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鈴木樹雄

建設業の利益増加に特化したコンサルティングのプロ

鈴木樹雄(すずきたつお) / 税理士

税理士法人ヤマト(税務業務)、(株)ヤマトシェアリング(コンサルティング業務)

コラム

下請建設会社の営業支援で実践したこと4つ

2021年6月7日

テーマ:建設会社の営業支援

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 経営戦略業務改革事業計画書

創業以来30年間「営業」をしたことがない下請建設会社に「粗利益増加及び営業体制確立」コンサルティングを始めて半年。自らを営業向きではないと言う二代目社長と共に実践したことは4つ。馴染みの建設会社からの見積依頼に応じた受注か、自社専属の職人が遊ばないように同業者に下請を働きかける(同業者の応援)以外にいわゆる営業活動を行ったことがない社長がどのように変わったのでしょうか?
最も大きな変化は、予定していた現場を失注した時に、SOSを発信できるコンサル(=私)がいることです。スーパーゼネコン、中堅、地場の建設会社や建設会社に影響力のあるデベロッパー幹部に同業者まで、社長と連携して動きまくりました。最大で10名の職人が遊んでしまうと必死に動きましたが、降ってわくように都合のよい案件が出てくるのは至難の業でした。
元請建設会社毎の予測案件表を造り込み、自社専属職人を遊ばせず粗利益を取れる現場を狙って受注する(=営業体制確立)ことが如何に大切かを痛感しました。建設業の粗利益支援については「建設業の粗利益を増やすために重要なこと3つ」に記していますので、ご参照ください。

建設現場イラスト

何故、現場毎の工事利益率に大きな差が生じるのか?


オリンピックにより増加した建設工事の反動やコロナの影響により「漠然とした先行き不安」を感じていた社長は、セミナーや勉強会への参加や複数回の個別面談により当社との関係性を深めました。全社員面談や財務及び現場毎の工事利益資料等の徹底的調査により経営改善計画を策定したプロセスの中で驚いたのは、現場毎の粗利益に大幅な差があったことでした。
受注時の目標粗利益率20%に対し、マイナス10%の赤字現場もあれば、40%の利益率の現場もあるなど、同じ時期に同じ種類の工事を行ったとは思えないほどの大きな差がありました。社長に理由を尋ねると、共同住宅以外の図書館などの特殊工事で見積落ちがあった(これは仕方がないと納得できます)他に、職人の仕事を確保するために同業者を応援(下請)した利益率2~3%程度の現場もあるとのことでした。高い利益率の現場は、元請建設会社の現場所長との関係性がよいからとの返答。社長の了解を得ないと受注できないルールですので、受注時の粗利益管理は行っていても、工事進捗時の粗利益管理を行っていないため、竣工後に精算すると受注時の粗利益率とは相当の差が生じていたことも原因でした。
元請建設会社からの見積依頼に応える活動で専属職人の働く現場が確保できない時は薄利で同業者に下請の依頼を行う受け身で場当たり的な仕事の確保の仕方に、現場毎の粗利益率が大きく異なる原因がありました。所定の情報を基に自社から工事発注決定権者に働きかけて仕事を受注する「営業」を行っていなかったためでした。

若い大工さん

3年間の完成工事分析でわかったこと


 3年間の竣工現場を「発注者」「元請建設会社」「元請けの現場所長」「元請との調整を行う一次下請(※)」「自社の工事担当者」「建物用途」「規模」「地域」と工事粗利益率との相関関係を分析すると、儲かる現場と儲からない現場には、それぞれ共通点がありました。
 「発注者」「元請建設会社」「元請けの現場所長」「元請との調整を行う一次下請(※)」この組み合わせは重要です。元請の工事採算が厳しければ厳しいほど自社の粗利益率は落ちますし、段取りのよい所長と手待ちの多い所長の現場では工事原価が異なります。受注時の見積精度の粗いベテラン社員の現場は受注時よりも竣工時の粗利が減少しますし、共同住宅の原価は読み易く他の用途は読み難く利益率の振幅が大きくなります。
 分析の結果、肌感覚よりも利益率が高かったA建設会社よりも利益率の低いB建設会社を優先してしまいA建設会社については同業他社の後塵を拝していることがわかりました。A建設会社を優先していればよかったと言っても後の祭りでした。
 自社にとって粗利益を多く獲得できる「想定顧客」、発注者・元請建設会社・現場所長・用途規模・工期の最適な組み合わせ工事を狙って受注する営業体制を確立すべきとの結論にいたりました。
 ※ほとんどの建設会社については一次下請けで参画していますが、一社のみ二次下請け
となっています。この一次下請けは元請けとの調整力に秀でており、利益率は一次下請
で参画している他社以上となっています。粗利益を増やし易い組み合わせを模索する
ことが大事です。

ベテラン大工さん

受注したい共同住宅の建設情報を整理


 建築工事計画は近隣住民との紛争を予防するために行政が条例で定めている「お知らせ看板」の掲示により、初めて公の情報となります。このお知らせ看板設置情報は営業活動を行う情報源となるため、定期的に掲載している建設業界紙があり、この購読を社長に勧めました。お知らせ看板には、「発注者」「工事場所」「工事規模用途住戸数」「設計者」「工事着手時期」「問い合わせ先」の情報が記載されており、自社に必要な情報を整理するだけで予測案件表が出来上がります。
 この予測案件表を基に、○○発注者の工事実績がある元請建設会社に「○○発注者の△△工事は御社で受注されるのですか?」との会話が可能となります。予測案件表が頭に入っているだけで、同業者や他の職種の下請との何気ない会話から一番知りたい元請建設会社情報が入手できるかもしれません。自社が工事を受注したい「想定顧客」であれば、現場所長でも調達部でもコネクションがあれば幹部にでも「△△工事を御社で施工される時には声掛けください」「見積中でしたらVE提案などの協力をさせてください」などと働きかけができます。営業は情報が全てです。

笑顔の鳶さん

新規又は疎遠な元請建設会社との関係構築


 新規に取引したい、又は、実績はあるが最近疎遠な元請建設会社とどのようにして関係性を築けばよいのか?さっぱりわからないというのが営業を行ったことがない社長の本音であり、それはコンサルの私が行いましょうとなりました。多数の職人の動員力も豊富な工事実績もあるため、建設会社との渡りさえつけられたら、ルートを作るのはさほど困難ではありませんでした。税務顧問先の建設会社社長、見込客の建設会社社長、古巣の建設会社、友人知人在籍している建設会社、設計事務所所長紹介の建設会社、有力デベロッパー幹部紹介の建設会社など、10社を開拓し、その内5社から見積依頼を受けています。
 専属職人を囲い込むために職人が働く現場の確保を最優先しており、予定していた工事の延期や失注は今後も可能性があるため、取引する建設会社の数を拡げる必要があります。取引先を増やして、かつ、「想定顧客」との関係性を深める。他の業種と同様に、人・もの・金の経営資源を最適に活用するために「顧客の選択」は必須です。

この記事を書いたプロ

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