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コラム

所有者不明者土地の関係の法律改正。共有に関する変更とは?

2021年10月11日

テーマ:不動産問題

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 不動産相続 手続き

はじめに

 共有といってもピンとこない方もいらっしゃると思われますが,共有とは一つの土地や建物を複数の方で一部ずつ権利を持ち合う権利関係を指します。一部ずつ持ち分という形で全体についての権利や義務を持ちますので,共有者の間では互いに持ち物への利用や管理・処分が制限されることになります。

 不動産以外にも株式等様々なものについて,共有・準共有という状態が生じます。

所有者不明土地が共有になることが多い理由

 所有者不明土地といってもそもそもの所有者が不明ということは,不動産登記簿によって権利関係が公示されていますので,考えにくい話です。所有者の居所がわからない・相続が生じても何もしていないということがあっても,戸籍や住民票などを調査すればわからないということはそうはないように思われます。

 もっとも,これらの調査は具体的な案件の依頼を受けた士業(弁護士・司法書士・行政書士など)でなければ調べられないことが多いです。



 それはともかく,相続が発生した場合には,遺産で特定の方が不動産を取得(相続あるいは遺贈)していない場合には,法定相続分(指定相続分)により共有することになります。現在問題となっている所有者不明土地には特に田舎の地域を中心に相続が発生しても相続の登記や遺産分割がなされずに放っておかれているものが多い印象があります。こうした背景もあって,場合によっては多くの方が共有をしている所有者不明土地が発生していると思われます。

これまでの規制とは?

共有をしている場合,各共有者は持ち分に応じてその土地や建物などを利用することができます。とはいえ,ある持ち分を持っている方が利用している場合に,他の共有者は仮に持ち分が多かったとしても利用を止めることはできずに,自らが利用できないことについての損失をお金で支払いを求めることができるだけでした。



 共有の対象となっている土地や建物などの管理は持ち分の過半数により,どのような管理をするかを決める・処分は全員の同意があって可能となるという規制がありました。また,管理についても共有しているものに変更を加える場合には全員の同意が必要であり,変更を加えない場合や誰かに賃貸する等の場合には持ち分の過半数で決めることができました。

 このほか,修理などの行為は各共有者が単独で行うことができました。あとで共有者の間の費用負担の問題はありますが,崩れかかった空き家の修理はこれで対応可能です。もっとも,家を崩す場合には処分にあたるので,全員の同意が必要になるという問題があります。



改正の内容とは?



 改正の内容は,①先ほど触れた共有物の管理や変更に関する規制の変更②共有者分割制度の整備③所有等不明者の持ち分の譲渡・取得の制度④遺産相続の分割手続きとの関係の整備⑤その他,になります。



① 共有物の管理や変更についての規制の変更



 これまで,何かしら変更が土地などに加えられる場合には共有者全員の同意が必要とされていましたが,形状や利用に著しい変更を加えない場合には持ち分の過半数で変更を加えることができるようになりました。一部の相続人(共有者)に連絡が取れず何も変更を加えられないという点には不合理な点があり,軽微な変更には全員の同意までは不要とされたものです。

 何が軽微なのかは解釈によりますが,改良を加える目的・費用がそこまでかからないもの(私道の修理や一部改良を行うもの)程度であれば該当する可能性が高くなります。

 また,一部の共有者の所在が不明(住所を調べてもそこに実際に居住しておらず所在不明なケースは十分ありえます)で,軽微ではない変更を含めて話し合いができない場合には,裁判所の手続きを使って対応することも可能になりました。こちらは,所在が分かる共有者との合意が得られれば,その合意に基づき求める変更を許可するよう裁判所に請求できるという制度です。この許可は裁判手続きで行われることになります。



 共有物の管理についても変更が加えられています。各共有者が単独で修繕できるという点は同じですが,適切な管理を行うことができるようにするため管理人を選任(解任)することを裁判所に請求できる制度が設けられました。この請求には持分の過半数分の同意が必要になります。この請求ができる場合は限定されており,過半数の同意がある場合でかつ,共有者の中に所在不明者がいる場合・共有物管理についての意見を示してくれないため話が進まない場合です。話が進まないというためには,意向の確認を証拠で残る形で行い,回答がないという状況である必要があります。

