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中村拓司

キャリアやメンタル面での悩みに寄り添い心をケアするプロ

中村拓司(なかむらたくじ) / キャリアカウンセラー

C three(有限会社至誠)

コラム

【就活】 エントリーシートは「小さな成長物語」

2021年1月13日

テーマ:就活

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 就活写真

エントリーシートは「小さな成長物語」



今回は大学生の就活について取り上げたいと思います。私は福岡県の委託を受けて新卒の学生や転職の際のお手伝いをしていました。その中で気になったことです。

就活にはさまざまな誤解があります。そのなかで、もっとも厄介なのは「学生時代にこんなすごいことをした」という実績競争であるという誤解です。もちろん、わかりやすい実績があったほうが有利であることに違いないです。

だからといって、ESを見る担当者や面接官は、あなたの実績、つまり過去だけを見て、あなたのすべてを評価しているわけではありません。実績の大きさは、評価項目の1つにすぎないのです。

そのため「ESに書けるようなことなんてない」と落胆する必要はありません。「大した実績もないし、自分は評価されないに決まっている」とあきらめることもないです。大きな実績こそすべてという呪縛から解き放たれることから始めたいですね。では、大人たちは、あなたの何を見ているのでしょうか。

前提として言えるのは「あなたが使う言葉でしか、あなたを評価することはできない」という事実です。就活は、あなたが行ってきたことや感じてきたこと、今後やりたいことを、言葉を用いて理解を深め合うコミュニケーション活動です。

そこで重要なのは、あなたの中にある「言葉にできない気持ち」を言葉にしようとすることに挑む姿勢です。心の中にあるモヤモヤは「うれしかった」「かなしかった」といった単純なものではなく、あなたが大切にしている価値観そのものであり、あなただけの感情と言えるでしょう。

こうした、あなたらしさが宿った気持ちに、適切な言葉を与えようとする作業が、自分の言葉を生むことに直結します。自分の気持ちと向き合いながら、心と言葉を結び付けていく作業が就活の肝となるのです。実際に行ってきたことや実績は出来事にすぎず、常に、出来事の裏にある背景や心情を言葉にすることを心掛けたいですね。

ここからは、より具体的な内容に入っていきましょう。マーケティングには、ストーリーテリングという考え方があります。日本語に訳すと「物語を語る」となるのだが、製品やサービスの良いところをしゃべり倒すのではなく、聞き手の興味を惹き、思わず聞き入ってしまう物語として語ることの重要性を指しています。

就職活動においても同様である。自分の長所や魅力を一方的に話し切ったところで、聞き手である人事担当者や面接官の心を動かすことはできません。

人が心を惹かれる物語には、いくつかの法則があります。例えば、なんでもそつなくこなせる器用な人物の話を、楽しんで聞ける人は多くないです。途中から自慢話にしか聞こえなくなり、興味が失われていくのは明らかです。

人の心を動かす主人公とは、どのような人物でしょうか。きっと、できることは少ないながらも、その瞬間に自分がすべきことを考え、悪戦苦闘しながら前に進もうとする、名もなき人物です。ダメな自分ながらも懸命にもがき続ける姿が人を惹きつけるのです。

名作と言われる小説や漫画、映画・ドラマを思い出してもらえば、思い当たるものばかりではないでしょうか。やってきたことは小さくていい。成功を収めていなくてもいい。ただ、等身大の葛藤と、なりふり構わず起こした行動を、小さな成長物語として語り切ればいいのです。

ピンと来た人もいるかもしれません。そう、あなたも、人の心を揺さぶる物語の主人公に十分になりうります。馬鹿がつくほど真面目で、地道に進もうとする姿を、物語で描き切ればいいだけなのです。

とはいえ、物語を1行目から書くのは難しいですね。そこでお勧めしたいのが、あなたの成長物語を声に出して語ってみることです。「たいそうなことを話す必要はない」という前提に立ち、リラックスした気持ちで音声を録音します。

