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  1. 退職代行サービスとは?その2(退職代行業者による連絡などと問題点とは?)
片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

退職代行サービスとは?その2(退職代行業者による連絡などと問題点とは?)

2018年12月31日 公開 / 2019年1月13日更新

テーマ:労務問題

 前回のコラムでは「退職代行サービス」という最近よく聞くようになったサービスに関して,サービス概要と会社は退職を制限できるか・退職の際のトラブルに関して触れていきました。
 今回はそうしたサービスについて改めて触れたうえで,「非弁行為」の可能性という問題点を触れていきます。

1 退職代行サービスとは?


 よく聞くサービス概要として,退職の連絡が,様々な理由で行えない方の代わりに退職の連絡とその後の手続きを行うというものがあります。様々な理由には人手不足などの点から会社に説得その他されていること等もあります。事前にヒアリング(相談を受ける)ということもあるようです。

2 「非弁行為」の可能性?


 「非弁行為」と言われてもそれは何?という方も多いかと思われます。まず簡単に触れておきます。「非弁行為」とは弁護士法で定められている弁護士でないにも関わらず,「報酬を得る目的」で繰り返し行う意思をもって行ってはダメというものです。違反すると刑罰のペナルテイを受ける可能性があります(もちろん,事件として報道されるという可能性もあります)。 
 では何がダメかというと,法律事件にかかわる法律事務を行うこととされています。ここでいう法律事件とは何かには争いがありますが,少なくとも権利や義務について争いや義務がある話・新しい権利や義務の発生に関わる話を指します。ちなみに,弁護士会ではあらゆる法律にかかわる事柄を言うとしています。

 法律事務とは,代理や和解・交渉といった一般に弁護士がしているとイメージが沸くことに限られません。最近の裁判例では法律的な意味を発生・変更させる事柄・明確にさせる事柄・保全させる事柄も含むとされています。ここで重要なのは委任状をもらった代理人ではだめだけれども,単に意向を伝えるだけでは大丈夫とは簡単に言えない点です。
 退職代行の話に置き換えると,退職したいという本人から退職の話が出ていないのに業者が退職の意向を伝えるということになると,退職の意思を示しその後一定期間経過後には退職するという法律上の意味を発生させることもあります(これは正社員の場合と一部契約社員の方もありえます)。「やむを得ない事由」があるかどうかが問題になる場合には,紛争性もあります。
 そのため,単に連絡や手続き代行を行うから問題がないとは簡単に言えません。法律相談も費用をもらったと評価されればアウトになります。

 業者の方は当然代行費用をもらうわけですから,「報酬」=代行費用をうる目的とは言いやすくなります。ちなみに,ここでいう「報酬」とはこうした禁止されていることの対価といえるものであればいいとされています。

 また,ここでの規制はそもそも利益を得る目的で他人の事件に介入するのを弁護士に限定しようとするためのものです。利益を得ないで他人の事柄に介入しようという業者がいるとは思えませんので,通常ここはあまり問題とはならないでしょう。

 このように考えていくと,単に連絡でも本人が言えないから業者が会社に連絡すること自体にも「非弁行為」の可能性がありますし(ちなみに,当てはまるかどうかの裁判所の判断自体はありません。ただ,火中の栗を拾うというのはそれなりのリスクを背負う行為と言えます),損害賠償請求や嫌がらせ行為の存在・「やむを得ない事由」があるか問題になるケースは,禁止行為に該当する場合が多くなるでしょう。

 ちなみに,その業者が弁護士と提携している場合でも,紹介料を顧客に請求している場合には「非弁提携」と言って,同様に禁止とともに刑罰を受ける可能性がある行為となります。ここでの紹介料は弁護士に請求をするのも禁止されています。顧問弁護士に対応してもらおうとしても,ここの紹介料の問題をどうクリアするのかも課題となりうるでしょう。そもそも,顧問弁護士側もリスクを負うかどうかという問題もありえます。

 長くなりましたが,広島のある士業でも問題となったこうした「非弁行為」にあたる場合の業者側のリスクにはもう一つあります。それは,そもそも依頼を受けた契約自体が無効になるとともに,支払いを受けた報酬を顧客に返す必要があるという点です。ちなみに,最近はインターネットの削除を本人に代わって行う業者についてこうした裁判所の判断が出ています。

 バレなければ大丈夫だと思っても捜査機関に加えて弁護士会も調査活動をしています。せっかくのビジネスモデルも刑罰などのリスクを大きく負うかどうかなど問題のあるところです。代行業者から連絡がかかってきた会社の方もこうしたことを頭に入れて対応をしたほうがいいのかもしれません。


安芸郡海田町の大師寺
 少し前に行きました、安芸郡海田町の大師寺です。険しい山に沿って寺院の建物があります。初詣には賑わうのではないかと思います。

 今年も幣事務所のマイベストプロ・コラムをご覧頂き、誠にありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。
 来年も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

このコラムに関連する内容をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
退職代行サービスとは(その1・退職は制限できる?退職の際の問題点とは?)

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片島由賀

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片島由賀(勁草法律事務所)

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