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コラム

契約書に存在する「第1審の管轄裁判所を○○裁判所」と指定する意味とは?

2020年8月17日 公開 / 2020年10月17日更新

テーマ:裁判その他

コラムカテゴリ:法律関連

契約書の中には様々な取り決めに関する項目がありますが,その中にはタイトルにもある契約に関する事項などについてトラブル(裁判)になる際の裁判所の指定に関する項目があります。この意味は何でしょうか?注意点とともに触れていきます。

裁判をどこの裁判所で行うのかは法律で規定



 外国企業との取引を含め,どこの国や場所で裁判を行うのかは法律で決まっています。基本的な考え方は訴えられる側が裁判に応じる必要が出てくるために,その便宜を考えて訴えられる側の事務所や住所の存在するところとなりますが,国際的な取引ではどこの国の法律が適用になるのかを含めて考える必要があり面倒になります。

 また,日本国内であっても,特許権などについて大阪あるいは東京の裁判所で裁判を行うことが決められているもののほかに,例えばお金の請求であれば請求する側の事務所あるいは住所がある場所の裁判所など先ほどの原則が変わってくる場合があります。労働問題に関して従業員側から申し立てを受ける場合には,少なくとも支店が存在する土地の裁判所である必要があります。



 どこの裁判所で裁判を行うのかということは,最近裁判のIT化への動きがあるとはいえ現時点では出頭を基本とする裁判所の手続きの中で大きな意味を持ってきます。その裁判所への出頭や弁護士を確保する場合にどこの弁護士を手配するのかという問題も出てきます。こうした手間や費用ともかかりかねませんし,国際取引であれば時々約款上アメリカ合衆国のカリフォルニア州の裁判所と指定があるように,全く法律や手続その他がなじみのないところの裁判所での手続きになりますから,意味合いは大きくなってきます。



 以下では日本国内での話に限定してになりますが,このようなどこの裁判所で裁判を行うかという話を管轄の問題といいます。管轄が法律で決まっているならば契約書で決める意味がないのではないかと考えてしまいかねませんが,実は多くのケースで第1審の裁判所の管轄を合意で指定してしまうことができます。第2審以降をどこの裁判所で行うのかは第1審裁判所をどこにするかで決まってくる面がありますから,第1審の裁判をどこで行うのか指定しておく(法律上は書面で合意をしておく)ことは非常に重要になってきます。

 こうした点があるために,ネット上で見かける契約書のひな型などの多くでは「第1審裁判所の指定」という項目が存在しています。それでは,どこの裁判所を指定するのがいいのかについてですが,通常は会社であれば自社の本社所在地にある裁判所とすることが多くなります。これは本社所在地であれば裁判対応の負担が減るためです。契約の相手方が遠い場合には相手に不利となりかねない要素もありますが,筆者の見る限り多くのケースでは契約書の書面を準備する側が指定をして相手先に示して契約をすることが多いように思われます。ネット取引などでの約款・利用規則では運営業者側があらかじめ準備していることが通常です。



条項を作る際の注意点は?



 以前特にBtoC取引での事業者側による裁判所の指定項目の有効性が争われたケースが存在します。ここで裁判所の指定に関する条項が無効であれば法律の原則に則って裁判所が決まるために影響は大きくなります。



 ここで問題となったのは,例えば「契約をしたAとBとの間の一切の紛争」というように,どこまでの争いについての裁判が裁判所の指定の対象になるのかが明らかでない(広範に指定をしている)場合です。裁判例の考え方では,こうしたどのような紛争が対象になるのか,明確に特定されていない決め方では裁判所の指定を有効にしたとはいえないと判断しているため,単にひな型任せにするのではなく,問題がないのか念のために確認をする必要があるでしょう。

 注文書と請書あるいは口頭のやり取りでは,こうした裁判所の指定に関するやり取りがされていないことが多いと思われます。指定をする場合は指定に関する項目を書面で準備する必要があります。



 ちなみに,先ほどの知的財産権に関する紛争などごく一部は指定ができない場合もありますのでこの点の確認は専門家にしておく必要があるでしょう。



 先日久しぶりに宮島にあります大聖院に参拝に行きました。盆の最中でしたので、観光客も少し多かったように思います。スイレンを楽しみに行きましたが、時期がずれていたのか、残念ながら咲いていませんでした。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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