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神田紀久男

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神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

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コラム

知らない兄弟が突然現れたと落ち込む遺族

2021年4月4日 公開 / 2021年8月4日更新

テーマ:終活 

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 相続税遺品整理エンディングノート


以前に話をした相続事案の結末です。
異父兄弟の方との相続の協議をした結果、見知らむ兄弟と、相続財産を法定相続に基づいて半分づつ相続することで、相続手続きが終わったとの連絡を受けました。
相続開始から、約9か月。異父兄弟の存在を知ってから約半年。異父兄弟の存在を知らむ時に、想定していた相続の内容とは、相当に異なる財産しか受け継ぐことが出来なくなったとこぼしています。
相談者は、「自分の遺言を作ることにしました。」と話します。
配偶者はいるけれど、子どもがいない。自分の一人っ子。自分たちの夫婦の後始末を頼れる人物は、配偶者の兄の子ども。姪御さんになるべく迷惑をかけないように、配偶者を最大限配慮した内容にしていきたいと話をされました。この手伝いを継続して行っていきたいと思います。
しかしながら、この相続の9か月間。相談者が、色んな思いを抱えながら、生活したことを思うと、この相続が一区切りついたことは、本当に良かったと思います。これからの人生を謳歌していくために、終活相談にのりながら、応援していきたいと思います。
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死後事務の中身を大きくカテゴライズすると、葬儀・相続・供養・その他各種手続きの4つに分けられます。
私の仕事では、一番ニーズが多いのは、葬儀の準備やお手伝いでありますが、相談されることで多いのは、供養や相続に関わることです。
ただ、相続に関しては、法的資格がないと実務は出来ませんので、実際には士業の方と一緒になって相談業務を行うことになります。
相続相談では、相談者がご自分の死後のことを考える訳ですから、遺言書を作成するべきかどうかという相談がその大半です。時々相談があって、士業の方をご紹介するのが、ご家族が亡くなった後の遺産相続の手続きについてです。
 今回は、この遺産相続を開始した相談者の方のお困りごとについてです。母親が亡くなって、遺産手続きを進めるために、母親の戸籍を調べると、自分の兄弟がいることを初めて知ったということでした。母が、父と再婚しているということは知っていたけど、その前に子どもを産んでいたということを全く聞いていなかったので、相当にショックを受けられておりました。
「母は何も言ってくれなかった。知っていれば、亡くなったことだけでも知らせていたのに。何も連絡していないので、いきなり相続の話をするのは、どうなることかがわからないので不安です。」
「父が亡くなった時にも、自分に異父兄弟がいることが分かっていたら、父の相続もやり方が違っていた」とこぼしていました。
母親が亡くなる数年前に、父親が亡くなっています。当時は、相談者は、親と同居せず、それの遠方住まいであったため、父の遺産の全てを母親が相続する方が、「母のため」だと思い、また子供は自分一人なので、いずれ母が亡くなった時は、自分が相続することを想定されていたのでしょう。
しかしながら、母親の相続が開始されると、全く知らない人が突然現れ、相続人の一人だという訳です。父の相続の時に、法定相続に従っていたら、今回は知らない人が主張できる相続額を、現在よりも少なくすることも出来たわけです。色んな意味で、ショックは大きいだろうと想像できます。

突然現れた相続人というお話は、TVドラマや法律問題の書籍などでは見たり、読んだりしたことがありましたが、実際に起こる事態をはじめて聞きました。
少し想像すると、凄く不安になることだと思います。
「会ったこともない人・どんな生活をしているかもわからない人」が、「突然降って湧いたような遺産というおカネを受けとることが出来る権利」について、どんな風に考えるのか。それを想像しろと言われると、とても悪い方向のことばかりが頭に浮かびます。
「もっと寄こせ」と言いたいがために、「何故、亡くなったことを知らせてくれなかった」等等、どうしようもできないことを言われるかもしれないという不安や、今から兄弟として付き合いをはじめなければならないのということも考えてしまいます。

せめて、異父兄弟の存在を知っていたら、相続に限らず、母の死後においての対策も講じることができたのだろうと思います。


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この方は、これから法律家を通じて、異父兄弟の方との相続についての話し合いを進めていきます。どんな相続になるかは、予測できません。しかしながら、遺産は、半分しか残らないことを覚悟せざるを得ないと話します。
後悔していると話をします。「もっと母親と色んな話をしておけば良かった」と。
「母のいつかはお話をしておかねばと思っていたかもしれない。 でも、自分がそんな時間を作らなかったことが悪かったのかな」と話をされていました。

私からは、「あまり悪く考えず、法律家を通じて誠意を見せれば、相手の方の理解してくれるのではないですか。」とアドバイスを送りました。
何事も起こらずに、相談者が当初に考えた通りの相続になることを願うばかりです。

この記事を書いたプロ

神田紀久男

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神田紀久男(株式会社 イフケア北九州)

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