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今井順也

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今井順也(いまいじゅんや)

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コラム

賃金セミナー<手当の対価を明確にする>

人事労務

2014年7月25日 / 2014年8月5日更新




昨日は福井県経営者協会様の主催で
賃金に関するセミナーの講師をさせて頂きました。

その中でトピックとして取り上げたものの一つが「手当」についてです。
過去色々な会社の賃金体系を見てきましたが、
「どの手当が何に対する対価」であるかが明確になっていないということが
よくありました。

特別手当、業務手当、職務手当etc…
AさんとBさん、2人とも同じような仕事をして同じような職責があるのに、
Aさんの方が職務手当が1万円多くなっている。
それについて社長自身が明確な答えが出せない、というようなケースです。

手当の対価を明確にするということは、
言い換えれば会社は手当を支払うことによって会社の方針、
メッセージを社員と共有する、ということにも繋がります。

ある会社で 一つ、エピソード形式でご説明します。

喫煙者の多かったある製造業A社の事例です。
A社では非喫煙者からの苦情要望があがったことから、
工場内での喫煙を禁じて、外に喫煙所を設けました。

すると喫煙する社員は1日に5回程度、就業時間中に外の喫煙所へ
煙草を吸いに出るようになりましたが、これを社長は問題視するようになりました。
仮に喫煙に行くと1回5分×5回=25分、1日当たりの作業を
ストップさせることになるので業務効率も落ちるし何とかしたい・・・。

喫煙時間の給与を控除することも考えましたが、
正確に喫煙時間を測定することは不可能に近いですし、
逆の発想から煙草を吸わない社員に対し、禁煙手当を支給
することを考えました。

結果としてこの手当の導入を機に禁煙を決意した社員もおり、
禁煙を奨励することで業務効率化だけでなく、
社員の健康増進にも繋がり、火災リスクの軽減、環境美化等
メリットも大きく、社長は導入した効果を十分に感じることが出来ました。

<禁煙手当の規定例>(参考)
第○条(禁煙手当)
 禁煙手当は、会社の勤務時間中に喫煙を一切行わなかった者を対象に、月額5,000円を支給する。
(2)会社は業務効率化、及び従業員の健康増進と火災などから会社を守るため、敷地内での禁煙を奨励するもので、喫煙の習慣の有無に関わらず、勤務時間中の喫煙をしなかった場合に前項の額を支給する。
(3)なお1本でも喫煙した者は当日に会社まで所定の用紙で申告すること。申告した者はその月の禁煙手当の支給の権利を喪失する。


また、B社では企業秘密となる技術を取り扱う部署があり、この部署の社員が
退職して同業他社に入社することで技術の漏えいの心配がありました。

通常の会社では、対抗策として「競業避止に関する誓約書」を交わすにとどまりますが、
社員側にも「職業選択の自由」があるため、それだけでは効力が十分とは言えません。

裁判例「フォセコ・ジャパン・リミテッド事件(奈良地裁S45.10.23判決)などでも
競業避止義務の特約の有効性について
①制限の期間、②場所的範囲、③制限の対象となる職種の範囲、④代償の有無等
を挙げています。
この「④代償の有無」を手当を支給することで競業避止義務を明確にしたのです。

<競業避止手当の規定例>(参考)
第○条(競業避止手当)
 競業避止手当は、会社の指定する一定の役職者に対し、会社の機密保持義務と競業避止義務に応ずる対価として支給する。
(2)競業避止手当の支給対象となる役職者に対し、会社は別紙の競業避止義務に関する誓約書の提出を求める。~

・・・手当を単なる昇給の手段と捉えず、
「この手当を支給することでこの効果を狙う!」ということを明確にしていきましょう。

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