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コラム

いまさら聞けない従業員を採用した際に問題となる身元保証とは?

2019年7月22日 公開 / 2020年3月22日更新

テーマ:労務問題

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 退職 手続き退職金制度 導入

はじめに


 身元保証人というと従業員を採用する場合に,親族になってもらう場合が多いと思われます。その意味は,従業員が何か不始末をした際の賠償に関する保証人という意味は有名です。それ以外の重要な点や今回の保証に関する法律改正の影響を受けるのか等の点を触れていきます。

身元保証人には期間の制限がある


 従業員を採用してからの期間は特に,正社員では期間の定めがないのが通常と思われます。保証人も無期限で責任を負ってほしいと思うところではありますが,法律上期間の制限があります。これは身元保証人についてはどの部分で保証人となるのかがはっきりしておらず,無期限となるといつまでも重くなる可能性のある負担を負いかねないためです。



 特に身元保証人の責任を負う期間を定めない場合には契約してから3年となります。期間を定めても最長は5年です。いくら契約書で10年としても5年になります。それよりも重要なのは自動更新は認められないとされていることです。そのため,更新をするのであれば,当初の期間を経過する際に更新となる身元保証契約をする必要があります。言い換えると,更新についての定めを置かない・更新をしますと契約書に入れておいたとしても無意味になってしまいます。

 それでは,何回も終了時に契約をしていけばいいかというとそうではなく,更新は一般的には一度限りであると考えられています。



 筆者の知る限り,多くの会社様では採用時に身元保証人を要求して契約書を作って契約をするものの更新をすることは少ないように思われます。長い期間での雇用であれば,身元保証人の意味が失われることもありえます。特に高額な商品やサービスを提供する場合等にはこうした事も考えておく必要があります。



身元保証人が負う負担に制限は?



 先ほども触れましたように,身元保証人は一般に負担限度がありません。そのため,使い込みに気付かず時間が経過していた場合・高額な商品を壊したケースなどでは保証人が大きな支払い義務を負ってしまうことになります。

 そのため,法律では,負担を負う元の原因が生じることについての経緯や会社側の落ち度などを考慮するとされており,必ずしもすべての損害を請求できるわけではありません。また,今回の改正の影響はこの部分でも生じますので,後で記載します。



 ちなみに,身元保証人が負担を負うのは,その従業員が勤務している際に起きたことである必要があります。また,その従業員が会社に対して法律上賠償義務を負う場合である必要があります。そのため,従業員に何の問題もないのに請求できることはありませんし,問題を起こしたにしても退職後の話には何も請求はできないです。



定年退職後再雇用の場合にはどうなる?



 定年退職の制度がある貴社では,嘱託など別の形で元からいる従業員を雇用するケースも多いかと思われます。それ以前にいた身元保証人が同じく負担を追い続けるのかどうかは先ほど述べた期間の問題もあります。ここをクリアしたとしても,特に何もすることなく身元保証人が同じように負担を追ってくれる(言い換えると契約は当然に引き継がれるのか)というのがここでの問題点になります。



 会社側としては当然引き継がれてほしいと思うところではありますが,通常定年後再雇用は別個に採用する形となります。言い換えると別の雇用契約となり,元の雇用契約についての保証が引き継がれるとは言いにくい点があります。また,給料や更新性になることなどもあり,契約の内容は大きく変わります。これは仕事内容が基本同じでもそこまでは変わりません。実際に裁判例の中にも今述べた話や再雇用の際の契約には身元保証人を新たに要求されなかったことなどを持って引き継がれないと判断したものがあります。



 そもそも,新たに身元保証人を要求するということであれば引継ぎは問題にならないように思われますので,契約内容がほぼ同じであるなどの事情がない限りはまず引き継がれないと考えておいた方がいいでしょう。ただし,通常こうした事はないでしょうから,新しく要求するかどうかだという話と理解をしておくべきかと思われます。



法律改正の影響は?



 身元保証に関する法律そのものは改正されていないので,身元保証人に関する事柄は大きくは変わりません。しかし,民法の改正によって大きく変わる部分があります。それは,改正された内容が実施される来年(2020年)4月以降に身元保証人を要求する場合は責任限度額の定めを契約書上入れておく必要があります。例えば,500万円まで責任を負う保証人というのであれば,契約書に限度額500万円としておく必要があります。この意味するところは,先ほども触れた保証人の負担を重くしすぎないというものです。そのため,こうした限度額の記載のない身元保証契約は無効になってしまいます。無効になると,身元保証人はいないということになります。それでは極めて大きな額を責任限度額としておけば問題ないかというと,限度を定めた意味を失わせることにつながりかねません。あまりに大きな負担ということになるとやはり無効になるリスクが出てくるでしょう。


吉備津彦神社のアジサイ

先月になりますが、吉備津彦神社のアジサイです。吉備津彦神社は吉備津神社の少し岡山市寄りにある神社で、御祭神は大吉備津彦命で、桃太郎伝説の元になっていると言われています。そのためか、絵馬や御朱印が桃の柄になっています。久しぶりに行きましたが、なかなかのたたずまいで、歴史を感じさせてくれる、おすすめの神社です。

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この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

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