 しかも,ここでの管理が共有者の一部に特別な影響をもたらす場合には,その方の同意も必要とされています。ここでの特別の影響は,管理について一定の定めをする・あるいは変更する必要性や合理性とその共有者に生じる不利益を踏まえてケースごとで判断をするとされています。例えば,これまで最高裁判例で一部の共有者が利用している土地を他の共有者が明け渡しを求めることは当然にはできないとされてきました。ここでの明け渡しは管理についての変更にはなりますので,先ほどの特別の影響が生じないケースでは使用している共有者の拒否権なく明け渡しが可能になることもあります。立法担当者は,こうしたケースで利用についての合意が存在しない場合は,特別な事情があるとはいいがたいと述べているようですが,実際にトラブルになった場合にこの見解の通りに裁判所が判断するかは不透明です。先ほどの事情に該当する事柄をきちんと検討しておく必要があります。



 このほか,利用権の設定については規制が強化され,短期間でない限り他人に賃貸する行為は共有者全員が同意をするか,先ほどの管理に関する裁判所の判断を受ける必要があります。



② 共有物分割の規定の整備



 共有物分割とは,制限がかかる共有関係の解消を行うことで,話し合いで取り決める・裁判を行うという方法があります。ここでの分割は現物を公平に分けることを原則に,誰かが買い取る・売却してお金を分けることが衡平にかなう場合には行うとこれまで考えられてきました。



 遺産で取得した相続分に基づく共有持ち分は共有物分割手続き(裁判の場合は地方裁判所で裁判をします)ではなく,遺産分割手続きで行うとされており,こちらの規制は今回の規制でも変わりません。相続開始をして10年経過して遺産分割手続きが行われていない場合について一部改正が行われていますが,遺産分割手続きで行うという点は同じで相続分のみで決める(修正はしない)という点が改正されています。



 共有物分割に関する規定の整備は,話し合いがつかない場合だけでなく,そもそも所在不明者がいて話し合いができない場合も裁判で解決ができる・これまで裁判例で認められていた手続きも法律で定め,どの手続きも基本的には同列とされていますが,可能な限り現物手続きによるとされている点は変わっていません。分割に際してお金の支払い・物の引き渡し・登記の履行を命じることができると規定され,買取の際のお金の支払いの確保などが明確に定められました。



③ 所在等不明者の持ち分の取得と譲渡


 所在不明者がいて,共有物の管理や変更の話が進まない場合には,先ほど述べた方法による対応もありますが,あくまでその場次第の対応になります。共有関係を解消すれば,そうした負担がなくなるので,共有物分割によることも十分考えられます。ただし,共有物分割は裁判手続きでそれなりに時間がかかりますし,どういった判断をするかについては裁判官の裁量が大きいという特徴があります。



 このため,所在者不明土地など不動産については,所在不明な方がいる場合に,所在不明者以外の方が持つ持ち分を取得することを前提に共有者が,所在不明者の持ち分を取得するよう請求できる手続きが設けられました。この手続きは,これから触れます所在者不明土地全体を売却する(譲渡)の請求とともに,共有物分割の手続きを求める代替の方法ということができます。

 後者の譲渡(売却)の場合にも,請求をする方は他の共有者の持ち分を取得する必要があります。そのため,これらの方法を使う場合には,他の共有者との間で共有持ち分を取得することの話がついている必要があります。話がついていないと結局は共有物分割(遺産分割の前であれば遺産分割協議)を経る必要があります。また,遺産分割手続きや共有物分割手続きが行われている場合には,この手続きを行うことができません(厳密には先行手続きの届け出がされると取得譲渡の手続きは止まります)。



④ その他



 主には,一部の共有者が共有物を使っている場合に,他の共有者に原則(免除合意があればそちらが優先)損失分の支払い義務があること・他人のものと同様の管理義務を負うことが明確にされました。この場合の損失の評価をどうするかという問題(類似物件と同様の賃料相当額になることが多いでしょう)はあります。





 他に,所有者不明土地については財産管理制度が設けられています。相続を通じて共有になることが多いだろう所在者不明土地などについて,対応の方法が拡充されました。今後どのように活用するのかをよく考えていく必要があるでしょう。


天龍寺?の菊
 2018年に京都に行ったときの写真です。多分天龍寺付近で見かけた小菊です。少し新型コロナの感染が収まってきましたのでどこかに行ってみたいところですが,予定との関係でなかなか出かけられません。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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