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片島由賀

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片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

相続関係の民法改正案について(その1・配偶者居住権)

相続

2018年3月16日 / 2018年8月18日更新

相続分野の民法改正案が3月13日に通常国会に提出されました。改正になれば、相続について40年ぶりに大掛かりに変更することになります。改正の内容としては、遺産分割に関して新しく制度ができたり、自分で作成する自筆証書遺言の規定の変更、遺留分制度の見直しなど、色々な範囲にわたって変わるものとなっています。
今回は新聞などの各種報道でも比較的大きく取り上げていました、「配偶者居住権」を見てみます。

配偶者の居住権を守る内容とは?

既に高齢になられた世代の場合は、不動産の名義は一方で(相続の発生がない限り)共有になっていないことが多いです。ことに夫が先に亡くなり、妻があとに残されるという場合には、今住んでいる家が夫だけの名義であると相続の対象になり、遺産分割をどうするかという問題になってきます。

相続人が妻と子であれば、子供も実家から出ていてたちまち住むところに困るわけではなく、妻(子供からみて母)が元気なうちはそのまま自宅に住んでもらい、その後の相続で調整をするということが多いのではないかと思います。しかし、相続人に前妻の子供がいたり、子どもがいなくて妻以外の相続人がきょうだい、となると、お金を受け取りたい相続人から家の売却を求められて、残された妻(場合によっては夫)の住むところがなくなって困ることになります。

そういった問題を防ぎ、残された配偶者の住むところを確保するものとして、今回「配偶者居住権」という新しい概念が出てきました。

配偶者居住権の具体的な中身は?

今回の改正案では、「短期居住権」と「長期居住権」と2種類の権利が定められています。
「短期居住権」は、配偶者が相続が開始されたときにただで建物に住んでいたとき、遺産分割で建物を取得する相続人が決まったとき・あるいは相続開始から6ヶ月を経過する日のどちらか遅いときまでの間、相続で取得した人に対してただで住むことを認めるものです。

また、「長期居住権」は、配偶者が遺産分割で配偶者居住権を取得したとき・遺贈などで取得したときに基本的には配偶者が死亡するまで認めるものです。この長期居住権については、設定の登記もできますし、取得した場合にはその財産的な価値に相当する金額を相続したと扱います。

なお、今回の改正では、結婚期間が20年以上の夫婦の一方が他方に居住用不動産の遺贈・贈与をしたときは、基本的に遺産分割の対象外とされることになります。これまでは持ち戻しといって、こういった贈与・遺贈されたものは相続財産に入れてその上で法定相続分に応じて分割されていましたが、持ち戻しをしなくて良くなるので大きな変更点になります。

なお、「短期居住権」「長期居住権」とも譲渡禁止になっているので、一定以上建物に住むのを前提にするのが望ましいでしょう。ただあとで施設に入るというケースもありうるため、その場合は建物所有者に買い取ってもらう・建物所有者の承諾を得て賃貸するということも考えられます。

最終的な改正の内容がわかるのは先のことですが、引き続き注視しておくべきでしょう。


先週の縮景園の梅の花です。最後の見頃とのことでしたが満開でした。ここ最近桜が咲いているのを見かけるようになり、あっという間に春になりそうです。

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