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片島由賀

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片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

改正民法の施行日が決まりました⑴(意思能力の明文化)

民法

2017年12月19日 / 2018年9月17日更新

今年(平成29年)5月に民法の改正案が成立しました。今回は民法の債権法に関する重要な改正となりますが,この分野は民法施行以来,約120年にわたって中身について立ち入った改正が行われてきませんでした。
施行日は法律成立後2,3年以内とのことでしたが,今回施行日が平成32年(2020年)4月1日と決まったとの報道がありました。

この民法改正は、先に触れましたように、債権法という分野についての改正ですが、かなり広い範囲にわたります。日常生活にかかわるところでいうと、消滅時効の期間を統一的にしたこと,賃貸借契約における敷金・原状回復について,ルールを決めたこと,約款というとウェブ利用規約で馴染みがあるのではないかと思いますが,定型約款という,約款に関する規定が設けられたこと…などが挙げられます。

民法改正は、家族法にまつわる分野には直接影響しない部分が多いですが、多少影響するところもありますので,今回はこの少し関連するところについて取り上げます。

意思表示に関する規定の明文化


 契約という重要なこと,あるいは結婚など身分にかかわること,遺言を残すなど行為を行ったあと(遺言作成者死亡後)で重要な結果が生じるもの,などについては,そういった契約などをしたときに,「意思能力」がなければならない,とこれまでも考えられてきました。
 この意思能力というのは,抽象的にいえば,自分の行ったことの性質(あとから生じる影響など)を判断できる精神能力のことをいうとされています。こういった能力がかけた上で行った意思表示は無効(法律上,効果が生じない)と扱われてきました。
ただ,具体的にはどういった場合に,この意思能力がないとみるかはなかなか難しい問題です。行為の性質によって意思能力があるとみるかも変わってくるとされていて,複雑な行為ほど意思能力の有無は厳しくみていくことになります。
おおむね10歳未満の子供,同程度の知能とされる障がいをお持ちの方,泥酔した人は意思能力がないとされています。ちなみに,遺言をするにあたって必要とされている遺言能力は,意思能力,つまり遺言の内容及びその法律効果を理解判断するのに必要な能力が備わっていればよいとされています。法律上満15歳になっていれば遺言できるとされていますし,成年後見制度を利用している人(成年被後見人)などでも要件を満たせば遺言書を作成することができます。

改正民法ではどう定められたのでしょうか?


今回の民法改正では,こういった,意思能力に関する実務の運用を踏まえて,明文の規定を設けています。
「民法3条の2
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは,その法律行為は,無効とする。」
中間試案では,意思能力について,「法律行為の当事者が,法律行為の時に,その法律行為をすることの意味を理解する能力を有していなかったとき」と,意思能力の意味を織り込んだ案が提案されていたようです。しかし,今回の改正では,意思能力の中身に関する定義付けは特にされていません。
近年,高齢化に伴ってか,ご高齢の方の法律行為(特に遺言や贈与)について,そのときに本当に判断が十分できたのか,中身をきちんと理解した上で行っていたのか,が問題になることが増えてきたように思います。
上のように,今回の法改正では意思表示の中身については立ち入って定義していませんので,具体的に問題となる法律行為の性質とともに,意思能力の有無が今後も問題になってくるでしょう。

次回は,消滅時効に関する規定の改正について取り上げたいと思います。

女学院前の寒椿?
冬になると外で花をみる機会が少なくなるように思いますが、よく見てみると意外に花が咲いているのを見かけます。これは女学院前で咲いていました寒椿?の花です。こういった花を見かけると寒い中でも少し元気が出てきます。

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改正民法の施行日が決まりました⑵(消滅時効の期間の変更)

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2018-09-16
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