マイベストプロ広島
  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ広島
  3. 広島の法律関連
  4. 広島の協議離婚
  5. 片島由賀
  6. コラム一覧
  7. リツイートが著作者人格権侵害になる可能性・最近の最高裁判所の判断の内容と意味とは?

コラム

リツイートが著作者人格権侵害になる可能性・最近の最高裁判所の判断の内容と意味とは?

2020年8月3日 公開 / 2020年10月17日更新

テーマ:インターネットに関する法律問題

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 著作権違反

 既に報道されていますが,ツイッターに載せられていた写真画像をリツイートしたことが著作者人格権を侵害するという最高裁判所の判断が出されたとのニュースが出ています。この話を踏まえて,ツイッター等の利用を控えることになりITの発展に影響を与えるという話も出る反面で,権利の調整の点からやむを得ないという見解も出ています。

 報道などでは前提を理解したうえでの話になっていますが,そもそもはどのような話なのでしょうか。

著作者人格権とは?



 報道では著作権という話も出ていますが,実際には少し異なります。ここで前提となる話を触れておきます。



 著作権というと,元々ある著作権法で保護されるゲームや番組・本等を勝手にコピーすること等を規制する話というイメージがあります。もちろん,こうした話もあるのですが,このほかに写真や本といった著作物を作成した著作者の人格を保護するための権利が存在します。これは,「著作者人格権」と呼ばれるもので,その内容は主に3つあります。勝手に内容を変えてはいけないという「同一性保持権」というもの・公表するかどうかを自由に決めることができるという公表権・作成者の氏名を著作物の近くに表示させる氏名表示権というものがあります。今回の裁判例で問題となっているのは,この氏名表示権というものです。



 著作権自体の話はまた別で触れようと思いますので,ここでは簡単に「著作者人格権」について触れておきます。先ほど挙げた3つの権利は,著作物(実際には何が著作物にあたるのか問題になるケースが多数存在します)を作るにあたっては,それが創作性を表したもので制作者の人格を表したものだから,著作物に対する保護である著作権とは別に法律上保護されると考えられています。これらの権利を侵害した場合には,慰謝料の請求や是正などを求められることがあります。



 先ほどの3つの中で公表権は作成した方が公表していないものを勝手に公表した場合に問題になりますが,実際には勝手に手を加えたことについて問題にするケース・著作物に氏名表示が近くになされていないのでそのことを問題にするケースがありえます。勝手に手を加えたことで問題になるかどうかは,制作者の意に反したといえるかどうか・法律上例外と定められていることに当てはまるかどうか・やや面倒な話として利用目的や著作物の態様などから見て「やむを得ない改変」といえるかどうかが問題となることもあります。



今回問題になった話とは?


 報道ではそこまで取り上げられていませんが,今回の話自体は著作者人格権をリツイートで侵害されたという方が,侵害に対する請求をする前提としてツイッター社に対し,リツイートについての発信者情報の開示請求をしたケースになります。言い換えると,リツイートをした方自体は直接裁判に関わってはいません。



 なぜ,こうした問題が起きたのかについて少し補足します。是正その他の請求をするためには,リツイートの相手方と話がつかない場合には裁判での請求をする必要がありますが,そのためにはどこの誰がリツイートをしたのか特定をする必要があります。この情報を得るために発信者情報の開示請求をするのですが,そのためには開示請求が認められると法律上認められる場合(現在誹謗中傷についての問題で改正が議論されているのは,こうした認められる場合を緩めるのかどうか・開示の対象を広げるのかどうかという話になります)である必要があります。このケースでは,リツイートをされた情報の流通によって氏名表事件が侵害される場合に開示請求が認められるというものでした。



 問題となったのは,ある方が写真を撮影し(これ自体は著作物として著作権の保護対象となります)インターネット上に掲載していたところ,別の方が勝手にツイッター上に写真画像を張り付けたものです(これ自体が複製として著作権法上問題となりえます)。元の写真画像部分には撮影した方の氏名が表示されています。ツイッターの仕様上,この写真画像の入った投稿をリツイートした場合に,画像データがサーバー上に保存されるとともに表示される画面ではデータが一部切除され氏名が表示されなくなるという点がありました。この点が裁判所の判断でも問題となっています。

 その理由は,氏名が表示されなくなるのがツイッターの仕様によるものなので,リツイートをすることで不可欠なものとして侵害と考えられないのか・氏名自体は表示されなくなるもので,侵害の事態は生じているから侵害と考えるのかという点が大きな問題となっています。また,こうした仕様による表示が著作権法で定められている利用とは異なるため,侵害になるのかも問題となっています。



 判決では,結論として,著作権法で定めている利用方法に限らずとも結果として氏名表示がされていない場合には,氏名表示権の侵害になると判断しています。実際にはリツイートされた画面をクリックすれば,その際には保存された氏名表示をされた元の画像を見ることもできるという点が仕様上ありましたが,皆がそうしたクリックをするわけでもないと述べ,この仕様を考慮しないと判断しています。



この判断の影響は?


 利用しているシステムやSNSの仕様による氏名表示がされなくなる場合も氏名表示権の侵害となる可能性を示した点で,リツイートをする際に注意をすべき事柄が増えたと評価することもできます。その意味で,利用萎縮をもたらすのではないかという捉え方(一部裁判官の少数意見ではこの点が述べられています)もできます。



 ただし,リツイート自体には名誉棄損となる表現をリツイートすること自体が名誉棄損になる可能性もありますので,注意が必要でしょう。また,写真を撮影した方がツイッターに直接投稿をしている場合には,リツイート及びその際の仕様上の話は前提にしているのが普通でしょうから,権利の侵害は問題になりにくくなります。結局は,出所不明の写真画像の場合が問題となってきますが,ここを注意することが利用萎縮にどこまでなるのかという話になるでしょう。



 この判断を踏まえて,著作権などの権利侵害を主張された場合に争わず謝罪をしたほうがいいという見方もあるようですが,あくまでも画像の一部が仕様上カットされる場合の話に過ぎませんので,問題があった場合には仕様などを確認したうえで専門家に相談をするなどして対応をしたほうがいいでしょう。すぐ裁判などという話になるわけではありませんが,落ち度を認めることで問題が解決するとも限りませんので,相手の言い分(特に侵害となる根拠)を聞いたうえで考えていく必要があるでしょう。

 この話は直接はツイッターの話ですが,同様の仕様のある場合,同じように問題になる可能性がありますので注意が必要です。


松江城横・興雲閣
松江城山公園内にあります興雲閣です。
こちらは明治時代の建築物だそうで、島根県指定有形文化財にも指定されている、優美な雰囲気の漂う、洋館風の建物です。
ここ数年、毎年お墓参りのため、松江市を訪れるのを楽しみにしていましたが、今年は新型コロナウィルス感染拡大が収まらないため、訪れるのが難しそうで残念です。

 この記事に関連する事項をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
インターネット上で誹謗・中傷の書き込みがされた場合の対処法

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

Share

関連するコラム

片島由賀プロへの
お問い合わせ

マイベストプロを見た
と言うとスムーズです

お電話での
お問い合わせ
082-569-7525

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

片島由賀

勁草法律事務所

担当片島由賀(かたしまゆか)

地図・アクセス

片島由賀のソーシャルメディア

instagram
Instagram
facebook
Facebook