そして、その音声を素材として活かしながら、文章に落とし込む。すると、素直ながらも深みのある文章を書くことができるようになります。スマートフォンの録音機能を使えば簡単なので、ぜひ実践してみてください。

就活に関する問いの多くは、過去を問うものです。そこで気をつけたいのが、過去の設問に、未来を織り交ぜながら答えることです。過去よりも未来の話のほうがワクワクするという側面もあるのだが、本質的には、過去の話は自分の話でしかですが、未来の話は自分と社会が自然と接続されることに起因します。

「こんな自分になりたい」という意志は、「こんな社会や会社に寄与したい」という貢献を意味していまづ。つまり、未来を考えることは、自分の成長物語の続きを描くことであると同時に、自らの力を社会に貢献できる価値へと変換させる力を持っているのです。

未来を考えることには、もう1つ利点がある。未来へと目線を上げることで、自己分析の沼から脱することができるようになります。就活は自己分析との戦いでもあるのですが、向き合いすぎると息がつまってしまいます。自分の未熟さを痛感し自己肯定感が下がっているところに、不採用の「お祈りメール」が追い打ちを掛けてきます。

そんなときには、未来に目をやるのが有効です。どんな未来に貢献していきたいのか、言い換えるならば、あなたの時間をどの会社に投資すべきかを考えることで、前向きになれるのです。そして、思考停止に陥ることなく、自分の頭で考えるモードに切り替えることができます。

過去の海に潜り、時に海面から顔を出し、輝く未来に目をやる。そして、また過去の海へと潜っていく。その繰り返しによって、あなたはあなたの本質を見つめながらも、自分が貢献できる何かを見出せるようになっていきます。

私は以前から、未来を語ることができるのは、若者だけの特権だと思っています。新入社員を採用することには、若者が持つ新鮮な風を社内に取り入れる役割もあります。現在や過去ばかりにとらわれている大人をよそめに、就活の場においても、未来志向の清々しい風を吹かせてほしいですね。

就活でよく言われることに、面接官や会社にとって「一緒に働きたい人」を目指す、というものがあります。ESに目を通すのは人事担当者だが、一次面接や二次面接は、現場の社員が駆り出されることも多く、こうした文脈が生まれたのでしょう。

事実、入社とは一緒に働くことでもあるため、この基準は正しいと言えます。しかし、一緒に働きたい人という指針は明確なようでいて曖昧で、要素分解することは難しいことです。

そこで、私は「応援したくなる人」としたほうが正確であると考えていまう。応援したくなる人は、ストーリーテリングの項目で説明した人物像と重なるのです。

不器用であらゆる壁にぶつかり、小石に躓きながらでも、自分の頭で考え一歩ずつでも前に進もうとする人です。こうした指標を、人材業務を行う担当者に投げ掛けたところ、非常に共感できるとの意見を得ています。

器用な人はいまのまま就活に臨めばいいと思います。しかし、そうではないと考える人には、就活に絶望しないでほしいと心から願っています。自分の価値観とは違う物差しで測られ、否定されることもあるでしょう。

それでも、腐ることなく、不貞腐れることもなく、あきらめない姿勢を取り続けてほしいものです。あなたの小さな成長物語とその未来を語れるようになれば、あなたを応援したいと思う人と出会える日は必ずやってきます。その日まで、不器用な自分を表現し続けてほしいです。

いまスマホを手に、パソコンの前で、孤独を感じながら就活に挑んでいるあなたへ。小さな成長物語を語り切る。過去だけでなく未来を見据える。そして、最後に、自分の可能性を誰よりも信じられる自分でいる。そんな姿勢を持つだけで、あなたの言葉は強くなり、あなたを正しく理解できる人は必ず現れます。そして、大人は、就活を通じて、そんなあなたと出会えることを楽しみにしているのです。

この記事を書いたプロ

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