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コラム

サービス提供等から発生した損害の賠償請求を事業者にしない免責条項は有効でしょうか?

2020年8月24日 公開 / 2020年10月17日更新

テーマ:消費者問題

コラムカテゴリ:法律関連

 スキーやスキューバダイビング、ボルダリングなどへの参加にあたって、参加に関連して参加者に生ずる可能性がある傷害その他の損害すべてについて、参加者本人が責任を負うことに同意する、という内容や、傷害や財産の損害、過失により生じた事故による死亡を含むすべての損害賠償について、運営者・サービス提供者への請求権を放棄する、といった内容の同意書の署名を求められることがあります。

 また、こういった危険を伴うスポーツ等でなくても、たとえばエステやカラーリングなどでもサービス提供により生じた体調不良やアレルギー症状などについて、あらかじめお客様の方から損害が発生したときに賠償請求をしないことの同意をしてもらう場合もあります。

 こういったいわゆる免責同意書の作成をしていた場合、スポーツを行っている最中の体調不良や怪我、あるいはサービス提供により生じたアレルギー症状があったとしても、運営者側や店としては、免責同意書がある以上、責任は一切負わないと主張することはできるのでしょうか?

消費者契約法による制限を受ける可能性



 スキーなどのスポーツ施設の利用やエステ等のサービス提供にあたっては、事業者と消費者の契約にあたって適用される消費者契約法の規律を受けます。この法律では、消費者と事業者との間での情報の質や量・交渉力の違いから、消費者にとって一方的に不利益な条項により消費者の正当な利益が害されることを防ぐために、事業者の損害賠償責任を免除する条項・消費者の利益を一方的に害するような内容の条項は全部または一部が無効になる旨定められています。

 そもそも、スキーなどのスポーツ施設の運営者の場合、単にスキーなどのスポーツができるよう施設などを利用できるようにするだけではなく、施設などの利用の際に、利用するお客様が安全・安心して使えるようにする義務があります。さらに、危険を伴うスポーツの場合はインストラクター等が参加者の動静を常に気をつけて何か異常が生じたときはすぐに適切な措置がとれるようにしたり、救護できるようにする義務があるとされています。また、エステ等のサービス提供する店の場合も、お客様の身体に異常が生じないようあらかじめ体調等必要な事項の聞き取りをする、もし異常があれば施術を中止するといった配慮をする義務があるといえます。

 こういった義務に違反した場合、施設の運営者やサービス提供をする店には債務不履行責任が発生することになりますが、これらの責任を全く負わないという条項に、お客様の同意を求めることは、いかなる場合でも施設の運営者やサービス提供する店が責任を負わないことになってしまうため、お客様にとっては一方的に不利益な条項といえます。

 そのため、「当スポーツ施設で発生した事故等については、施設側はいかなる理由があっても、一切損害賠償責任を負わないことに同意しました。」という内容の条項や、「当店でサービス提供を受けた際に発生した体調不良やアレルギー症状等については、すべて私(お客様)自身が責任を負うこととします」といった条項を設けたとしても、無効となります。

 特に同意の内容が人の生命や身体といった非常に重大な法益について、あらかじめお客様が事業者に対するすべての責任追及をしないという内容の同意をするということになると、お客様は実際にどんな損害が生じうるかわからないまま同意している場合が一般的といえます。そういったリスクについて十分に把握しないままに同意をしたとしても、有効にするわけにはいかないといえます。



免責条項が有効とされる場合はどんなときでしょうか?



 上記の条項は「いっさい損害賠償責任を負わない」ことへの同意であるから無効としても、それでは損害賠償の一部について免除する場合にはどうでしょうか?

 この点、事業者等の故意または重過失による債務不履行責任について責任の一部を免除する場合であっても、同じく消費者契約法では無効とされています。ですから、「当店の損害賠償額の範囲はサービス利用料の範囲に限ります」「当施設の損害賠償については、怪我等についての治療費等の直接発生する損害に限って責任を負うこととし、怪我等が生じなければ得られたであろう利益その他の間接的な損害については負わないものとします」という内容であっても、無効ということになりますので注意が必要です。

 他方、事業者等の軽過失による損害については、消費者契約法上債務不履行の一部免除であっても有効とされています。

 ただ、危険を伴うスポーツの場合、施設側が負っている義務の程度が大きいことが多く、そのため義務違反が軽過失とされにくい場合が通常ではないかと思います。お客様の側で事前に注意事項の説明を受け、体調不良等告知しないといけない事情があったにもかかわらず告知せずに参加することで体調が悪化した場合や、エステ等の場合でも同じく事前に既往症がある場合やアレルギー症状があるなど、施術前に伝えておかないといけない事柄があったにもかかわらず伝えていなかったために、症状が悪化した場合など、限定された場合になってくるでしょう。

 ですから、お客様に注意事項等を事前に伝え、あてはまる場合や参加中や施術中に体調不良があった場合は申し出るようにと伝えていたにもかかわらず、申し出がなく症状が悪化した場合などは責任を負わない、とする限度で同意書をとっておくことは有効といえます。

 有効になるような内容で同意書をもらっておくとともに、それを超えるけが等の損害がお客様に発生した場合に備えて、保険に加入する等の対応をとっておくのが良いでしょう。


宮島のフェリー

写真は宮島に向かうフェリーです。ここ最近夕立のためか、少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。ただ、台風も来るシーズンになりますので、今後はそちらの動きの心配なところです。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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