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コラム

社会保険加入の4分の3要件とは? 28年10月から500人以下でも加入条件変更!

社会保険・労働保険

2016年2月2日 / 2016年11月7日更新

500人超の企業だけではない改正


通称「年金機能強化法」の一部が平成28年10月に施行され、いよいよ500人超の大企業では週20時間以上勤務等のパートタイマーに対する社会保険の適用が拡大されます。
最近のニュースでは、この500人超の企業に対する改正が多く取り上げられてますが、
実はこの法改正により、500人以下の企業においても一部適用条件が変更になります。

■現状の4分の3要件は法規制ではない?


 まず、その前に現状の制度を確認しましょう。
現状、社会保険は「所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上」が加入要件と言われていますが、この「4分の3要件」は実は法律では決まっていないのです。
 厚生年金保険法では「第九条 適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。」とあり、そのまま読めば適用事業所に入社すれば例え週1日のアルバイトでも加入しなければならないこととなります。
 
ただこの法律の解釈としては「常用的使用関係」に限定して適用すべきとの考えで、昭和55年6月6日付けの「内簡(ないかん)」で当時の厚生省の課長が都道府県民生主管部(局)保険課(部)長宛に
「1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者」
を被保険者とするよう通知したものです。

 ちなみに「内簡(ないかん)」は行政内部での規定であり、Wikipediaによると内簡それ自体に法的な拘束力は一切ないとされています。

厚生年金保険法の改正により4分の3が明文化


 このような非常にあいまいな根拠に基づくルールを35年以上運用してきましたが、今年10月施行の「年金機能強化法」では、厚生年金保険法第12条(適用除外)に以下の1号を加えるとしています。

・・・年金機能強化法第3条(厚生年金保険法第12条第6号)<抜粋>・・
6.事業所に使用される者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条に規定する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である同条に規定する短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬について、厚生労働省令で定めるところにより、第22条第1項の規定の例により算定した額が、88,000円未満であること。
ニ 学校教育法第50条に規定する高等学校の生徒、同法第83条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。(以下略)
・・・・・・・・・・・・・

非常に難しい言い回しですが、現状の厚生年金保険法の「適用除外」は以下の通りです。

・・・厚生年金保険法第12条<抜粋>・・
(適用除外)
第十二条  次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
一 国、地方公共団体又は法人に使用される者であつて、次に掲げるもの~(中略)~
二  臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては所定の期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
イ 日々雇い入れられる者
ロ 二月以内の期間を定めて使用される者
三  所在地が一定しない事業所に使用される者
四  季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし、継続して四月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
五  臨時的事業の事業所に使用される者。ただし、継続して六月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
・・・・・・・・・・・・・

ここに先ほどの年金機能強化法の一文が加わることにより、これまであいまいであった4分の3要件が明文化されることとなります。
正確に言えば、4分の3未満かつ週20時間未満その他の要件を満たした者が「適用除外」となることで、4分の3以上は加入という解釈になります。
さらに、年金機能強化法附則第17条においても以下の文があります

・・・年金機能強化法 附則第17条<抜粋>・・・
~(前略)その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当するものについては、厚生年金保険法第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここでも4分の3以上は被保険者とする旨が読み取れますが、良く見ると従前の「内簡(ないかん)」とは微妙に言い回しが変わっています。

新法で「4分の3要件」から1日の判断基準が削除に


先程の内簡の解釈によると加入要件は
■1日 または 1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数がおおむね4分の3以上

となりますが、新法によると
■1週間の所定労働時間 及び 1ヶ月の所定労働日数が4分の3以上

と解釈されます。「おおむね」という文言も消えましたが、判断基準から1日の所定労働時間が省かれています。

つまり、
正社員が「1日8時間・週5日(月21日程度)」である場合、
アルバイトが「1日5時間・週6日(月25日程度)」であれば
週30時間(4分の3以上)でも1日の労働時間が4分の3を下回っているため現状の制度では加入を免れますが、
新法では1日の労働時間が判断基準に入らないため、このケースでは加入が強制されます。

以上、ややこしい条文解釈ばかりで長文となりましたが、念のため自社のケースにおいてもご注意下さい。

この記事を書いたプロ

今井順也

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