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片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

変わる民事上の「成年」の年齢,どんな影響がある?

民法

2018年6月23日 / 2018年9月17日更新

つい先日ですが,「成年」に達する年齢が20歳から18歳に引き下げられる方向で民法改正案が成立しました。
これにはどのような意味があり,どんな影響があるのでしょうか?関連する法律の改正などとともに触れていきます。

民事上の「成年」の改正とは?


今回成立した民法改正での民事上の「成年」の変更,これはいったいどのようなものなのでしょうか?これまで,成年というと20歳,全て同じだというお考えの方がいたかと思われます。実際にはそうではなく,選挙はいつからできるのか・刑事事件を起こした時に成人としての責任を負うのはいつからか・飲酒や喫煙は何歳から法律上許されるのかすべてバラバラです。

前回の国政選挙では18歳から投票ができるということで,学生の方がどう考えるのかという話題がニュースで出ていました。これに対して,ここでいう「成年」とは,簡単に言えば,一人でいつから有効に契約ができるのかという話になります。

これまで,「未成年」の方は保護者の同意がないとアパートその他の契約ができないという形になっていました。こうした話はよく見られることかと思われます。その理由としては,未成年の方が契約をした場合は原則として取り消しができる・例外として,保護者が同意や代理をした場合,未成年の方が成人であると偽った場合は取り消しできないとされていたからです。ここでいう「取り消し」とは,簡単に言えば,契約の効力を後から否定できるという話になります。
 
今回の改正では,
①こうした契約の取り消しができなくなる(言い換えれば,一人で契約ができる)年齢を18歳以上とする
②男女ともに結婚ができる年齢を18歳からとする
③飲酒や喫煙の法律上の禁止などはそのまま維持する(つまり,20歳以上のまま)
④18歳から19歳までの方が,断れない形で契約をすることになった場合などの法律上の保護策を増やす
などの点が改正をされる方向です。

改正の影響は?

先ほど触れましたように,未成年の方が契約をしても基本的には取り消しをして,契約の効力を否定できますから,その影響は大きいです。18歳や19歳の学生のお子様がいる方の場合には,うかつに下宿先等で契約をしても後でその効力を否定することで被害などを防ぐことができます。こうした方を相手に商売をされる方は,保護者の方の同意を慎重に得る必要がありました。
こうした事柄が今後変化します。結婚可能年齢の変化もさることながら,このような点の変更は大きな意味を持つものと思われます。

ここで出てくるのが,社会経験がそこまでない18歳から19歳の方(実際には20歳を超えたからといって,当然に社会経験があるわけではないでしょう)の場合に,うっかり契約締結に至った場合,今後どうすればいいかということです。この点に対応するために,現在,消費者契約法という法律が改正され,保護される場合(言い換えれば,対応する事柄があった場合に取り消しができる場合)が増える予定になっています。

①不安をあおる告知 
②恋愛関係など人間関係を利用して契約に至った
③契約をする前に,契約によって行う事柄を実施した場合
④利益になることを告げることで,不利なことがない,と買い手が信じた場合に不利益なことを敢えて告げない場合の範囲を拡大

このほか,事業者側が契約で責任を負う場合を自ら決める事項を定めた場合であっても,そうした決まりを無効とするなどの点も改正予定です。

分かりにくいので具体例を上げます。
①の例は,就職活動その他を行っている学生に,不安をあおってこのセミナーを受けないと一生成功できないなどといって,セミナーに誘いバックエンド商品を買ってもらう場合です。②の例は,恋人商法(デート商法)その他人間関係を利用して,買ってくれないと関係を切るなどといって,契約させる場合です。③は,注文をする前に,必要な事柄を業者側でしておく場合です。

これに対して,④はこれまでも取り消しが可能な場合がありましたが,販売側が敢えて告げないという事柄までを要求していたため,実際の取り消しが難しかったのを,当然分かっていて告げなかった場合まで拡大をしたものです。
ちなみに,無効になる場合として挙げると,例えば,販売業者側が責任があると認めた場合のみ損害賠償責任を負うなどの項目をいくら契約書に入れておいた場合です。この場合はこういった項目を入れても意味はありません。契約書に入れておけば,その項目が相手を拘束するのが原則ですが,強制的に例外を設けるのがこの項目の意味といえます。

いずれにしても,未成年だから問題が大きい,だから取り消せるようにしようというものではありません。成人であっても①~④には該当する場合がありえます(つまり,成人であっても①から④に該当すれば取り消し可能です)。事業者側は,努力義務にすぎませんが,何通りも解釈できるような文言を設けない・販売するときは,取引相手の知識などを踏まえた情報を提供するように義務付けられています。あくまでも,強制力のない義務ではありますが,「消費者トラブル」を避けながら,ご商売をされる場合には意味がある話になるのではないかと思われます。

このように,10代後半の方の一部をお客様とする場合,お子様がいる場合には,影響が出てきますから,注意が必要でしょう。

岡山・撫川のRSKバラ園のばら
先日行きました、岡山・撫川のRSKバラ園のバラです。少し行きのが遅かったため、ロックガーデンの山野草の花は終わっていましたが、バラは新しく花が咲いてきていて、まだ見頃のようでした。

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