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神田紀久男

終活や死後事務委任契約に関わるコーディネートのプロ

神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

株式会社 イフケア北九州

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コラム

兄弟姉妹を頼らない死後事務委任の方法を考える。

2022年9月6日

テーマ:おひとり様の終活

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: エンディングノート遺品整理財産分与


最近、同じような終活相談の2つの案件が続きました。相談者が独身。兄弟姉妹と仲たがいをしているために、死後を託すことや財産の相続もしてもらいたくないという内容です。
両相談者ともに、死後事務委任を行って兄弟姉妹の関わりを持たせたくないというご希望です。
死後事務委任契約を行い、第三者であるに行ってもらうことは、お金でケリをつけることができるというお気持ちを持っていることはわかります。兄弟姉妹との関係は、その人それぞれの感情は、これまでの送ってきた生活の中での出来事から起こることであり、全てを理解することは相談を受けていても難しいことだとは感じます。
ただ、本人の気持ちとは関わりなく、「死後のことは本人一人では何も出来ない」という現実があります。その現実を踏まえると、どうしても、自分の感情や希望を叶えていくため、費用を掛けてやるのか、費用を抑えていくことも感情・希望を少し抑えて妥協を考えていく必要もあるかもしれません。
今回の相談の内、一つ目は、全てお金で解決。もう一つは、残念ですが、相談の中で提案した解決策に納得できず、他の方法を選択されました。今回は、二つの相談で、課題であったことを説明していきたいと思います。
 死後事務は、本人が、死後に行う必要である火葬・埋葬などの契約や、医療費・最後の住居費、光熱費のような債務の支払、住まいの片付けなど多種多様なものがあります。基本的に遺産の引継ぎ相続人となる家族が行うものでしょう。家族以内のであれば、推定相続人となる親族の方が行っています。この死後事務を推定相続人でない第三者に託すのが、死後事務委任です。生前に契約することによって、「どんな事柄をどんな風に処理して欲しい」という事柄を決め、それを契約という形を取ることになります。契約は、本人と第三者の当事者同士の契約ですから、周りの人にも、こういう契約をしているということを知らせておかないといけません。例えば、亡くなる場所の一番多いケースは病院です。治療費や入院費などの支払は、死後事務委任をしている受任者のこと病院側に教えておかないと、病院側は通常である親族の人と連絡を取ることになりますし、当然、死亡したという告知も親族や家族に行うことになります。受任者は、この知らせを受けないと出来ないことになります。当然に、親族にも本人が死後事務委任を行っていることを教えておかないといけません。仮に死後の連絡を受けた推定相続人が、死後事務委任契約の締結を知らないと、相続人の意向で事が進んでしまうことも考えられます。独身者の場合は、兄弟姉妹は、相続人になりますので、この二つの相談事例ともに、この契約締結の内容を知らせておく必要があります。ただ、仲たがいをしているとこの「お知らせ」が困難だという相談者は意外と多いです。
また、死後事務委任契約を行うだけでなく、本人の遺産の処分も遺言作成を行い、明確にしておかねばなりません。受任者が死後事務を完了して、対価を得ようとすると本人の遺産を動かすのは誰かを考えておく必要があります。これは遺言執行者を決めておけば良いのですが、死後事務委任の受任者を遺言執行者に指定すると、事務を履行せずとも、遺産を動かしてしまうことが可能になるので、お勧めできません。遺言執行者と死後事務受任者が別々に考えておくことが良いです。
この遺言作成を怠ると、受任内容を履行したけど、対価を受けとることが困難となる可能性もあります。仲たがいしている兄弟姉妹が、遺産を相続することになる訳で、受任者への支払拒否と言ったことも起こり得ることも考えられます。契約書も公正証書・遺言も公正証書がベストな準備だと思います。ここで、相談者の声として多いのが、公正証書遺言はお金が掛かるから嫌という声をよく聞きます。
遺言執行者を推定相続人以外の第三者は、信頼できる人であれば誰でも良いのでしょうが、仮に推定相続人に遺産を渡さないという内容の遺言であれば、推定相続人とトラブルになる可能性もあります。
そんな場合でも法的根拠などをしっかりと説明し、相続人を話し合いの出来る立場の人を選択する方が良いです。従って、信頼できるからという理由で、友人・知人には頼まないほうが良いと思います。
ときどき、聴く話としては、頼まれると断れずに死後を託した友人・知人が「やっぱり出来ない」と言って、委任を放棄してしまうと言ったことも起こっているようです。遺言執行者も同様であると考えておいた方が良いと思います。遺言執行者は、法律の専門家に依頼することをお薦めしています。但し、ここにも費用が発生します。

つまり、死後事務委任・遺言作成・遺言執行に依頼についての費用を全部捻出できるだけの財産を残すことができる人で、本人が、死亡した時の通知が死後事務委任受任者もしくは遺言執行者のいずれかに届くように、周りに通知しておくこと(特に仲たがいしている兄弟姉妹には必ず)が、希望を通りに叶える方法です。

今回の2つの相談案件の内、一つ目は、財産もあり、兄弟姉妹に対して、「財産は残さない。死後事務も頼まない。」と伝えることができる人でしたので、受任しました。もう一方は、財産に不安がある。死後事務の費用は、良いけれど、遺言執行者の費用は無駄。先払いするから、契約出来ないかというお話でしたが、何時亡くなるのか、どこで亡くなるのかがわからない。受任したのは良いけれど、本人が死亡した通知を受けないと受任者は仕事が出来ないのですから、仕事をしなかった場合には、先に受領したお金が宙に浮いてしまうことになります。これでは本人の為にはなりません。引受を拒みました。「お金を先に払えば、安心する。連絡がなければ先に払ったお金は、返さなくても良い」という言葉をありましたが、仕事は、きっちりやってから貰うモノです。先貰って返す必要がないと言われても気持ちが悪いだけですね。これも断りました。最終的には別の方法で検討するということで相談を終了。相談の中で、注意事項についてはお話させてもらたので、良い方法を見つけてくれることを願うばかりです。

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