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会社の指示で休みにする場合, 従業員の給与はどうなる?

2020年3月9日 公開 / 2020年5月31日更新

テーマ:労務問題

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 年次有給休暇 義務化

 新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念が増えている中で,学校の休校やテレワークの拡大,休業の話が出ています。会社の指示による休みの場合に給与の支払い義務があるのかどうか・他の場合との違いなどについて触れます。

会社の指示による休みの場合に給与はどうなる?


 結論から言えば,給料分の60%の支払い義務が残ります。これは,労働基準法という法律で,会社の都合による休業を命じる場合には,給料分の60%の支払いを命じているためです。後で触れます解雇かどうかが問題になる場合とは異なり,この60%を支払わなくても済むようにすることは無理になります。

 会社の指示で年次有給休暇の取得を求めることができるのか(この場合には,給与は全額支払う必要があります)という点がありますが,指示をすることは法律上はできません。これは,年次有給休暇はあくまでも従業員に休んでもらうための制度ですので,従業員に申請をしてもらうというのが形であるためです。もちろん,取得するように促すこともできますが,指示か促すかは程度の違いにはなります。福利厚生のために年次有給休暇を活用するならば,自主的に取得できるようにしておいた方がいいとは思われます。

 ちなみに,10日間以上の年次有給休暇を取得できる方について,年間5日の年次有給休暇の取得義務の話がありますが,こちらはあくまでも年次有給休暇を消化してもらう制度ですから,促すのはともかく従業員側の義務ではない点には注意が必要です。

 なお,報道を拝見しますところでは休業中の給与の保障を国が行う制度を臨時に設けることが検討されています。

給料の全額支払う義務が生じる場合は?


 先ほどの60%との兼ね合いで実は全額を支払う義務が生じてくる場合があります。これは,会社側の命令あるいは強い原因があり,従業員に勤務をさせない・できない事情がある場合です。先ほどの60%の場合は,会社側に何かしらの原因がある場合と緩やかに考えられているのに対し,こちらは明確な落ち度が必要とされています。

 無効な解雇かどうかが問題になる場面(簡単に言えば,明日から来るなという話をした場合にその後の給与の支払い義務が生じるのかという話になります)

出は特に問題になる話です。そのため,病気の流行を避けるための話とは別になりますが,便宜上ここで触れておきます。

 こうした場面で,従業員側が勤務する意思を示す限りは,会社側に給与全額を支払う義務が生じます。ただし,お金の二重取りはできませんので,他でお金を得ていた場合(失業給付は除きます)には差し引き清算となります。

 この期間は特に限定されていませんので,解雇かどうかが問題になる場面など注意が必要になってきます。ちなみに,現在国で議論されている解雇についての金銭解決を制度として設けるのかという話で,こうした制度をどうするのかも話し合われています。

 こうなると,とんでもない制度があるという風にお考えになるかもしれませんが,実はこの制度の適用を排除すること自体はできます。理由は,多くの雇用契約や就業規則で規定されていませんが,この制度は契約で定めることで実は排除可能になります。そうすることで,60%の支払いは残るものの,40%分の支払い義務の可能性自体は排除できます。

 とはいえ,従業員側にとって不利益となりかねない事項ですので,可能であれば雇用契約を書面でかわす際に書面上設けるべきことであり,こういう条項があること自体は簡単に説明をしておく必要があります。


 ここ最近職種によっては採用難であり,給与額などの待遇面は重要なことです。採用の際にトラブルを想定しておくことは嫌なことではありますが,契約書の役割の一つにこうした面はありますので,各社の判断次第にはなりますが,頭に入れておくこと自体には意味があるものと考えられます。


鞆の浦・福禅寺対潮楼
 福山・鞆の浦にあります福禅寺・対潮楼から見ました弁天島付近です。福禅寺対潮楼は福禅寺というお寺の本堂に隣接しており、国の史跡に指定されています。新型コロナウィルスの影響がまだ出て来る少し前に訪れたときのものです。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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