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コラム

自社での感染症の情報を外部に開示する必要性とその際の注意点とは?

2020年9月7日 公開 / 2020年10月17日更新

テーマ:新型コロナに関する法律問題

コラムカテゴリ:法律関連

 今年になり新型コロナウイルスの流行があり,毎日感染者の情報が流される一方, 感染があった方に対する誹謗中傷や情報提供のあり方について様々な意見が出ています。仮に自社の従業員で感染が確認された方が出た場合の対応はどういった点で注意が必要なのでしょうか?

感染者が出たということを外部に提供する義務は存在するのでしょうか



 結論から言えば,法律上そうした直接の義務があるわけではありません。流行の状況確認などのため医師が新型コロナウィルスについては現状診断をした際に届出をすることになっていますが,一般の事業所においてそうした義務が課せられているわけではありません。



 とはいえ,いわゆるクラスター感染など事業所内のお客様や従業員の方などの間で感染が広がる状況を放置することはできませんので,感染の発生と防止対策を講じる必要があります。従業員の方に対しては感染リスクが具体化しているのであればそのことと対応策(テレワークや消毒措置など)を講じないと安全配慮義務違反ということで損害賠償義務を負うことになりかねません。お客様については,まさしく自社の利用で感染をしたのかという特定の問題がありますが,特定をされた場合には注意喚起や対応策をとっていないということがあれば,人の健康に大きく関わるものであるだけに損害賠償責任を負うことは十分あり得ます。

 ここでいう損害とはどこまでなのかという問題はありますが,治療費や慰謝料・勤務できなかったことについての収入等が入る可能性があります。



感染者が出たことを公表する際の注意点は?



 一番の注意点は個人を特定されないようにする必要があるという点です。感染症に感染をしたというのは個人の健康情報であり,内容に個人の属性を加えると感染したのが誰かが特定できます。これは誰の情報かがわかる点で個人情報になるため,法律の規制がかかります。特に健康情報は「特定個人情報」と呼ばれ規制が強くなります。個人にとって重要な情報でかつ知られたくない性質のものであるためで,法令で定める例外がない限り本人の同意なく公表はできません。



 どこの誰が感染をしたということがわかる情報がここに当てはまります。違反をすれば行政からのペナルティを受けるとともに,その方からの損害賠償請求も受けます。また,法律上の話ではありませんが,自社の信用を下げることになりかねません。

 そのため,自社での感染の状況(営業所がどこか・どの程度の人数が発生しているのか,他の従業員の検査もしたのかその結果概要等)とともに対応策(先ほど述べた消毒の有無や営業をどの程度休業するのかどうか・テレワーク実施の有無など)を公表することになります。特定につながる情報がないのかどうかをきちんと確認をする必要があります。



誹謗中傷の連絡に対してはどうすればいいでしょうか?



 最近報道されることも多いのは,特にクラスター感染が公表された企業や施設に対する誹謗中傷です。感染した従業員を解雇すべきだ・対策が十分ではなかったのではないか・脅迫ととれる可能性のあるもの(襲撃などの予告)など様々考えられるところです。無視ができれば一番いいところでしょうが,実際にはそうはいかないところもあります。また,件数が多いこともあり細かくどこまでの対応をするのか悩ましいところです。



 提言や単なる苦情レベルのものであればそこまで大きく対応する必要はありませんが,先ほどの襲撃や事実に反した点を含む誹謗中傷については警察への相談や削除などを求めるといった対応を考えていく必要があります。従業員の安全にかかわることであれば名誉棄損や脅迫といった犯罪に該当しかねませんし,放っておくことは自社の士気自体に関わってきます。電話であれば録音をしておく,メールなどであれば保存して印刷をするなどもありうるでしょう。名誉棄損に該当するのかどうかは,単に意見を述べるだけでは当てはまらない等判断が難しい面があります。また,電話の場合であってもプリペイド式の携帯電話からのものなどはどこからの電話かが特定しずらい場合があります。昔からよくある怪文書系の手紙も指紋がきちんとついているのかという問題があります。インターネット上の連絡や投稿はIPアドレスなどの特定につながる情報を追う手続きの煩雑さや期間の制限が事実上存在するなどの問題があります。



 何より,全てに当然に謝罪をしないといけないのか等どこまで・どう対応すればいいのかはっきりしなければ,対応する側も疲れやストレスがたまるということになりかねません。情報の公表のあり方とともに,こうした問題への対応をどのように行うのかを考えていく必要があります。



 写真は宮島にあります大聖院の境内にて。
 大型の台風10号が近づいてきています。特に沖縄や鹿児島で大きな被害が出る予想が出ていますが、広範囲に雨や風の被害が出そうなので皆様お気をつけてお過ごし下さい。

 この記事に関連する内容をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
新型コロナウィルスの関連してありうる法律問題への対処について(その①)
[[新型コロナウィルスに関連する法律問題への対処について(その②)https://mbp-japan.com/hiroshima/keiso-law/column/5051862]]

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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