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エゴグラム

2022年11月21日

テーマ:社員研修

コラムカテゴリ:ビジネス

 人間の性格は、親から受け継いだものや、育った環境、その人の年齢、経験などさまざまな要素で作られるものです。このような複雑な性格も、5つの心の領域に分けることができます。5つの心とは、以下のものです。

CP=厳しい心。正義感が強く理想に燃える心。
NP=愛性の心。優しく保護する心。
A=大人の心。冷静に分析する理知的な心。
FC=自由な心。天真爛漫で無邪気な心。
AC=順応する心。いい子を演じようとする心。


 この性格分析は、アメリカの心理学者J.M.デュセイが作ったもので、基になっているのは、アメリカの精神分析学者エリック・バーンの開発した交流分析法です。
 研修では、自分のエゴグラムパターンをグラフにしていただきます。そのエゴグラムパターンが自分のいつもの発言や行動のパターンを生み出す原動力であると考えてよいと思われます。自動車を例にすれば、5気筒のエンジンを積んでいる状態です。その5気筒のエンジンをどのように調整していけば、自動車にとって最良の状態となるか?エゴグラムも同様です。すでに十分調整されていてこれ以上調整を加える必要がない、という場合もあるでしょうし、また相当調整しないかぎり自分が最良と思える状態には至らないという場合もあるかと思います。もし、現状に十分満足できない状態であると感じているならば、また、本来はこうありたいと望むのであれば、自身の力で自分の心の状態を、次いで発言・行動のパターンを修正していくことが可能です。

 この自ら行う修正を「自己変容」と呼びます。その方法は数多くありますが、ここでは手間がかからずすぐに着手できる方法をその一例として簡単に紹介します。
(1)変容しようとする目標をはっきり定める
 今の自分にとって足りないと思われる部分や強く出過ぎていると思われる部分を把握しながら、現状のエゴグラムの上に、自分にとって理想と考えられるエゴグラムパターンを描いてみます。(一般に、高いNPとFC低いACが理想形といわれますが、必ずしもそれに拘束される必要はありません。高いコミュニケーション力を発揮するには高いAが求められます。)
 現状のパターンをつくる線と、理想的なパターンをつくる線とで囲まれた部分が、自己変容を果たしていくために努力すべき部分として表示されます。
(2)自己変容の方向はプラス思考で捉える
 自己変容を果たすための第一歩は、低い尺度があればそれを高くしていく(伸ばしていく)方向で自らの発言や行動に積極性をもたせ、あるいは抑制していくことを考えます。 一般に、ある人がもっともその人らしい行動を起こすのは、5つある尺度のうちもっとも高い尺度によるものと考えられます。当然その高い尺度は、それだけの(心的)エネルギーをもってあなたの意識を支配しているものと考えられますから、それを無理に押し下げようとすることは難しいと思われます。 ですから、無理して高い尺度を押し込めるのではなく、低い尺度を上げていくつもりで全体のバランスをとるようにしていけばよい、と考えます。

 グラフの見方、活用の仕方として、次のようなものもあります。
エゴグラム1
 まずはCPとNPの頂点を線で結びます(1)。次に、FCとACの頂点を線で結びます(2)。そして最後に、CPとACの頂点を線で結びます(3)。この3つの線の傾きは、自分が「自律的」か「他律的」かを示しています。

 ① CPとNPの傾き=仕事面での傾向
 ・右肩上がり・・・調整的に行動する人(他人軸で行動する人)
 ・右肩下がり・・・自律的に行動する人(自分軸で行動する人)
 ・ほぼ水平・・・バランスを取って行動する人

 ② FCとACの傾き=私生活面での傾向
 ・右肩上がり・・・調整的に行動する人(他人軸で行動する人)
 ・右肩下がり・・・自律的に行動する人(自分軸で行動する人)
 ・ほぼ水平・・・バランスを取って行動する人

 ③ CPとACの傾き=最近の生活での傾向
 ・右肩上がり・・・調整的に行動する人(他人軸で行動する人)
 ・右肩下がり・・・自律的に行動する人(自分軸で行動する人)
 ・ほぼ水平・・・バランスを取って行動する人


 エゴグラムのグラフを使うと、相手との相性を判断することもできるといいます。具体的には、エゴグラムのグラフを横向きにして、左側からは自分のグラフを、右側からは相手のグラフを描きます(相手にエゴグラムのテストを受けてもらうことが難しい場合は、こちら側の想像でグラフを描いて構いません)。
 下図はその一例です。
エゴグラム2
 グラフの重なりには、その度合い応じて、以下のように4つの名前がつけられています。

① 共有(in common)
 お互いのグラフが重なり合っていて、共通点が多い。
② 不完全(incomplete)
 お互いのグラフの間に空間があり、共通点が少ない。
③ 補完(complementary)
 お互いのグラフが接していて、不足する部分を補い合っている。
④ 準補完(not incomplete)
 不完全だが、ゆったりとお互いを補い合っている。

 名称から容易に想像がつくように、「共有」が多ければ相性がよく、「不完全」が多ければ相性が悪いということになります。相性が悪い相手の場合は、グラフの隙間を埋めてくれるような第三者を介在させるとよいとされています。
 例えば、NPのグラフが離れている職場の2人は、会議ではお互いに自分の主張を言い合って、相手の意見に耳を貸さないかもしれません。その場合は、NPが高い第三者を必ず会議に同席させるようにすると、コミュニケーションが円滑に進むようになります。また例えば、FCのグラフが離れている夫婦は、子どもが生まれると、子どもの高いFC("Free Child"という名の通り、子どもは概してFCが高い)が夫婦間の溝を埋めてくれるようになります。子どもの独立後は再びFCの溝が生じる危険性がありますが、今度はペットを飼えば、子どもと同じような役割を果たしてくれるといわれています。

この記事を書いたプロ

下裏祐司

事業と社員の成長を導く企業活性化コンサルティングのプロ

下裏祐司(株式会社飛泉)

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