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柴田翔吾(しばたしょうご) / 公認会計士

柴田翔吾公認会計士事務所

コラム

AIは会計士・税理士の仕事を奪うか

2020年3月23日 公開 / 2020年3月24日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

アクセスいただき、ありがとうございます。

“今はAIブーム”と言われて、数年が経ちました。
1950~60年代の第1次ブーム、1980年代の第2次ブームに続いて、今は第3次AIブームと呼ばれているようです。

会計士・税理士は、よく”AIに奪われる職業”として挙がります苦笑
実際のところ、どうなのでしょうか。
興味深い記事があったので、そちらを参照しつつ、私見を述べたいと思います。

【参考記事】
証券アナリストジャーナル 2020年2月号
[経済・産業・実務シリーズ] AIの技術的特徴・有効性と限界(山田誠二著)
※一般の方もこちらから全文記事を購入できるので、ご興味があればぜひどうぞ。
 

当該記事によれば、AIには得意・不得意があるようです。
●得意なもの
・複雑だが静的(static)で、閉じた(closed)世界
(例えば、完全情報ゲームといわれる囲碁、チェス、将棋)
・外側の世界と情報のやりとりがあまりない世界
●不得意なもの
・動的で(dynamic)で開いた(open)世界
(例えば道路は、予測できない要素が多いdynamicな世界であり、それゆえ、完全自動運転の実現は難しいと認識され始めている)
・日常的な常識、社会的常識

会計士・税理士の仕事が、”AIに奪われる職業”と声高に主張する方は、おそらく、この仕事が、”複雑だが静的で、閉じた世界”寄りであるという認識に立っているのかと思います。
そういう面も、確かにあります。百科事典のような会計六法・税務六法のルールに基づいて、会計処理・税務申告を進めていく。AIが得意そうな分野です。

ただ、AIで完全に代替できるかと言われると、断言してもいいですが、不可能です。答えが1つに定まらないことが往々にしてあるからです。
例えば、よく個人事業主が悩む典型的なものとして、「支出をどこまで必要経費に含めてよいか」、という話があります。所得税法第37条に次の記載があり、国税庁のタックスアンサーにさらに詳細な案内があります。
●事業所得・不動産所得・雑所得の必要経費となるもの
・総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
・その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

私はAIの専門家ではありませんが、おそらく、”特定の領収書が必要経費かどうか”をAIが判断することはできません。取引の種類や、帳票の種類が膨大にあり、日々新しいものが生まれている中で、AIが判断できるように"直接要した費用"を定義づけることは困難です。
AIが得意なのは、”必要経費と判断された領収書を仕訳にするところ”、だと思います。そして、会計士・税理士が本来力を発揮すべきなのは、前者の”判断”の部分であり、その意味では、会計士・税理士とAIはうまく仕事が棲み分けられていくのではないかと想像しています。

実務をやっているとつくづく痛感しますが、会計・税務は判断・社会的常識のカタマリ。機械的に判断できることは少ないです。クライアントの方針等によっても結論が変わります。

判断が終わった後の作業は、AIに仕事を任せてしまった方が早いと思います。
今流行りのクラウド会計もそのような活用の仕方になるでしょう。肝心の判断のところまで機械に任せてしまうと、知らないうちに損をしていた、ということになりかねません。
「自動化」という言葉だけに踊らされないようにしたいものです。

証券アナリストジャーナルの記事の話に戻りますと、AIには、”強いAI”と”弱いAI”があるようです。
●強いAI
・AI単独で人間と同等の能力を持つことを目指すもの
●弱いAI
・工学的な部分を何でも人間並みにするのは難しいので、メインは人間がやり、AIは人間がやることをサポートする知的システムを目指すもの

少なくとも、会計士・税理士の世界では、この”弱いAI”をいかにうまく活用していくのかが、業界で生き残っていくポイントになるのかなと思います。
“AIが人間を支配する”のは映画の中だけの話。AIを有効なツールの1つとして、うまく使いこなしていきたいですね^ ^


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