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  1. 4月以降続く法律の改正・お金の回収はどうなる?その②給与や売掛金の回収・競売についての変更点は?

コラム

4月以降続く法律の改正・お金の回収はどうなる?その②給与や売掛金の回収・競売についての変更点は?

2020年2月17日 公開 / 2020年4月5日更新

テーマ:民法

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 経営戦略リスク管理財務管理

お金の回収の手続きについて変更点が出てくるという話を先週触れました。今回は売掛金や預金・給料の差押さえの変更点とその他競売についての暴力団排除の話について触れていきます。このほか,離婚問題にかかわる話はありますが,ここでは触れないでおきます。

〇売掛金や預金,給料の差押さえについての変更点は?

 変更点は簡単に言うと,①裁判所にて回収状況の報告をきちんとしないといけなくなったこと②差押えができない部分の変更の申し出をしやすくするよう,差押えの通知が相手先に届いてから,実際の回収を始めることができるまでの期間が延びたという話です。



 これだけだと分かりにくいのでかなり補足します。まず,差押えというとこれだけでお金の回収が終了するかのような印象が一般にはありますが,実際は違います。預金を例にとると,預金が差し押さえられると,銀行は払い戻しを禁止されるだけです。実際預金通帳には差し押さえられた部分に記帳をしてみると表示が出ます。給料については支払いはできなくなりますが,任意で支払うことはできます。ただそれをそのまま続けてしまうと,差押さえをした側から支払いを求められればもう一度払わないといけなくなります。後で払った分を戻してもらうにしても面倒な話になります。



 つまり,差押さえとは,その部分のお金を取ってもらうこと・処分できなくすることを意味します。その後の回収は,差し押さえた側が回収可能期間に入った後に,給料であれば勤務先会社・預金であれば金融機関と話をして回収を行うことになります。この点が,裁判所が積極的に関わる競売の場合との大きな違いです。

そのため,実際にどう回収が行われたかは回収をした本人以外には分からないことになります。これまでも,回収状況を裁判所に報告する義務は存在しましたが,そこまで大きなペナルティはなく,実際に回収をしていない場合・回収はしているけれども報告していないという形で放置⇒裁判所からの連絡があり,取下げてほしいという話をされる,という場合が割とありました。ここで取下げに応じないといつまでも差押えだけが続くという話になります。こうなると,差押えを受けている側は大変ということで,場合によっては回収を図る側と交渉し差押えを下げてもらう(多くはある程度のお金の支払いを合意する)こともあります。



主に裁判所の管理のためという面がありますが,これでは面倒ということで,今後裁判所からの状況報告に応じない場合(細かくは法律で定められていますが,ここでは省略します)には,差押え自体が取り消されることになりました。差押え+回収を続けている場合には,差し押さえが取り消されると回収がいったん終了してしまいますので,困る形になります。こうした点があり,報告をする義務が出てきたということはできます。少し面倒になるというイメージになります。



 以上が先ほどの①の話です。次は②の話ですが,一番の典型例は給料の差し押さえを受けたが,これでは生活ができないという場合です。この場合に差押えの範囲を小さくしてほしい(原則,1/4までできます)という場合にはその旨の申立てを裁判所にする必要があります。差押えが一度されてしまうと,一気に生活が苦しくなりますので,最初の時点で差押えの範囲を小さくしてもらう可能性を高めたほうが差押さえを受ける側からは助かる形になります。

現在は,差押えの通知が届いてから1週間が経過すると,回収側は回収に入ることができます。この回収ができるまでの期間を長くすることで,差押えの範囲の変更の申し立てをしやすくしよう,というのが今回の改正内容です。ちなみに,ここでは給与の話をしましたが,預金や売掛金であっても申立て自体はできます。ただし,生活困難になるなどの理由をきちんと説明する必要がありますので,ここがきちんと説明できないのであれば,仮に申立てをしても実際上はあまり変わりはありません。



〇不動産の競売での反社会的勢力の排除とは?

 こちらは分かりやすいかと思いますが,簡単にいって,競売手続きで反社会的勢力は買受を行うことはできませんという内容です。買い取った不動産を事務所に使うその他マネーロンダリングに使われる可能性があるという点を踏まえての改正になります。

 ここでの話は,反社会的勢力が直接買い受ける場合以外に,そこから資金提供を受けて(名前貸しのような形)買い受ける場合も制限されます。買い受ける際に,こうした場合に該当しないことを誓約することを義務付けられ,後でうそだったということが分かった場合等には刑罰でのペナルティが科されます。ちなみに,差押えを受けた方が,反社会的勢力を用いて買受を行わせかつ嘘を言わせた場合には,こうしたペナルティの他に強制執行妨害罪という犯罪になり,そこでの刑罰によるペナルティを受ける可能性が出てきますので,注意が必要です。


縮景園の梅の花
2月初め頃の縮景園の梅の花です。今月半ばあたりから見ごろになっているようですので、週末で満開になっているのではないかと思います。週明けから今度は寒気が来るようですので、体調管理にはくれぐれも気を付けたいところです。

このコラムに関連する内容の記事をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
民事執行法改正案が成立しました(お金の回収時の相手の財産開示の強化や子供の引渡しルールの明確化)
4月以降続く改正法の施行・お金の回収はどうなる?その①財産の開示制度の改正内容は?

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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