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片島由賀

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片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

相続関係の民法改正案について(その3・自分で作る遺言書にまつわる改正)

相続

2018年5月21日 / 2018年8月18日更新

相続に関わる民法改正案がこの通常国会に提出されています。今回は、自分で作る遺言書(「自筆証書遺言」といいます)にまつわる改正案について、これまでの法律の規定・運用とその不都合な点、改正でどう変わるかについて解説します。

遺言書にはどんな種類があるでしょうか?


遺言書というと、大きく分けて自分で書いて作成をする、「自筆証書遺言」と、先に挙げました、「公正証書遺言」の二通りあります(これ以外にも、やや特殊な「秘密証書遺言」や特別な方式のもと作成が認められている遺言もありますが、ここでは省略します)。

費用はそれなりにかかりますが、法律の専門家である公証人(一般的には裁判官や検察官のOBの方)が作成をしてくれる公証役場での「公正証書遺言」にすることが多いです。「公正証書遺言」であれば、公証人役場で遺言書の原本の保管をしてくれますので、あとで無くなっても、再度写しの請求ができます。
ただ、この公正証書遺言の場合は、きちんとした手続きを踏まえて作成する分、何度も作り直すには手間がかかる上、費用もかかります。

これに対して自筆証書遺言は、自分でいつでも作れるという手軽さがあるため、一度作ったものでも、時が経てばまた新しく作れるというのがメリットです。ただ、高齢の方になると、特に遺産が多いと財産目録まで全部書くには負担があります。また保管をきちんとしていないと、偽造されたり、隠されたりして相続発生段階で見落とされてしまうという大きなリスクがあります。また、自筆証書遺言の場合には、必ず裁判所の「検認」という手続きをしてもらう必要があります。「検認」とは、遺言書の形状(どういう用紙に何枚書かれているか・封印の有無など)や遺言書の日付、加除訂正の有無など形式面で、裁判所の記録に残してもらう手続きです。この手続きをしてはじめて、自筆証書遺言に基づいて銀行から払い戻し手続きをしたり、登記手続きをとることができるようになります。なお、この「検認」の手続きは、遺言を残した人の判断能力など遺言書の中身の有効性にまで立ち行ってチェックしません。その点を争う場合は別途裁判手続きによる必要がありますので注意が必要です。

民法改正案ではどう変わる?


今回の法改正では、こうした自筆証書遺言のデメリットを踏まえ、2つの点を変更する内容になっています。

一つは、自筆証書遺言の、自分で作成しなければならない範囲の緩和です。つまり、相続財産の全部または一部について目録を付けるときは、その部分は作成する人が自分で書かなくてよくなりました。ただし、その場合には目録の各ページに遺言を作成する人が自分で署名して、印鑑を押さなければならないとされています。

もう一つは、自筆証書遺言を保管する制度が新しくできる点です。
これは、法務局が遺言書の保管を行い、保管していることを証明する書面の発行を求めることができたり(遺言者の生存中は制限があります)、先の検認の手続きをいらないとすることで、より自筆証書遺言を利用しやすくする仕組みになるといえます。

遺言書があれば、あとのいわゆる「争族」となるのも防げたのにというケースはよくあります。トラブルを防ぐためにも財産を残す人が少しでも遺言書を作りやすいよう、法律を整備することは大事になってきます。
この相続に関する民法の改正案がいつ・どんな内容で成立するか、引き続き動きをチェックする必要があるでしょう。



画像が回転していますが、カーネーションの写真です。緑色の葉っぱもカーネーションの一種らしいです。今年は早く梅雨入りしそうですね。

このコラムに関連する記事をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
相続関係の民法改正案について(その1・配偶者居住権)
相続関係の民法改正案について(その2・配偶者以外の貢献でも寄与に応じた請求が可能に 

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