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コラム
市民後見人養成制度について
2022年1月6日
1月より、私は、市民後見人養成講座を受講します。
終活相談を行っていると、ある一定の割合で、後見人制度を使った老後の生活を守る必要性のありそうな相談者がいらっしゃいます。相談者の中には、後見人制度はわかるけど、費用が掛かるから不安である等を理由として、制度利用を拒む人もいます。そして、友人・知人に頼む方が良いでは思う人もいるようです。この場合も、何の権限をない友人・知人は、実際に何も出来ないことも多いのも事実で、ただの気休めにしかならない場合も多いのだろうと思います。このような相談者には、市民後見人制度というのもあることも紹介していきたいと思っています。紹介していく上において、実際にどんな制度で、どんなことをしてもらえるかを実践して、学ぶ。これが一番だと考えたわけです。
今日は、市民後見人とは何かを紹介させてもらいます。
市民後見人とは具体的にどういう人のことをいうのかといいますと、親族でも専門職(弁護士や司法書士等)でもない、いわば第三の後見人でありまして、社会貢献型後見人とも呼ばれているものです。
成年後見制度の利用は年々、増加傾向にありまして、家庭裁判所の方でも、成年後見の申立て、監督業務に今後も対応し切れるのだろうかと、大変に懸念している状況です。
実際に、後見人の申立をしているのは、親族が、行っていることが多いのが現状です。例えば、遠方にいる兄弟姉妹が、おひとりさまであることで、生活の面倒を見ることが困難であったりすることで、近くで身上監護を行ってくれる人を探すといったケースが典型的なケースではないでしょうか。
逆に、本人が、兄弟姉妹には面倒をかけたくないと言った場合には、誰がその担い手になるのかが問題になります。この場合には、専門職として法律家等の知識・スキルを持った人がなることが前提なのでしょうが、高齢化社会の進行と認知症患者の増加を考えると、その担い手不足が懸念されます。
そのため、後見人による支援が必要であるにもかかわらず、適切な後見人を得ることができない人が少なくありません。
そこで、成年後見制度の趣旨、内容を理解して、後見業務に熱意をもった市民を対象に、市民後見人を養成するという行政機関の事業が開始されております。
このように、後見人となる者の受け皿が不足するという事態に備えて新たに構築されている制度が市民後見人の制度です。
本来、成年後見制度を利用することが必要でありながら、適切な後見人を得られないでいる方のために、社会貢献、ボランティア精神に基づいて、後見人として重要な職務を全うするために必要な知識、技量を身に付けた上で、新たに後見人候補者となっていただく方のこと、これが市民後見人というわけでして、一般の市民の方が研修を受けて成年後見人となって地域の高齢者を支えるという新しい考え方に基づく仕組みです。
市民後見人となるためには、各自治体等で定める所定の市民後見人養成講座を受講することになります。この講座では、福祉や法律、後見実務に関する講習を受けることになりますが、講座を修了したもののうち、適性のある方に市民後見人を依頼するという流れになります。
ただし、市民後見人を推薦することができるケースというのはある程度限られておりまして①資産収入が多額でなく財産管理が容易であること②身上監護が困難でないこと③親族間でトラブルがないことという条件にあてはまるものが対象となります。
一般には後見人の監督は家庭裁判所が行うものとされていますが、市民後見人の場合、間違いが起きないように社会福祉協議会が後見監督人に選任されることが多いでしょう。
市民後見人の制度には、専門知識を習得してもらうための制度の確立、市民後見人を監督していく体制や不正の防止策の確立といった点に課題はありますが、後見制度の利用が増加する一方、将来的には専門職後見人の成り手が足りなくなることが予想されておりますので、今後、市民後見制度は1つ要となる制度ではないかと思われます。
ただ、現段階では、まだまだ利用が浸透していない、これからの制度といえます。
市民後見人制度は、法定後見を前提としたお話です。つまり、本人が認知症発症等を理由として、事理弁識能力がなくなったことから、後見人が必要だということで、本人に代わり誰か(自治体の首長など)申立をして、本人の財産・生活の状況を鑑みながら、家庭裁判所が選任を行うものです。
ですから、認知症前から、本人がこの人に後見人になってもらいたいという任意後見制度とは違います。
自分の終活を行う中で、将来のためを考える時間と余裕があるのならば、任意後見制度を利用することが、必要だと思います。ただ、色々と考えている間に、病気になってしまったという場合の安全弁として、このような制度があることを知っておくと良いと思います。
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