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神田紀久男

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神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

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コラム

死後事務委任に資産開示は必要か?

2021年2月4日 公開 / 2021年2月19日更新

テーマ:おひとり様の終活

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: エンディングノート遺品整理相続 手続き


今、北九州市市民カレッジ講座で死後事務委任契約について講座を開催しています。
受講生の皆さんは、すごく熱心に受講されており、教える側である私も「ドキッと」するような質問も出ています。私も非常に勉強になるもので、講師を勤めていて、有意義に感じております。
私が有意義だなと感じた質問の一つをご紹介したいと思います。
「死後事務委任を行う際に、委任者は資産状況の開示が必要なのか」というものです。
死後事務委任は、委任者が、親族以外の受任者である者に対して自分の死後の後始末(葬儀・火葬・納骨等の葬送、その他、自身が亡くなった後に必要な諸手続きをすることを委託する契約」と定義されていると言えるでしょう。
通常であれば、身近な親族が中心となって、必要な事柄にそれぞれの専門家や業者が協力して進めていくことになるのでしょうが、何か理由によって親族以外の第三者に頼らざるを得ないことで必要となる契約であると言えます。
核家族化が進んでいく中で、親と同居をしない世帯が多くなりました。子が独立した後は、夫婦二人の生活で、どちらか一方が亡くなると、ひとり暮らしになってしまい、遠方に住む子どもには「迷惑を掛けられない」と近くにいる第三者を頼ろうと考える高齢者や、そもそも子どもがいないという高齢者・結婚していない高齢者も存在しているのが、死後事務委任契約のニーズ増加の背景であると思います。
「自分の死後を誰かに託す」ということは、重大な決断であることは間違いありません。
ある意味では、自分の死後に自分の姿(財産やその他モノ)を全部晒して、ひっくるめて整理してねと依頼するものですから、それを託す相手に対して信頼もさることながら、自分のプライバシーを関することに抵抗を感じてしまうのは当然のことのように思います。その中でも、財産に関することを教える必要があるのかという受講生からの質問です。
死後事務委任を行わずに、身近な親族に死後のことを行ってもらうのであれば、事前に資産状況すべてを親族に開示していなくても事は進んでいくのが普通の状態なのだろうと思います。こんな話をしている私も親の資産すべてを知っているわけでもありません。親が亡くなり、相続開始されて初めて全貌を知るということになるのであろうと思います。これが普通の状態だとすると、死後事務委任を委任する際に、資産開示を行うことは異常であると感じるのではないでしょうか。
しかしながら、死後事務委任を行うのであれば、契約締結の際に資産開示は必要(必然)だと考えます。但し、個別の場合によって、開示する程度に違いはあるとは思いますが、知らないとできないことも出てくるし、予定通りに進まない(契約通りに実行できない)ということも起こり得ます。
理由は、受任する側の報酬や様々な事柄に発生する費用は、委任者の遺産から捻出されるわけですから、遺産があるのかどうか(死後の資産が残っていそうかどうか)を把握は必要なことです。また、契約を締結し、委任者が亡くなるまでは、生活をしていく中で起こり得る事柄もその理由に挙げられます。例えば、認知症を患ってしまい、法定後見人を立てて本人の財産管理を行うことになれば、本人が、自分以外のモノに資産を教えたくないと思っていても、財産保護の観点から、法定後見人は、資産状況を把握しなければならないわけですから、必然的に開示されてしまうことも理由になると思います。
このような契約は、本人が元気な時に締結する必要があります。遺言と同様に、本人の意思・判断能力の有無が、効力の有無に直結するのと同じです。
でも元気な時は、何でも自分で出来るし、その時に自らの意思で資産を開示するのは抵抗を感じるということですし、個人情報保護ということもあるのであろうと思います。

死後事務委任を行う目的は、自分の後始末を、自分の思い通りに且つスマートに行うためです。
個人情報保護における本人の意思と死後事務委任の目的達成という意思とどちらに重点をおくかによって、答えは出てくるのではないかと思います。
資産開示しなかったら、死後事務が滞る可能性は出てくるかもしれません。資産開示を行って、死後事務がスムーズに進み、「立つ鳥跡を濁さず」になることが重要と考えるのか。どちらを選択するのかの問題なのだろうと思います。



知人の事例を紹介します。彼は自分の父親と仲たがいをしてずっと疎遠であったそうです。ある時にその父の訃報が届き、葬儀を取り仕切ることになったそうです。ただずっと疎遠であったので、父のことがわからない。実家に戻り、父の部屋の遺影写真を作るために、写真を物色していると、あるノートを見つけたそうです。そこには、自分が死亡したら、連絡して欲しい人の連絡先や資産状況が書かれ、葬儀はこんな風にして欲しいという事柄もあったそうです。彼はそこに書いていることをそのまま実行したそうです。葬儀が終わった時には、疎遠であったこともあり、「最後に迷惑かけやがって」と思ったそうですが、相続などの手続きを終え、ある程度を時間が経過した時には、「この人は、きっちりしていた人だったのだなあ」と、父に対する想いが変わってきたそうです。私は、死後事務委任をご検討されている方は、この知人の父親のようであって欲しいと思います。そのための死後事務委任なのだと思います。

この記事を書いたプロ

神田紀久男

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神田紀久男(株式会社 イフケア北九州)

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