コーチングやカウンセリングを通じて悩みを持つ人々をより良い方向へと導く（2/3）

「左手にハート、右手に剣」。個々の良さを引き出し、武器の使い方を伝えていく

　自身が構築した稲田式コーチングは「左手にハート、右手に剣」がコンセプト。自分の心（ハート）を大切に磨きながら、現実を生き抜くために必要なスキル（剣）を持つことで壁を乗り越え、前に進んでいけると言います。
「人が必ず持っている長所を、どう引き出してどう使うか。その人に響く方法で説明していきます」。稲田さんは、一般論ではなく、相手の個性に合わせたコーチングやカウンセリングを心がけています。

　以前、勢いがありすぎるがゆえに「高慢だ」と周囲からうとまれ、ひどく落ち込み「仕事を辞めたい」と思い詰めている会社員が稲田さんのもとを訪れました。「たたかれるたびに打ちのめされて意気消沈。皮肉にも元気がなくなったことで、『謙虚になった』と以前のように非難されることが減った。でも自分自身としてはやるせない」

　稲田さんはその人に「あなたの取りえは、エネルギッシュなところ。それを抑えるのではなく、『実るほどこうべを垂れる稲穂かな』を実行してみてはどうか」と方向性を示しました。本人の特性や素養を認めて自信を与えるとともに、周りとの摩擦を減らすような行動を促したところ、この相談者は存分に力を発揮できるように。ぐんぐんと業績を上げ、重要なポジションに就くまでになったとか。

　「とりあえず気持ちが落ち着くような言葉をかけるのは簡単ですが、それでは状況は変わりません。その人の良さを引き出し、強みとして生かせる状態にすることで自分を取り戻せるのです」

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