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  1. 4月以降続く改正法の施行・お金の回収はどうなる?その①財産の開示制度の改正内容は?

コラム

4月以降続く改正法の施行・お金の回収はどうなる?その①財産の開示制度の改正内容は?

2020年1月20日 公開 / 2020年2月15日更新

テーマ:債権回収

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 養育費 不払い資産管理

 今年(2020年)の4月から改正された法律の施行(簡単に言えば,一部ルールが変わる)がなされます。契約に関するルールであったり,お金の回収の手続きであったり,労務関係(働き方改革の一環)であるなど実は多く存在します。そのうち,お金の回収の手続きのルール変更について,財産開示制度の改正内容と新しく設けられた役所や金融機関に相手の財産や収入状況を問い合わすことができる制度について触れていきます。

財産開示の制度とは?改正内容は?


 財産開示の制度とは,簡単に言えばお金を回収する手続きである強制執行の手続きの中で,相手に自分の財産を明らかにしてもらう制度です。お金を回収するためには裁判で勝訴する・公正証書で支払いについての合意などをするだけでなく,裁判所に差し押さえなどの申し立てをする必要があります。その際に,差し押さえるもの(回収をする対象)は回収を図る側で明らかにする必要があり,調査が大きな負担になることがあります。
 財産開示は,そうした負担を少しでも減らすべく,差押えなどを申し立てられた側に裁判所に来てもらって,正直に自分の財産などを報告してもらう手続きです。この制度も裁判所に出頭しない・事実とは違うことを言うなどされてはあまり意味がありません。こうした行為にはペナルテイが必要になるわけですが,これまでは過料という一種の罰金的なものが上限50万円で存在していたにすぎません。実際,不出頭などが十分ありうるため,これまでこの制度はあまり使われていません。

 今回の法律の改正(昨年改正され,今年の4月1日から施行予定)では,こうしたペナルテイを」強化する(内容は先ほどの一種の罰金だけでなく,刑務所に行く懲役刑の制裁が付け加えられることになりました)ことで対応することになっています。実際懲役刑の制裁まで行くのは悪質性の高い出頭しない・嘘を言う場合になるとは思われますが,財産開示制度は今までのものよりは使われるようになる可能性があります。
 また,これまで簡単に裁判所で取得することができた支払い督促や公正証書についてはこうした財産開示の制度を使うことができないという面もありましたが,こうしたものについても財産開示の制度を使うことができるようになります。

役所や金融機関への照会制度とは?


 役所や金融機関に対して何を照会するのかといえば,例えば,不動産で相手先名義のモノの存在状況や預金の有無や内容の確認(預金を差し押さえる際には基本的には金融機関名と支店名までわかっていないとできない運用でした,証券や投資信託の情報もここでは含みます)・勤務先の確認(税務情報の照会や年金関係の情報の照会)をするための制度です。こうした情報がわかればお金の回収もしやすくなりますが(差し押さえを何に対してすればいいか分かりやすくなるため),個人情報などを安易に明らかにすることは好ましくないため,新しくこうした制度は設けられる反面使うことができる場面は限定されています。

 まず,どのような照会を行う場合でも,回収をする相手からの財産開示(自発的な財産開示,といっても裁判所に出頭してもらい開示してもらうものです)を行ったうえで十分開示ができない場合に限ります。また,相手の勤務先や給与の情報については,簡単に知られることによって事実上の解雇などの退職リスクが高まる・差し押さえなどによって生活に大きな影響が生じるからということで,この制度を使うことができる場合が限定されています。基本的には養育費の不払いと交通事故等生命や身体についての賠償請求を行った場合に限られています。貸金や売掛金では使うことができない点には注意が必要です。

 ちなみに,こうして照会で得ることができた情報はプライバシー情報を含みかねないことから,安易に他の誰かに漏らすことは禁止されています。当然他人にこうした情報を売る場合は禁止される場合の最たるものです。禁止に違反した場合には,刑罰を受ける可能性がありますので,注意が必要です。あくまでもお金の回収手続きでしか利用することができないと考えておくべき話ですね。


 こうした改正された制度内容をどう使うのかは専門家に相談をして考えることになるかとは思われますが,一応回収のための手続きがこれまでよりは使いやすい面ができたことは頭の片隅おいておいても損はないでしょう。


岡山神社の菊
 先日岡山市の中心街にあります岡山神社にお参りに行ってきたときの写真です。まだ寒い日が続いていますが、少しずつ花が咲いているのを見かけるようになってきました。

この記事に関連する内容のコラムをご覧になりたい方はこちらの記事をどうぞ。民事執行法改正案が成立しました(お金の回収時の相手の財産開示の強化や子供の引渡しルールの明確化)

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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