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フリーランスの方に業務委託をする場合の注意点とは?

2019年12月2日

テーマ:労務問題

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 働き方改革

ここ数年業種によっては,人の確保が難しいことや労働関係の規制があることから,フリーランス(個人事業主)の方に業務委託の形で契約をするケースが増えています。美容業やエステの他に,IT関連の業務等様々存在します。国の出した報告書の中にもお金の関係や契約についてのトラブル・実際は雇用ではないか・業務委託形態が法律違反に実際上なってしまう場合などが挙げられています。
 今回はこういったフリーランスの方に業務委託する場合の注意点について取り上げます。

フリーランスへの業務委託で問題になる点とは?


フリーランスかどうかが問題になるのは①実際は雇用契約ではないかが問題になる場合②契約内容がフリーランス側に著しく不利でかつ取引の強制や材料納入の強制など法令違反が存在するケース③代金の支払い遅延や成果物の納入拒否などの法令違反がある場合が代表的なものです。



 このうち①についてですが,以前の記事「面貸しやSES契約などの業務委託契約はどのように取り決めて運用すればよいでしょうか?その注意点とは?」で詳しく触れていますので,よろしければこちらをご覧ください。ご希望の方には送付します。

 業務委託の場合には,自社の業務を自由裁量で任せる形なのに対して,雇用の場合には自社が業務の指示をすることになります。簡単に言えば,雇用契約になるのかどうかは契約内容と運用実態が問題になります。自社に専属である・業務指示を出している等の事情があれば雇用契約に近くなります。両者の違いは契約打切りへの規制が雇用契約では厳しいことや残業代の存在,労災保険の対象になること(ただし,一部の業種で例外あり)等があります。



 続いて②についてですが,独占禁止法や下請法などの法律に違反する可能性がある点です。材料の供給先を指定することや納入した成果物の権利について一方的に発注者側に移転させるという内容で契約をすることです。このほか,あとで触れる③とも重なりますが,あまりに低い金額の代金や遅い支払時期を決めることも法令に違反し,行政からの規制を受けるリスクがあります。



 最後に③についてです。資金繰りその他の関係から,委託した業務で作られた物品やサービスの提供を受けても支払いが難しい場合があります。この場合,代金の支払時期(契約で決めていない場合には法律で定めている内容で決まります)までに支払わないと遅延損害金(延滞金,契約で決めていた場合にはその内容,そうでない場合には法律で定められている内容で決まります。ただし,法令の規制により決まってくる場合があります)。この場合に,あまりに支払時期が遅い場合や支払いを遅らせる場合には,行政からの規制(公表や処分)を受けることがありますし,特に支払いを遅らせている場合には裁判を起こされる場合があります。取引上の力関係で何とかなるのではないかという気もあるところですが,行政機関(公正取引委員会など)に相談などに行かれた場合には先ほどの規制をうけ,そのことで風評リスクや今後の仕事の受注に影響が出る可能性もあります。

 同様のことは代金額を低く抑える(分かりやすいのは赤字になる水準かそれに近い水準で契約する)場合にも規制が入ることがあります。特に建設業の場合には先ほどの代金支払遅延を含めて営業に支障の出る行政からの規制が出てくる可能性があります。周りがどうというよりも,いざというときに面倒ごとに巻き込まれるリスクがあることをどう考えるのかというのが一番重要な点となってくるでしょう。



 このほか,複数のフリーランスに相見積もりだけでなくサービス提供を競わせて一番いいと思うところのみを受け取るという形でのトラブルもありうるとことです。こうした受領・納入拒否自体もこれまで述べたのと同様の規制を受ける可能性がありますし,そもそも契約で合意をした品質を満たしている場合に受領拒否をすることはできません。受け取らなくても代金の請求を受ければ応じる義務が出てきます。曖昧な合意をしていた場合には品質の内容も不明確になります。この場合に恣意的に不良だということができそうにも見えますが,曖昧であった場合には不良かどうかもよく分かりませんので,結局受領拒否が正当化できなくなる可能性の方が高くなるようにも思われます。



 このように,いわゆる行政への報告相談を受けるリスク(この場合は誰が相談をしたのかが分からない可能性もあります)がありますし,まさか請求しないだろうという思いを持っていてもいざ請求を受けるとダメージを受ける可能性が高い点には注意が必要です。

 現在フリーランスの方にとっての厳しい状況への国の対応策が検討されており,数年後にはより強い規制が入る可能性もありますから,今後の動きにも注目されるところです。



業務委託形態が法律違反になる可能性がある場合



 これは簡単に言うと,労働者派遣になる場合や労働者供給になる場合等を業務委託であることによって規制逃れをする場合を指します。実際の規制例をみるとIT関係や建設業などで問題になることがあります。これは派遣などの場合にはかなり厳しい基準をクリアする必要がありますし,労働者供給と呼ばれるものについても同様です。



 今触れました建設業を例にとってみると,現場に応援に行ってもらう方について元請先から依頼を受け,自社が業務委託契約を結んでいる方に行ってもらうとします。一見すると,自社の業務である下請の作業を外部に委託するだけだから問題がなさそうに見えます。しかし,全く自社が関与せずに請負契約に基づく工事を丸投げすること自体が,建設業許可を受けている会社にとっては「一括下請負」という禁止行為(違反にペナルティがあります)にあたります。また,そもそも自社の業務を全く普段関係のない方に委託するとは考え難いことや日常従業員と変わらない形で働いているのであれば,実際は自社の従業員ですから,その方を業務委託の形で外部に働いてもらうのは,単なる雇用契約上の負担や規制(労災や残業代など)逃れになります。実際は現場で元請からの業務指示を受けているのであれば,派遣などになります。

 いずれにしても,規制逃れでペナルティを受ける可能性があります。雇用契約についての負担や規制はどの業種にも当てはまることでもありますし,実際派遣などではないのかという点は最近もIT関連でも処分例があるところです。

 このように,規制逃れのために業務委託を使うことは何かしらトラブルがあった際に自社に余計な負担をかけかねません.

以上のように,業務委託をフリーランスの方について使うことは便利ではある反面トラブルに至る可能性があり,行政からの規制やペナルティを含め余分な負担につながる可能性があります。そのため,どこまでのリスクを負うのか等をきちんとしておく必要があります。


三瀧寺参道の山茶花
 前回に続いて三瀧寺ですが、こちらは参道途中の山茶花。今年は少し早かったようで、紅葉との鮮やかなコントラストはあまり見られませんでした。先週(11月下旬)の方が見ごろだったと思います。

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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