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コラム
死後事務委任契約とは?
2021年6月19日
―委任者(本人)が、一般的に親族以外の者である受任者に対し、葬儀・火葬・納骨等の葬送や、その他、自身が亡くなった後に必要な諸手続き(法律行為・準法律行為を含む)をすることを委託する契約―
死後事務委任契約を端的に言うと、このようなことになります。
法律行為・準法律行為は、相続・遺言に関する業務のことを指し、通常であれば、被相続人(本人)の身近に親族がおり、その親族からの依頼、あるいは協力のもとで業務を行うことになりますので、所謂、法律専門家と言われる士業の携わることになるものです。
民法には、相続開始の原因として、「相続は,死亡によって開始する。」と規定されています。
このような業務は、本人の看取りや葬送は親族が行い、その後専門家が業務に携わるのは、「死後一定期間が過ぎてから」というのが一般的なことです。専門家の方からすると、本人の死は、相続開始原因であるということだけであると言えるかもしれません。
本人・その遺族(親族)の皆さんが、大変だと感じるのは、「死そのもの」「死の過程」に携わることにあります。具体的には、お亡くなりになる直前から、火葬するまでの間のことであり、そこには、色んな感情や想い・それまでの周囲との人間関係における葛藤などに、対処していかなければならないことにあるのだと思います。そして、このような感情と向き合いながら、本人の死を清算していくことが、通常は遺族の役割であります。そして、清算の後工程の中で行われる法律行為などを専門家が担っているものです。
昨今、「死の過程」つまりは、看取りから火葬までを頼める人がいない考える人々が増えてきています。一人暮らしをしている人。子どもがいない人。兄弟姉妹と仲良くない人。このような方々から多くの相談を寄せられるようになってきました。
相続・遺言の問題であれば、法律専門家に依頼することでしょうし、これらは士業の独占業務なので、士業に相談するのが一番なのでしょうが、「死の過程」の課題は、中々解決に直接的に結びつかないので、私のような終活に携わる者に相談されるのだろうと思います。
死後事務委任契約では、死を相続開始原因と捉える無機質な意味ではなく、色んな感情や想いと向き合いながら、死を捉えていくための契約だと考える必要があると思います。依頼する本人や残された親族の皆さん・その他縁故者の人々の話にも耳を傾け、死を清算していくことが必要だと思います。
その上で、法律で規定されている相続という法律行為や、役所などの届け出などの手続き(準法律行為)などについても専門家とも一緒に手続きを進めていくことになります。
死後事務委任契約は、遺族・親族が存在しているのであれば、このような契約が必要でない場合が多いのだと思います。子どもが親を看取ること・兄弟姉妹を看取ること・配偶者を看取ることなどは、今までも、これからも「当然」「必然」なものであって欲しいと思います。
ただ、社会生活が従来とは大きく変わり、核家族化の中で、子と親が別々に生活を営むことが普通になり、日常生活で会う機会が滅多にないことや、子が海外生活をしている等も起こり得る社会になってきました。また「性の多様性」などの言われるような社会になる中で、「子がいない」ということも普通になり得る社会になりつつあると思います。
このような社会の中で、死後事務委任契約の必要性がドンドンと高まってきています。
これからの数回に分けて、死後事務委任契約の必要性をコラムの中でお話していきます。
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