メリットが大きくなったと言えます。
以上から注意点として,補助金の公募要領にも書かれている①補助金の目的と自社の行おう
とする事業がマッチするのか②不正申請はリスクが多いので,水増しを含めて避けるべき③高
額の報酬の為に歪められないように,申請を依頼する際には報酬その他をきちんと事前に確認
しておく,ことがまず重要です。このほか,求められている報告への対応・取得した財産の処分
制限にかからないよう必要な期間や承認への対応をきちんとしておく必要があります。
これらは,きちんとした士業・コンサルタントであればアドバイスできる事柄かと思います
ので,こうしたパートナーをきちんと確保していくことは重要です。万一,取消リスクや刑事事
件へと至る可能性がある場合には,返還や謝罪意思を示すこと等立件化や身柄拘束を防ぐ(調
査に応じる場合には証拠隠滅の可能性はそこまでではない)等見通しとともに応じる部分とそ
うではない部分をきちんと整理して対応をする必要があります。
最近桜が続いたので、少し前に縮景園で見かけましたボタンっぽい花。一輪だけなぜか咲いていました。
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