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コラム

営業できなくなったことによる損害の賠償をしたい。問題となる点はあるのでしょうか?

2020年10月6日 公開 / 2020年10月24日更新

テーマ:民法

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 損害賠償請求 金額

 従業員の無断欠勤の継続による穴が生じたことでの損害・水漏れなどにより店舗が営業できなくなったことでの損害・不正行為によって得意先を奪われて売り上げが落ち込んだことの損害等,営業利益を賠償請求したいケースというのが生じることはよくあります。ここで問題となるのは,賠償請求できるだけの理由があるのかどうか・実際に営業損害といえるのはどこまでなのかという話になります。

賠償請求できるだけの理由とは?



 賠償請求できるだけの理由には,契約の不履行がある・不法行為と評価できるだけの行為が相手方にあるなど法律上賠償請求を基礎づけるだけの事実関係が必要となります。

 先ほど挙げたケースはいくつか典型例をあげました。従業員には正当な理由なく欠勤はできませんので,無断欠勤があれば雇用契約の不履行として賠償義務が生じます。水漏れが発生した場合に当然に賠償義務が生じるわけではありませんが,建物の欠陥があり放置をしていた・相手先が無理な使い方をしていた場合には賠償義務が生じることがあります。最後の不正行為により取引先が奪われたというのが一番難しくなります。理由は,取引先を付け替えるための行為は原則として自由競争の中で行われるもので賠償請求の原因にはならないためです。引き抜くだけでなく営業秘密を持ち出させる行為があった・引き抜きの方法に重大な問題があったというやや特殊なケースで賠償請求を基礎づけるだけの事情があったと言えます。



 このように何でもかんでも賠償請求ができるわけではないのには注意をする必要があります。



営業損害とは?



 営業損害とは単に売り上げが落ち込んだ金額全て・言い値で決まるというわけではありません。損害というからには実際に生じた金額(売り上げの落ち込み・収益の減少など)といえる必要があり,賠償請求の原因から通常生じたといえるだけのものである必要があります。

 営業損害については生じたかどうかが特に請求される相手方には見えないので,資料の開示(例えば,決算書や月次試算表等)を求められるケースがあります。ここでの資料の正確性や他の資料との整合性も問題となることがあります。先に資料の点でいえば,青色申告をしている場合の決算書については信用性が高いと考えられています。これは備え付けの帳簿で記帳をしその結果を踏まえて間違いなどを直したものと捉えられているためです。月次試算表も同様の点はあるものの,確定値でないこともあって決算書の数字との整合性が問題にされることもあります。



 先ほどの事故や行為によって生じた売り上げや収益の減少が損害の出発点になりますが,対比を資料を基にきちんと行う必要があります。前年1年との比較を行う・事故や行為の前3カ月との対比を行う等がありますが,いずれにしても,先ほどのような決算書や試算表その他の資料(一日ごとの売り上げや支出の記録など)で行うことになります。売り上げの変動には他の要因(現在であれば新型コロナウイルスの影響による減少など)がどの程度寄与しているかを考える必要があります。

 売り上げが上がらない場合に売り上げとある程度比例してかかる経費も掛からないことになります。この経費分は損害から除く必要があります。製造業や販売を行う場合には,下がった分の仕入れ分はかからずに済んだ費用にあたります(今後の販売などに使うことができます)ので,ここは差し引く必要があります。これに対し,人件費など固定的にかかる費用については差し引くことはできません。例えば,最近報道されていた新型コロナウイルスに感染したということでの休みの申請が実は嘘で,申請に基づいて消毒や休業をした場合には,休業自体は会社側の都合によるものであるため給料の支払い義務は生じます。ここでの給料分は固定費となるというものです。家賃やリース代など何が生じても支払う義務が残る部分も同じく固定費として考えていくことになります。ちなみに,支払いを免れた経費を考える際の一つの表法として粗利率(売上原価率)を考えて,この粗利率に該当しない分を支払いを免れた費用(材料などにあたる部分)と考える方法もあります。



 このように資料面や売り上げ減少分・経費をどう考えるのかという問題のほかに,そもそも損害といえるだけの売り上げ減少が生じているのか賀問題になることもあります。例えば,先ほどの無断欠勤のケースで,他の従業員が頑張ることで売り上げの減少が生じていない場合には損害があるのかという話が出てきます。この場合には,売り上げ減少という意味での営業損害は生じていないことになります。ただし,経費の増大(例えば,残業をする必要が出たため残業代が生じた・パートなどの採用により労務コストが増えた・外注を追加する必要が生じて費用が掛かった)といった場合には,その費用が損害になります。ここでは売り上げ減少というのとは異なる意味で損害があると考えることになります。ちなみに,この場合でもそのパートの方が行う業務の内容や該当期間(無断欠勤期間のみ)・残業(問題となる方の担当業務の従事状況と残業が穴埋めのために生じたものといえるのか)・外注の内容や費用を資料で示すことが問題となることは考えられます。



 このほか,例えば風評被害など,問題となる行為と売り上げなどの減少との因果関係(そこまで影響が会ったものといえるのか)という問題があります。これは問題となる行為の内容と影響状況により左右されますが,この点を帳簿資料も含めて考えていく必要があります。単純に売り上げ減少が確認できること=損害とは言えない点に注意が必要となるでしょう。



 このように営業損害というのは,支払い義務が生じるケースなのか・資料はあるのか・どこまでが該当するのか等様々な問題が生じていきます。


由加山・竹林
 綺麗な竹林ですが、京都・嵐山でなく岡山県倉敷市にあります由加山蓮台寺の境内にありました竹林になります。こじんまりした感じでしたが、よく手入れされていました。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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