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コラム

養育費の未払い | 払わない場合に備えての離婚前後の対処法を解説

2022年11月20日 公開 / 2022年12月6日更新

テーマ:養育費

コラムカテゴリ:法律関連

養育費の未払いを防ぐには?
未払いにならないよう心がけることは?
未払いとなった場合の対処法は?

この記事ではこのような疑問、お悩みにお応えします。

少し古いデータになりますが、厚生労働省が公表している「平成28年全国ひとり親世帯等調査」の「母子世帯の母の養育費の受給状況(表17-(3)-1)」の内容は以下のとおりです。

年度現在も養育費を受けている養育費を受けたことがある養育費を受けたことがない
平成23年19.7%15.8%60.7%
平成28年24.3%15.5%56%


「養育費を受けたことがない」人の中には「そもそも養育費を請求していない」という方も含まれているとは思いますが、それでも今現在養育費を受け取っている人が少ないことに鑑みると、「養育費に関する取り決めをしたのに未払い」、「以前は受け取っていたものの未払いとなってしまった」という方も多いと思います。
そこで、この記事では、養育費の未払いに対する対処法を離婚前と離婚後にわけて解説していきたいと思います。

養育費の未払いに対する対処法①~離婚前

離婚前は、強制執行認諾文言付公正証書を作っておくこと、調停調書を作っておくことが考えられます。

強制執行認諾文言付公正証書を作っておく

強制執行認諾文言付公正証書とは、養育費が未払いとなった場合に自分の財産を差し押さえる手続きをとってもかまわない、という相手の同意事項が盛り込まれた公正証書です。
この公正証書を作っておけば、万が一、養育費が未払いとなった場合に、公正証書を債務名義にして相手の財産を差し押さえる手続きをとることが可能です。
また、相手も養育費の未払いが続けば、強制執行の手続きがとられる可能性があることはわかっていますから、それを避けるために養育費を滞りなく払おうという気持ちになり、結果として、養育費の未払いを防止できます。

調停調書を作っておく

もっとも、公正証書を作るには、養育費などの離婚条件について夫婦できちんと話し合えることが前提です。また、公正証書を作ること、公正証書に強制執行認諾文言を盛り込むことについて相手の同意も必要です。
そのため、夫婦で話し合うことができない、公正証書を作ること、公正証書に強制執行認諾文言を盛り込むことについて相手の同意が得られない場合は公正証書を作ることができません。こうした場合は、離婚調停を申し立てることを検討しましょう。
そして、調停が成立すれば、調停調書という書面が作成されます。調停調書にも公正証書と同様の強制力がありますから、作っておけば養育費の未払いに役立てることができます。

参照:夫婦関係調整調停(離婚)-裁判所

養育費の未払いに対する対処法②~離婚後

次に、離婚後、養育費が未払いとならないために、あらかじめやっておけることをみていきましょう。

普段から連絡をとりあう

まず、普段から連絡を取り合うことです。
普段から連絡をとりあっておけば、相手の住まいや仕事のことなどもリアルタイムで把握することができます。後述するように、相手の住所などの情報は法的手段をとるために必要な情報となります。
また、相手に子どもに関する情報を提供してあげることで、離婚後も相手の子どもやあなたへの関心が薄れることなく、養育費をきちんと支払ってくれることにもつながります。

※連絡をとりあう頻度や日時、時間、連絡先や住所を変更した場合の通知義務などを公正証書などの書面に盛り込んでおくことも有効です。

面会交流を実施する

次に、可能な限り、面会交流を実施することです。
面会交流を実施している親子ほど、養育費がきちんと支払われているとも言われています。面会交流を実施することで相手の子どもにたいする愛情が維持され、「子どものためなら」と思って養育費を払い続けるものです。
相手に対する様々な不安から面会交流を拒否したい気持ちは十分わかりますが、子どものために大きな気持ちをもって面会交流を認めることが大切です。

養育費の減額要求にも柔軟に応じる

最後に、相手の減額要求にも柔軟に応じることです。
離婚後は様々な事情の変化により、相手から養育費の減額を要求されることがあります。ここで頑なに拒否し続けていると、養育費の未払いにつながってしまうおそれがあります。
要求に応じるかどうかは別にして、まずは相手の話に耳を傾け、応じるべきときは素直に応じた方が、結果的に養育費の未払いの防止にもつながります。

養育費の未払いに対する対処法③~離婚後

次に、離婚後、養育費が未払いとなってしまった場合の対処法をみていきましょう。とりうる手段は次の5つです。

電話、メールで催促する
内容証明で請求書面を送る
調停を申し立てる
履行勧告・履行命令を申し立てる
相手の給与を差し押さえる手続きを取る

電話、メールで催促する

まず、相手と連絡がつく場合は、電話やメールで養育費の支払いを請求してみましょう。手間と負担のことを考えると、できれば、この段階で養育費を払ってもらった方がよいです。感情的にならず、落ち着いて対応するよう心がけましょう。

請求書面を内容証明で送る

電話やメールでの請求に応じない場合は、請求書面を内容証明で送ってみましょう。相手に心理的プレッシャーをかけ、養育費の支払いに応じてもらいやすくなります。弁護士などの専門家の名義とするとより効果的です。

調停を申し立てる

内容証明を送っても進展がない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申立てます。調停では、調停委員が当事者の間に入って話をまとめてくれます。
調停が成立した場合は調停調書が作成されます。調停調書にも公正証書と同様の強制力があります。一方、調停が成立しない場合は審判に移行し、最終的には裁判官が養育費の支払義務などについて判断をくだします。

参照: 養育費請求調停-裁判所

履行勧告・履行命令を申し立てる

すでに、調停、審判、裁判(判決)(以下「調停等」といいます。)で養育費の取り決めをしている場合は、家庭裁判所に対して履行勧告、履行命令を申し立てることができます(公正証書ではできません)。
履行勧告とは家庭裁判所が相手に養育費を払うよう勧告するものです。履行命令とは、家庭裁判所が相手に期限までに養育費を支払うよう命じ、正当な理由なく命令に従わない場合は「10万円以下の過料」を科す命令です。

相手の財産を差し押さえる手続きを取る

公正証書を作成している場合、調停等で養育費の取り決めをしている場合は、相手の財産を差し押さえる手続きをとることができます。また、財産を差し押さえる前提として、相手に財産の開示を求めたり、第三者に相手の勤務先に関する情報の開示を求めることもできます。

まとめ

これから養育費について取り決めする場合は、未払い防止のため、公正証書や調停調書などの強制力のある書面を作っておきましょう。
離婚後は、普段から相手(養育費の支払義務者)と連絡を取り合い、面会交流を定期的に行っておくと養育費の未払い防止につながります。
万が一、未払いとなった場合は、まずは電話やメール、書面で支払いを請求し、応じない場合は法的措置をとることも検討しなければなりません。

この記事を書いたプロ

小吹淳

離婚協議書をはじめとする夫婦間契約書作成のプロ

小吹淳(こぶき行政書士事務所)

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