マイベストプロ広島

コラム

離婚後の養育費の支払いについて(3)

2015年7月18日 公開 / 2020年3月29日更新

テーマ:養育費

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 離婚問題養育費 不払い養育費 相場

 これまで、離婚の際に養育費の額を一旦決めたものの、事情が変わり、金額の変更を求めることができる場合を中心にお話してしました。
 
 今回は、決められた養育費について支払いがされないときについて、取り上げたいと思います。

 養育費を決めたといっても、どういう形で取り決めをしているかによって、その後とるべき手続きが変わってきます。
 話し合い(協議)で離婚をし、そのとき養育費を取り決めたものの、単なる口約束であれば、約束違反があっても、ただちに強制力をもった手段をとることはできません。そもそも支払いがない場合、話し合いで再度決めることができないのが通常でしょう。そうであれば、養育費の支払いを求める調停を家庭裁判所に申立てて、その中できちんと金額を決めて、調停調書という、もし支払いがなければそれにより強制的に未払養育費を回収できるような書面を作ってもらうことになります。

 これに対して、決めた養育費について、公証人役場で公正証書という、のちのち強制力をもった手段がとれる書面を作っている、あるいは離婚調停の中で養育費についても取り決めて、調書にした、あるいは離婚裁判で和解、判決の中で養育費の定めをした、そうであるにもかかわらず、支払いがされないときは、公正証書・調停調書、和解調書や判決書を根拠に、裁判所に、相手の資産・給与の差し押さえを求める手続きをいきなりとることも可能です。

 ただ、とくに給与の差し押さえとなると相手の勤め先に当然分かってしまうことから、差し押さえをすることで、相手が会社にいずらくなり、やめられては困る、とちゅうちょするケースもあるでしょう。それに子どもの生活にかかわるお金なので、できれば自主的に支払いをしてもらいたいところです。

 養育費の未払(生活費の未払もですが)のときは、そういった強制的な差し押さえの手段をとる前に、まずは家庭裁判所から、養育費の支払状況を調査の上、支払いをするよういってもらう、履行勧告という方法があります。支払いを受ける人からいうよりも、家庭裁判所という公の機関からいってもらうことで、相手にも心理的な強制力が働き、支払いをしてもらえることもあります。

 ただ、それでも支払いがされないのであれば、履行勧告には強制力がないため、支払うよう、家庭裁判所から命じてもらう、履行命令、それでも支払いがないなら、結局のところ給与の差し押さえといった強制執行によらざるをえません。

 養育費のように扶養に関するお金に関して、定期的に支払われる債権への差し押さえは、通常の差し押さえと異なり、給与から社会保険料などを控除した額の1/4という制限ではなく、1/2まで差し押さえができる上、1度未払があればいまだ支払い期限がきていない、将来の養育費分までも一度の申立により、取立てできるというメリットがあります。

 しかし、このメリットもあくまで相手にきちんとした収入があることが前提なので、定職についていない、あるいは離婚後勤め先が変わり、どこに勤めているかわからないという場合などは、給与の差し押さえによる回収は難しいでしょう。
 なお、今後予定されています、民事執行法の改正により、「財産開示」の手続きが利用しやすくなることになります。「財産開示」とは、お金に関する請求で裁判の判決を得た人が、判決に基づいて相手方の財産の差押さえる準備にあたり裁判所を通じて財産の情報を取得するものです。
 これまでの手続きでは、申立をしても相手方が財産開示の期日に来ないということが多く、実効的でなく使い勝手が悪いとされていました。
 今回の改正では、
・財産開示の手続きを使うことができる場合が増えた
・財産開示の手続きに応じない場合の相手へのペナルティを強化し,実効性があるようにした
・財産開示の手続きで,相手の財産の有無を銀行などや法務局・年金事務所等の機関に照会できるようになった(これは新設です)
となっています。このうち,年金事務所等は相手方の勤務先を実質照会する内容のものになりますから,給与差押へのインパクトは大きくなるでしょう。こういった民事執行法の改正の動向によっては、今後勤め先が変更されても回収できる場合は出て来ると思われます。

 養育費は、お子様の年齢によっては、かなり長期にわたっての支払いになるもの。金額を決めるときはもちろんですが、その後の支払いがきちんと確保できるような備えをしておくことが大切でしょう。


岡山足守・龍王池にて

このコラムに関連する内容をご覧になりたい方はこちらの記事をどうぞ。
民事執行法改正案が成立しました(お金の回収時の相手の財産開示の強化や子供の引渡しルールの明確化)

この記事を書いたプロ

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

片島由賀(勁草法律事務所)

Share
関連するコラム

片島由賀プロへの
お問い合わせ

マイベストプロを見た
と言うとスムーズです

お電話での
お問い合わせ
082-569-7525

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

片島由賀

勁草法律事務所

担当片島由賀(かたしまゆか)

地図・アクセス

片島由賀のソーシャルメディア

instagram
Instagram
facebook
Facebook