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神田紀久男

終活や死後事務委任契約に関わるコーディネートのプロ

神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

株式会社 イフケア北九州

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コラム

終活で人助け

2022年3月8日

テーマ:おひとり様の終活

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: エンディングノート


「御沙汰しています。私のことを覚えていますか。実は、少しお話したいことがありまして・・・。」 数年前に、とある会合で知り合った女性の方から連絡でした。
お互いに時間を都合が合わせるのが難しく、漸くお会いしてみると、昨年私の出した本を持参されておりました。
『「死んだら、終わり」命を時計は止まってしまう。でも、自分の足跡を消すという時計は、止っていない。誰か代わりの人に止めてもらう必要がある。』この言葉に心に残っていましてと、少し節目がちにお話をされました。
 「何か気になることがありますか?」とお尋ねすると、「実は、離婚して、今はひとりなんです。離婚の原因が、私の方にあるので、子どもからも愛想を尽かされている状況です。どうしたものかと話を聞いてほしくて・・・。」
 少し話が終活とは違う方向に行ってしまうような予感がしながら、話を聞いておりました。離婚の原因については、ここでは省きますが、離婚をして、独身生活が始まった最初の頃は、それまで色々と考え、悩んでいたことが吹っ切れたような気がしていたそうです。それから徐々に、また違う悩みや不安が出ていたそうです。
数年前に、私と知り合った頃には、離婚の話がされていたそうですが、当時は、そんな風に見えなかったですし、お子さんの事も、たくさんお話をされていたように記憶がありました。ヒトは、見た目だけでは、内実はわからないモノだなあと感じました。
「このまま死んじゃったら、どうなるのだろう」と思っていた時に、私の事を思い出したそうですが、離婚とかそんな話を、私にするのは如何なものかと躊躇されていたとのことですが、最近本屋さんで、目に留まったのが私の本だったそうです。
「死ぬ時は、誰かのお世話にならないといけないんですねえ。死後事務委任契約を結んでお世話にしてもらえますか。」とのお尋ねでした。「お世話をするのが私の仕事だけど、貴女のお世話は、多分無理。理由は、貴女は私よりも若いから、私の方が先に死んでる。」と笑いながら答えると、少し驚いた顔をされました。「そうですね。そうですよね。」と朗らかに話をされました。
後は、軽くお酒を飲みながら、終活の話や世間話をしていたのですが、最後に、「実は、死のうかなと思っていたんです。」と話をされました。「死んだときのお世話をしてくれると言ってくれたら、死のうと思っていたんです。でも、無理と言われたから死ねません。」と笑いながらおっしゃられていました。
私からは、「今は仲良くないけれど、お子さんがいるから、死ぬときは頼りにした方がイイですよ。時間があるから仲直りが先決じゃないですか」とアドバイスをして別れました。
 後日、お礼の連絡がありました。「離婚後、初めて子どもと会う約束した」との事でした。良かったです。終活を通じて人助けができたかなと思います。

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