- お電話での
お問い合わせ - 093-472-4545
コラム
終活で人助け
2022年3月8日
「御沙汰しています。私のことを覚えていますか。実は、少しお話したいことがありまして・・・。」 数年前に、とある会合で知り合った女性の方から連絡でした。
お互いに時間を都合が合わせるのが難しく、漸くお会いしてみると、昨年私の出した本を持参されておりました。
『「死んだら、終わり」命を時計は止まってしまう。でも、自分の足跡を消すという時計は、止っていない。誰か代わりの人に止めてもらう必要がある。』この言葉に心に残っていましてと、少し節目がちにお話をされました。
「何か気になることがありますか?」とお尋ねすると、「実は、離婚して、今はひとりなんです。離婚の原因が、私の方にあるので、子どもからも愛想を尽かされている状況です。どうしたものかと話を聞いてほしくて・・・。」
少し話が終活とは違う方向に行ってしまうような予感がしながら、話を聞いておりました。離婚の原因については、ここでは省きますが、離婚をして、独身生活が始まった最初の頃は、それまで色々と考え、悩んでいたことが吹っ切れたような気がしていたそうです。それから徐々に、また違う悩みや不安が出ていたそうです。
数年前に、私と知り合った頃には、離婚の話がされていたそうですが、当時は、そんな風に見えなかったですし、お子さんの事も、たくさんお話をされていたように記憶がありました。ヒトは、見た目だけでは、内実はわからないモノだなあと感じました。
「このまま死んじゃったら、どうなるのだろう」と思っていた時に、私の事を思い出したそうですが、離婚とかそんな話を、私にするのは如何なものかと躊躇されていたとのことですが、最近本屋さんで、目に留まったのが私の本だったそうです。
「死ぬ時は、誰かのお世話にならないといけないんですねえ。死後事務委任契約を結んでお世話にしてもらえますか。」とのお尋ねでした。「お世話をするのが私の仕事だけど、貴女のお世話は、多分無理。理由は、貴女は私よりも若いから、私の方が先に死んでる。」と笑いながら答えると、少し驚いた顔をされました。「そうですね。そうですよね。」と朗らかに話をされました。
後は、軽くお酒を飲みながら、終活の話や世間話をしていたのですが、最後に、「実は、死のうかなと思っていたんです。」と話をされました。「死んだときのお世話をしてくれると言ってくれたら、死のうと思っていたんです。でも、無理と言われたから死ねません。」と笑いながらおっしゃられていました。
私からは、「今は仲良くないけれど、お子さんがいるから、死ぬときは頼りにした方がイイですよ。時間があるから仲直りが先決じゃないですか」とアドバイスをして別れました。
後日、お礼の連絡がありました。「離婚後、初めて子どもと会う約束した」との事でした。良かったです。終活を通じて人助けができたかなと思います。
関連するコラム
- 「おひとりさまの終活 お困りごとは死後事務委任で解決」出版のお知らせ 2021-07-04
- 終活も時々見直しましょう。 2022-09-24
- 市民後見人養成制度について 2022-01-06
- いつまでも経っても、「子どもは子ども」 2021-10-19
- 読者の感想「死んだら終わり」 2021-10-04
カテゴリから記事を探す
神田紀久男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。
神田紀久男のソーシャルメディア