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片島由賀

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片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

コラム

有責配偶者からの離婚請求は認められますか?(2)(「相当長い」別居期間とは)

離婚原因

2016年4月21日 / 2018年12月9日更新

 有責配偶者からの離婚は、話し合いがつかなくなると、離婚が認められるにあたってのハードルが高い、という話を前回しました。
 前回は、そもそも「有責とはどんなことをいうのか?」を中心にお話しましたので、今回は、離婚を認められるかどうか、最高裁判所が示した3つの要件を中心に見ていきたいと思います。

 

有責配偶者からの離婚と別居期間

 前回触れました、昭和62年の最高裁判所大法廷判決で示された基準をもう一度挙げておきますと、
①年齢・同居期間と比べ相当長い期間別居 
②未成熟の子どもがいない場合(未成年よりは広い)
③離婚により、(有責でない)他方配偶者が、精神的・社会的・経済的に苛酷な状況におかれるといった、離婚請求を認めるべきでない特段の事情がないとき
には、離婚を求める配偶者が有責であっても離婚が認められるというものです。
 この3つの要素は、個々の事案ごとに総合して考慮することになります。上記要件のうち、②・③(特に②)は比較的判断しやすいと思いますが、一番判断に差が出てきやすいのが①の別居期間に関する判断でしょう。
 この、①の「相当長い期間」の「別居」がどんな場合をいうのでしょうか。

 上記最高裁判所の事案は、判決のときで結婚50年、別居期間が約36年と、双方の年齢と同居期間と比べるまでもなく「相当長い」といえるものでした。
 ただ、別居期間については、最高裁判所の判断でも次第に短くなっている傾向があり、この翌年の昭和63年の最高裁判所の判決では、約22年の別居、約16年、約10年あまりの別居でそれぞれ「相当の長期間にわたる別居」と判断されています。もっとも、約10年あまりの別居で離婚を認めた事案は、仕事柄、同居期間がかなり短く、双方ともまだ年齢的に若いことなども考慮されたようです。
 その後は8年あまりの別居では離婚請求が認められたものと棄却されたものとに分かれています。棄却された方は、同居期間22年あまりという事案、認められた方も同居期間はほぼ同じですが、単に数字的にみて、ど別居期間と双方の年齢、同居期間をみるだけでなく、時の経過により変化した諸事情も考慮すべきとしています。
 他の要件のうち、②については、この事案も未成熟の子どもがいないケースですが、別居後も相手方と子どもたちの生活費を支払い続けていたこと・別居後不貞行為をまもなく清算したこと・財産分与で誠意ある提案をしていること、といった事情を考慮していて、主に③の要件を満たすことから、離婚を認めたもののようです。

 これに対して、下級審の裁判例も上記最高裁判所判決の枠組を踏まえているものが多いようですが、やや柔軟に考えるものもみられるようです。
 別居期間6年で、離婚を認めたもの・認めないものと分かれる一方で、1年あまりの別居でも離婚を認めたものもあり、かなり幅が見られます。

 結局のところ、どのくらいなら「相当長期間の別居」といえるかは、裁判官によって判断が異なってくるため、一概にいえないところです。離婚の話し合いがつかず、裁判にまでなったときは6年〜8年くらいは必要とみていた方がよいでしょう。ただ、②、③の要素も含めて、最終に離婚が認められるか判断されることは留意すべきでしょう。
 
広島女学院横の藤棚
 広島女学院横の藤棚の写真。藤棚の下を通るとほのかな香りがしていました。
 暦の上では、穀雨(4月20日)にあたるようです。田畑の準備が整い、それにあわせて春の雨が降るころだそうで、ちょうど今日も雨模様です。晴れているときは、春というより初夏の陽気のことも増えてきました。今年も暑い夏になるのでしょうか…?

 
 
 
 

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2018-12-05
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