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神田紀久男

終活や死後事務委任契約に関わるコーディネートのプロ

神田紀久男(かんだきくお) / 終活カウンセラー

株式会社 イフケア北九州

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コラム

葬儀を考える時期は、何時?

2020年10月18日

テーマ:葬儀

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓斎場相続対策

最近は、葬儀や墓などを簡略化する人も増えていると聞きます。コロナウイルス感染拡大の影響もあり、参列者の減少なども進んでいるようです。一方で従来のスタイルで執り行った場合の相場もよくわからないとの声を多いようです。
 今は、人の死に関して多様な考え方があり、葬儀社の提供するサービスも多様化しています。その中で、消費者がわからないことも多くなってきており、「もしも」の時に備えて、事前相談を行うことが必要な時代となってきています。
 そこで、事前相談の実態を数社の葬儀社さんの協力の元調査してみました。

 調査協力をいただいた葬儀社は、小倉北区・南区・門司区で斎場を構えているN社・若松区を中心に事業展開を行っているK社・行橋市・苅田町地区のY社の3社です。
 今年1月から6月までの直近の動きを調査していました。
3社合計の相談受託件数は、182件でした。その内訳をみます。ご家族のどなたかが、「危篤」などの理由で、死が近い段階で相談に来られた方が77件。ご自身の将来のことやご家族のどなたかが、病気や介護を受けているなどの状況で、今すぐに「死」が到来するわけではないが、将来が不安であるという理由で相談に来られた方が95件という結果でした。
 事前相談といっても、その状況により内容が違うために、「死が近い」という相談については、「直前相談」。将来のことについての相談については、「事前相談」という風に言葉を使い分けますと、「事前相談」が約6割。「直前相談」が約4割となります。

 直前相談の中身は、そのほとんどが葬儀費用に関することが多いようで、実際に葬儀費用の見積を取ったり、斎場の下見・規模を確認するといったことが多いようです。また、葬儀についての段取りなどの進め方などを尋ねていることが多いようです。
 直前になって、一般的に気にかかるのは、突然の出費となる費用に関することが多いのでしょう。相談に来られる多くの方が、「家族葬で」「身内だけで」といった小規模なお葬儀についての切り口で相談に来られる方が多いようですが、相談した結果、通常にお葬式を選択されるケースも多々あることのことです。これは、相談に来られる方が、費用のことばかり気にとられ、葬儀の規模の検討を行わないままであるという実態がうかがわれます。葬儀費用は、一般的に葬儀規模(どの位の人が、お参りに来られるのか)を検討しておかないと算出は困難です。「身内だけで」「家族葬で」と切り出したところ、相談してみて、お参りや親族の人数などを検討すると、従来通りのお葬式を選択するケースも多いのだと考えます。
 事前相談は、「自分自身」の相談に来られるケースや、子ども世代が遠方に居住されていて、親の病気や介護といった状況を踏まえて、相談に来られるケースが多いようです。
内容は、「葬儀費用」も含まれますが、直前相談に比較すると、「寺院」「お墓」「死後のこと」など、多岐にわたるようです。例えば、「遠方などで、お墓を移設したい」「お寺がどこかわからない」「お寺は紹介してもらえるか」「宗教者は無しで葬儀が可能か」などの葬儀とは直接かかわりないの内容も多く含まれています。確かに、「人の死」において、葬儀というのは、その一部分だけであります。「お寺」「お墓」のように後に残された家族の人が行わねばならないことも考えていかねばなりません。その中には、「相続」といったことを含まれねばならないのだと思います。
 「相続」と一言で済ますと、何となく「お金」のことかなというふうに受け取られるかもしれませんが、「親が住んでいた家」「形」「思いでの品」など様々なものを考えていかねばなりません。また、それらを保存するのか処分するのかなどを含めて検討が必要なことだと思います。昨今、報道でも取り上げられることが多くなったのが、「空き家」の増加という社会問題も、このような「相続」の考えがまとまらないうちに「家族の死」が発生し、どうにも処理が出来ないといったケースを多く含まれているようです。
 相続は、人の死を持って発生するものですが、その人のご自身の財産をどのようにしてもらいたいのか・家族はどのようにしていきたいのかといった合意形成がなされていないと、中々上手く処理が出来ないものです。また、葬儀をどのように行うのか、「誰を呼ぶのか」「どんなお葬式をするのか」といったことも、家族の合意がないと上手くいきません。

調査結果にもある通り、事前相談に来られる方が相談件数の約6割近くとなっています。これは、以前と比較して、相談者は事前に考えていかねばならないことだという意識を増えてきている証左だと考えます。

 「危篤」だと医者から宣告を受け、相談しに来たのは、良いけど、「一体誰をお参りにきてもらうべきなのか」「親の知人関係はちんぷんかんぷん」といったことでは、十分な相談はなかなか出来ないように思います。そのような意味で、直前相談よりも事前相談を行い、時間的な余裕を考慮し、家族で話し合う時間や家族のことを調べるような時間を、十分にとることが必要なのだと思います。そうすることが、「良いお葬式」をしたという実感を持たれることに繋がるものだと思います。葬儀のことだけを考えて、「相続の発生」がなされる時期と重なります。従って、葬儀・相続・死後にかかわる様々な事項についても考え、準備を行っていく必要があります。直前相談では、「相続の発生」については、準備は出来ない場合が多いことも事実です。なるべく早めに、そして「死後事務委任」という仕組みを取り入れることをお薦めします。


相談件数の推移(H26.1~H26.6)
 N社K社Y社合計
相談件数437564182
直前相談24302377
事前相談19354195

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神田紀久男

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神田紀久男(株式会社 イフケア北九州)

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