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コラム

中小企業でも適用へ。「同一労働同一賃金」の制度内容と注意点とは?

2021年4月5日

テーマ:労務問題

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 働き方改革

 昨年改正前の法律の適用に関する最高裁の判断が5つ出るとともに,今年の4月から「同一労働同一賃金」の制度が中小企業でも適用になります。雇用期間の定まっている契約社員の話だけかというと,パート従業員も対象になるなど雇用している方の内容や業種によっては影響がありえます。

 今回はいまさら聞けないという意味で概要と注意点を触れておきます。

昨年判断が出た5つの最高裁の判断は?



 こちらは,働き方改革に基づく改正前の法律(労働契約法20条)に関する判断となります。改正の前後を通じて,①業務内容や責任の範囲②人材活用の仕組み③その他の事情から見て,各待遇ごとの違い(雇用契約期間の定めの有無での違い)が,その待遇ごとの趣旨から見て不合理といえるかどうかは大きくは変わりません。

 その意味で,これらの判断がガイドラインとともに大きな影響をもたらすことになりますので,簡単に触れておっきます。



 最高裁で判断が出たものは,退職後再雇用のケースなど様々なものがありますが,退職金の支給やボーナスの支給に関する相違・各種手当や待遇面の相違が問題にされています。

 裁判所の判断で重要なものとして,単に先ほどの①から③を検討するという話しではなく,あくまでも各待遇ごとの違いの内容や待遇をもうけた趣旨がどういったものか・それが①から③を踏まえて不合理といえるものなのかが問題にされている当言う点になります。

 ここでいう趣旨が法律の文言上どこに位置づけられるのかは不明(強いて言えば,③その他の事情)ですが,各待遇ごとの趣旨の考慮を重視するのが改正前とはいえ裁判所の判断の傾向と考えられますし,改正後で変わるものとは考えにくい点になります。

 その他の事情には定年後再雇用の場合には既に退職金が支給されていることや全体としての支給される給与などの合計額のバランス面の問題・正社員登用制度が設けられ格差の解消の機会が設けられているのかなど様々な要素が考慮されることになるようです。



 後で触れますが,法改正により従業員側から会社側が説明をもうけられた場合には,各待遇ごとに違いがあることの合理性の説明をする必要があります。この合理性の説明あるいは労使間の協議で,待遇ごとの話は無視して単に①から③を検討あるいは説明すればいいという話しではないという点は注意すべき話になります。



改正法の内容は?



 法改正のよりパート従業員・契約期間の限定ある授業員とフルタイム・契約期間の限定のない従業員との違いを問題とする内容となりました。まず,フルタイム・期間限定なしの従業員と実質的に同一の勤務状況であるパート・有期雇用の従業員については均等な待遇を要求しています。ここでは給料その他の待遇において同一であることが要求されています。実質的に同一の勤務状況化は,雇用期間の全体について,事業所の慣行からみて業務内容や責任の内容・異動の範囲などが同一といえるかから判断がされます。

 ここでは,待遇の違い自体が許されないということになります。



 これに対し,先ほどの裁判例で問題となった部分の改正といえる部分では,「基本給・賞与その他の待遇について」,フルタイム・期間の定めのない方と違いがあるものに関し,①業務の内容や責任の内容②人材活用の仕組み③その他の事情のうち,その待遇の性質や目的に照らして適切と思われるものを考慮して,不合理かどうかが問題となっています。

 このうち,待遇の目的や性質に照らしてというのが先ほど裁判例が考慮していた問題となっている違いが存在する待遇の趣旨や目的を述べるものと思われます。これらの趣旨のうち,パートや契約社員にも当てはまるものが存在すれば,①から③での正当化が難しい可能性が出てくることになります。言い換えると,趣旨目的からパート・契約社員に当てはまらないものがあり,そのことが①から③の要素から説明できるのかどうかが重要な話になってきます。



 退職金については長期雇用に対するねぎらいや給与後払いの性質もあるとのことなので,長期雇用と定着を図るという意味合いから正当化される可能性は出てきます。ただし,そのことは抽象的な話ではなくそうした仕組み(広く異動しかる長期勤務が想定されている人事制度や賃金テーブルなど)が存在しての話になります。賞与(ボーナス)については長期勤務を図るという側面は小さくなるので,退職金よりは長期勤務と定着を図るという正当化は難しくなる面があります。

 いずれも会社側に裁量が強い部分ですが,先ほどの最高裁の判断では正社員登用による格差の解消の可能性や業務内容が異なるに至った経緯など様々な違いを考慮する模様です。「その他」の事情の考慮要素は広く,退職後再雇用で退職金の支給や労使交渉や説明をしたのかどうか・緩和措置を設けていたのか等幅広い事情が考慮される模様です。



 法改正により,先ほども触れました説明義務が会社には求められます。改正により待遇の趣旨目的の点から見ての説明(あくまでもそこに関連して,業務や異動・責任の違いなどが考慮される)が重要になってきます。待遇の違いについての説明内容は不合理かどうかにも影響しますし,そもそも説得力ある説明をすることでトラブル防止にもつながります。業務内容や異動範囲の違いではなく,待遇ごとにどうかを検討して説明をすることがポイントになりますし,トラブル防止のためには一番重要な要素といえるでしょう。





 最後に派遣労働の話を簡単に触れておきます。労働者派遣の場合には,派遣従業員は派遣会社(派遣元)の従業員になります。また,派遣先で就労をするという特殊性や派遣先が変わるという点があります。派遣先のいわゆる正社員との間で各待遇の不合理な格差(考慮要素は先ほどのものと同じ)を設けてはならないとされていますが,派遣先によりバラバラになってしまうという特徴があります。これとは別に先ほどの均等待遇が要求される場合もあります。

 こうしたことから,派遣労働の場合には,派遣先での不合理ではない違いによる待遇(均衡待遇)を確保するか・一定の規制の下で労使協定を結び,協定で定められた待遇を確保するという方法で規制のクリアが可能です。中小企業が派遣事業に乗り出すのは規制の面から難しい点がありますが,多くは後者のやり方によるものと思われます。


 最後に,事前の説明とそれに耐えられるだけの待遇の目的がある話なのかが重要です。たくさん待遇がある場合には整理をしていく・従業員とコミュニケーションを図ることでトラブル防止にとどまらず納得いく社内ルールを整備できるのではないかと思われます。

広島城とソメイヨシノ

 先日、桜が散る前にと広島城に行ってきました。夕暮れ時でしたが、夕日に広島城が映えて、ソメイヨシノとのコントラストが綺麗でした。
 

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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