マイベストプロ福岡
神田紀久男

終活や死後事務委任契約に関わるコーディネートのプロ

神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

株式会社 イフケア北九州

お電話での
お問い合わせ
093-472-4545

コラム

死後事務委任契約の支払方法について

2022年3月20日

テーマ:おひとり様の終活

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: エンディングノート遺品整理遺言書 書き方


あなたが亡くなった後の事務を委任する場合、費用はどのようにして支払うのでしょうか。
死後事務委任契約の支払い方法は誰に頼むかによって違います。事務所や事業所によって支払い方法は決まっているからです。
支払方法は、大きく分けると二つの方法があります。1つは、最初に預けておく方法。もう一つが、亡くなってから支払う方法です。頼む相手がどのような支払い方法を採用しているかは、最初に確認することが大切です。
一つ目の方法は、主に「預託金清算方式」と言われるものです。
預託金清算方式とは、契約を結ぶ際に必要な費用と報酬を預けておく方法です。あなたが亡くなると預かり金を使って死後事務を行います。
死後事務委任契約を扱っている事業所等では、多くがこの方式を取っていると思います。
死後事務の為に預かったお金は、自分の金銭とは別に管理しなければなりません。主には、
預かったお金の管理用に別口座を開設して預けておく方法です。口座開設費用等も発生しませんが、預かった金銭を使い込まれる可能性は残ります。別の管理方法としては、信託銀行に信託するという方法もありますが、これには、結構な口座開設費用や保管料などが発生することが考えられますし、信託する方法を採用しているということは、あまり聞いたことがありません。預託金清算方式のメリットは、最初に必要な費用と報酬を預けておくので、後から支払いで揉める可能性は低いです。死後事務委任契約を解約した際も、手数料は引かれるかもしれませんが金銭は戻ってくることだと言われています。逆に、デメリットは、死後事務の範囲や内容にもよるのですが、最初に高額な金銭を用意する必要があります。金銭に余裕がなければ依頼するのは難しいことも考えられます。メリットでお話したことですが、契約を解除した場合に、返金されるということですが、よく聞くゴルフ会員権などの預託金トラブルと同様に返金されるかどうかは、相手方の経営にも拠ると言えると思います。
また、死後事務委任契約は、将来到来する死期(死亡)を停止条件として、相手方に役務サービスを提供する権利を取得する契約です。つまりは、停止条件である死期が行って初めて義務履行する行うことになります。死期を知らないと義務履行が出来ません。そうすると、折角預けたお金も意味を為さないことになってしまいます。それでは困るので、見守りサービスなどが付帯的に必要となることが考えられます。契約時に預ける金額も、高額となる可能性も高いですし、また、継続的に支払うお金も発生することが考えられます。
預託金の額は死後事務の範囲や内容によっても違います。
次に、亡くなった後に清算する方式としては、二つあると考えておくと良いでしょう。
最初は、「遺産生産方式」です。読んでわかると思いますが、亡くなった時の財産から死後事務の費用を支払う方法です。遺言書を併せて作成するのが特徴となります。遺言書により受任者に死後事務の費用を渡します。つまりは、相続人であったり、遺言執行者を遺言で決めて、遺産の処分方法と指定するのと同様に、かかった費用を清算してもらうことになります。この方法のメリットは、遺産から支払うので契約時に高額な金銭を用意する必要はありません。一括で支払うことに不安がある人にとっては、良いことだと思います。また、遺言書で、相続する人や遺言執行者を決めておけば、その方は、死期をすることがハッキリしていますので、死後事務委任契約の義務履行を行うことは、明確だと考えておいて良いでしょう。デメリットは、死後事務委任契約と遺言書の作成がセットになっているので、遺言書作成が面倒だと感じる方は多いかもしれません。また、死後事務に必要な金銭は自分で管理することになります。したがって、亡くなった際の遺産が少なければ、死後事務を行ってもらえない可能性はあるかもしれません。生前の家計管理などをしっかりと行って死後に費用が足りないということが無いようにしていく必要があります。
次に、遺産清算方式でない、もう一つの亡くなった後に費用を支払う方法としては、「保険金清算方式」が考えられます。保険金清算方式とは、保険会社と生命保険契約を結んで、保険金で死後事務の費用を支払う方法です。この場合は、保険を新たに契約するわけですから、保険会社に支払う月々のお金が死後事務の費用になります。初期費用は死後事務委任契約の作成料ぐらいですし、遺産が少なくても問題ありません。但し、保険金清算方式の最大のデメリットは、保険会社の審査に通る必要があることです。年齢制限や過去の病歴によっては、審査に通ることができません。また、既に死亡保険の契約を行っている場合にも、その契約において、保険金受取人を契約の相手方に変更できるかどうかも保険会社の審査が必要でしょうから、ハードルは意外と高いかもしれません。
死後事務委任契約の支払い方法は、受任者(事務所等)が決めています。1つしか用意していない所もあれば、複数用意していて選ぶ所もあります。
私の知る限り、預託金清算方式が一番多いように感じています。理由は、受任者側からすると、死後事務の費用を確実に確保できるのが、採用されている理由ではないでしょうか。
但し、皆さんの生活状況と支払い方法が合わなければ、死後事務委任契約を結ぶことはできません。老後生活では、多くの方が、年金をもらいながら、貯金を取り崩していくという中で、一時的にせよ、多額の費用がかかる契約には躊躇させるという話を耳にします。
その意味からすると、遺産清算方式が一番良い方式だと思います。
遺言と死後事務委任契約をセットに考えていくことで、自分の財産や今からの人生を見つめ直しことに繋がると思います。
私の場合も、遺産清算方式で契約することが多いです。また、ご相談に来られる方の中には、遺言書を作成するという中で、家族や親族を話する必要性が生じて、家族関係が深まり、逆に契約の必要性が無くなったと言われる方もいらっしゃいます。それはそれで家族円満でよい人生になりますから、結構なことだと思います。

この記事を書いたプロ

神田紀久男

終活や死後事務委任契約に関わるコーディネートのプロ

神田紀久男(株式会社 イフケア北九州)

Share

関連するコラム

神田紀久男プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ福岡
  3. 福岡の冠婚葬祭
  4. 福岡の葬儀・斎場
  5. 神田紀久男
  6. コラム一覧
  7. 死後事務委任契約の支払方法について

© My Best Pro