息子は高校生の頃スカウトを受け、東京の芸能プロダクションに所属していました。高校を卒業し、東京の所属事務所までレッスンを受けに行っていたのですが「滑舌が悪くオーディションに通りにくい。地元でもボイストレーニングを受けるように」と言われました。水谷さんのことは、他の事務所に所属しているお子さんのママ共から「親身になって相談に乗ってくれる、すごくいい先生がいる」と聞いていたので紹介していただきました。体験レッスンで水谷さんが元マネージャーと分かると、息子が「地方に住んでいてはチャンスが減りますよね？早く東京に行って活動したい。東京で一人暮らしした方がいいですよね？」と言い出しました。親としては、息子はのんびりした優しい性格で、東京で一人暮らしさせるのはどうかと思っていました。水谷さんは「事務所から具体的に仕事があるから、東京に出てくるようにと言われてるの？仕事もないのに東京に行くってことはアルバイト生活で暮らしするってことだよね？東京で一人暮らしするのに月に幾らかかるか分かる？それをアルバイトで稼ぐって、どこで一日何時間働くか調べた？今、自分の生活に関わる家事はどのくらい自分でできてるの？」など、具体的な生活プランが立っているか、かなり細かく聞いて下さいました。息子は案の定しどろもどろで、答えられずにいると「君は芸能人って何だと思っているの？オーデションは仕事を取りに行くんだよ？仕事だと分かってる？」とバシッと言ってくださいました。その後、私に「息子さんの意思を尊重し、芸能の道に進むのを応援してくださるなら、息子さんには自分のことは自分でやらせてあげてください。息子さんをご自身の同僚と考えて、一緒に仕事できる若者に育ててください」とアドバイスくださいました。目が覚める思いでした。家族共々甘かったと考え直しました。「事務所から呼ばれる、もしくは中長期の定期的な仕事が入るまで、岐阜でしっかり努力する」と決めてレッスンに通いました。息子は1年ほど通い、舞台のオーデションに通ったのをきっかけに、東京に旅立つことになりました。あの時、相談して本当に良かったと、今でも感謝しています。