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  1. 従員退職時の年次有給休暇の扱いはどうすればよい?退職申入れ時と解雇の場合で違いはありますか?

コラム

従員退職時の年次有給休暇の扱いはどうすればよい?退職申入れ時と解雇の場合で違いはありますか?

2020年7月27日 公開 / 2020年8月2日更新

テーマ:労務問題

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 働き方改革

 昨年から年次有給休暇について法改正がなされ,年10日以上取得している方について,5日は会社の方から休んでもらうようにしなければならなくなりました。有給休暇が消化されないままに退職に至る場合への対応等問題となる場合があります。突然の退職申し出の他に突然出勤しなくなった際の従業員への対応も問題になりますので、今回はこの有給休暇取得と退職時等にかかわる法律問題を取り上げます。

退職申し入れの場合の対応



 年次有給休暇の取り方(厳密には何時から何時まで休むのか)については,法律上方法が書かれていません。当然に休みにできるのか(特に突然出社しなくなった場合にそのような扱いになるのか)という話があります。

 就業規則のある会社では取得の方法(指定の方法)を申請にするなどと決めているところが多いと思われます。法律上会社には一定の場合に時期・季節を変更する権限がありますので,こうした申請を前提としていても問題はありません。むしろ,問題なのはこのような規定がない場合です。この場合でも,いつからいつまでなのか,全く指定されていないことは考えにくいので,基本的には指定の意向がうかがわれない場合には有給休暇の指定がなされたから取得という話は難しくなります。ただし,ある時から来なくなって退職という場合には,時季の指定がおのずからなされてしまう面がありますから,こうした場合には有給休暇をいつからいつまでとるかの指定がされたといえる場合も出てきます。



 多くのケースでは話し合いによって有休を消化したうえで退職,あるいは例外とされている買取の制度を設けて買取を行うといったことが考えられます。買取自体は,買取ゆえに取得を阻むという面がなければ,問題はありません。話し合いが十分にできないケースでは先ほどのような処理を考える場合も出てくるでしょう。まったく話もできない・出社もないというケースでは解雇に至る場合が多くなると考えられますので,こうしたケースは後で触れます。



 ちなみに,昨年働き方改革関連での法改正で導入された5日間の1年あたりの有給休暇の付与義務は,会社側から時季を特定して有休休暇を付与することを示した制度と言えます。これ自体がこれまでの制度とは異なり,従業員側がイニシアテイブをとるのではなく,会社側が時季を決めて休みを取ってもらうというもので,一部制度の意味合いが変わってきています。

 また,令和2年4月から労働関係の時効期間が一部改正されましたが,有休休暇の取得に関する時効の期間は変わらず2年のままです。言い換えると,有給休暇の取得は,10日以上の取得をしている場合は会社から時季を指定して5日休んでもらう義務はあるものの,それ以外は2年までしか繰り越せない・時効が5年まで伸びるのはあくまでも取得した有給休暇についての給料の請求権のみであるということです。退職までの未消化分も令和2年4月以降も,本は変わらない点には注意が必要でしょう。



出勤しなくなり解雇などに至った場合の対応



 出勤をしなくなり解雇に至る場合とは,無効リスクが少ない状況では出社を何度か促しても出社がなされない・連絡が取れない形になります。解雇予告手当を支払うか30日後の解雇にするか,即時解雇の行政からの認定を取得するかという選択肢がありますが,即時解雇の認定はそう簡単には得られない点があります。



 解雇予告手当を支払う場合には,その時点までに有給休暇の取得および時季の指定をしていたというのは困難です。これに対して,30日後の解雇という話になる場合には,有給休暇の申請をその期間にするのが通常ではないか・他の時季というのが考えられない=時季が指定されているという反論が従業員側からなされることも想定されます。もちろん,こうした話は従業員側から何かしらのアクションがあった場合の話になりますが,他に損害賠償その他退職にまつわるトラブルが存在するケースではこのようなアクションがある場合も考えられます。

 感情的には有給休暇の消化に応じるというのは嫌な面がありますが,申請が時季の指定と変更ができない点を踏まえての制度であることを見ると,こうした言い分にも一定の理由はあります。厳密に争うという場合も考えられますが,解雇の無効リスクや紛争が長期化することをどう考えるか・有給休暇はあくまでも実際の休暇確保の制度という面も考慮して考えていくことになると思われます。



 有給休暇については制度改正もされているところであり,特に退職時の扱いなどには注意が必要でしょう。


ナイトアクアリウム
蒸し暑い日が続きますので、涼しくなりそうな1枚を。
2015年に広島・そごうで開催されましたナイトアクアリウムのときの1枚です。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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