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片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

クレームへの対応の注意点は?

2019年7月7日 公開 / 2019年7月21日更新

テーマ:消費者問題

 サービスの提供や商品の問題・その他従業員など様々な方からクレームが入ることがあります。クレームの対応については,様々なスタンスが考えられますし,クレームの大半は今後のサービス改善に役立つ側面が多くあります。他方で,全く根拠のない話を言われる場合や落ち度に比して無理な要求をされる場合,従業員の個人的な事柄での苦情もありえます。

 いわゆる反社会的勢力によるものかどうかという点もありますが,今回は反社会的勢力と呼ばれる方からの話は置いて,クレーム対応について一つの考え方を記載していきたいと思います。

クレームの聞き取りや社内での共有や対応の仕組みは重要


 クレーム自体,多くは実際に自社に落ち度があるケースと思われますし,要求の内容もその是正というケースになるでしょう。こうした場合に現場の方がそれに見合った謝罪や改善を図ることは重要です。

 面倒なのは,実際に落ち度があるケース(例えば,美容院でシャンプーなどで服を汚した,飲食店で食べ物に虫が入っていた)等のケースで,クリーニング代や提供したものの交換などこれに見合ったもの以外に,誠意を見せてほしいという話や具体的に高額な金額を提示された場合には,対応に注意が必要です。この場合に現場の方が対応するにもどうしたらいいか分からなくなりますし,回答の内容や仕方次第で感情的な(感情的でない場合も十分あり得ます)「お客様」の様子への対応は極めて負担になります。最近「カスタマーハラスメント」という言葉もありますが,こういった場面では従業員にきちんと指針を示して対応させるようにすることが,人の管理の側面からも重要となってきます。



 クレームの内容や対応についての整理は重要であり,その場合に,指摘を受けた場面でお客様に告げること・上司に引き継がせること・自社内での情報共有のための事実関係の確認や回答内容を記録して共有しておく必要があります。ちなみに,会社によっては電話をしてみると予め「サービス内容改善のために会話を録音します」というアナウンスが流れますが,対応内容を録音することが重要な場面は出てくるでしょう。

 この場合に,過大な要求をされる場合には謝罪は必要ですが,対応の可否などは権限を持つ方(店舗なら店長,小さい会社なら社長などになります)に引き継ぐよう定めておく必要があります。また,事実関係や要求内容・回答内容は記録を残しておかないとそれだけでトラブルになる可能性があります。記録は最悪LINEその他SNSのツールに保存しておき,そこでのやり取りというのもありえますが,きちんと記録して対応を決めるという意味では所定の書式を準備しておく意味は大きいと思われます。


クレームの原因と要求内容により変わる対応



 当たり前のことをいうようになりますが,クレームの原因が事実かどうかまず確認しないといけません。サービスに問題があるかどうかはクレームの出た場面で分かることが多いでしょうし,商品に問題があるかどうかも確認しておく必要があります。とりあえず迷惑をかけたという意味での謝罪をしておく(このことと責任を認めるというのは全く異なります)・事実確認をいつまでにして連絡をどのようにするのかを伝えておくことは当然必要になります。

 このような確認の結果自社に落ち度があるということであれば,要求内容を踏まえて対応を考えることになります。まったく事実が認められないものであれば,対応を拒否することになります。拒否した場合に相手が激高する場合には警察への通報や上司への引継ぎを行う等の対応をあらかじめ決めておく必要があります。



 問題になるのは過大な要求をされる場合です。落ち度があるために何かしらの対応が必要になるのは間違いありません。単に誠意を見せてほしいということもあれば,具体的なお金の要求をしてくる場合もあります。ここで誠意を見せてほしいという場合には具体的な要求ではないため,落ち度に見合う対応(その根拠も示したほうがいいでしょう)を具体的に示して反応を待つことになるでしょう。それでも誠意のない対応という回答である場合には,具体的な要求内容を求めそれがない場合には対応できないという対応方針をするのも方法の一つです。ここでの対応はあくまでも法的に見て理由のないレベルまでは対応が難しく,一部経営的に見て対応の必要があれば対応をしていくという前提に立っています。相手方(本来はお客様というところですが)が法的に見て妥当なレベル付近で落ち着くならば対応もありえますが,そうでない場合には解決案を示しつつも毅然とした対応が重要になってくるものと思われます。その理由として,相手に回答のレベルを上げさせてもっと上げようという態度であることが伺われれるためです。もちろん,実際には相手の対応なども含めてケースごとでの事情を踏まえて考える必要がありますが,要求内容が落ち度に見合ったものであるのかどうか・法的に見ても妥当なものであるのかどうか(損害として言われている金額や慰謝料が生じるのかどうかや金額など)について,頭に入れておいたうえでの対応に意味があるようにも思われます。



 監督官庁がある場合に,誠意ある対応をしないと通報するなどのクレームもありえますが,金銭請求を伴っているものと前後の流れからいえる場合には恐喝行為に該当する可能性があります。これは自社に落ち度があっても変わりません。第三者を介して要求を突きつける場合であっても,相手の要求内容の水準・そもそも回答内容を上げることによってわきまえられる相手なのか,また今述べた点も踏まえて対応を決める必要があります。



 相手を怒らせて話を変にややこしくする必要はありませんが,従業員の負担を大きくすることなく,適切な範囲での回答と毅然とした態度をどこまで見せるのか,きちんと決断していく必要があります。具体的な場面については別に取り上げたいと思います。



吉備津神社のアジサイ
 先月に行きました岡山・吉備津神社のアジサイです。ここ吉備津神社には、神社内に「岩山宮」という神社があり、そこへの参道にアジサイが咲いていて、この時期の名物になっています。
 この水車とアジサイ、風情ある組み合わせは岩山宮の鳥居から少し降りたところにありました。隠れた?名所です。

この記事を書いたプロ

片島由賀

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