まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ福井
今井順也

企業を強い組織へ導く社労士のプロ

今井順也(いまいじゅんや)

今井労務経営事務所

お電話での
お問い合わせ
0776-33-3309

コラム

会社の車両や備品を壊した従業員に弁償させられるか?

人事労務

2014年6月19日

よく受けるご相談に、社員が会社の所有物を壊した場合の修理代の請求についてのご相談があります。
営業車による事故での修理費請求や、会社の機材を過失で壊してしまった場合などが考えられますが、法律上のポイントとしては特に以下の3点に注意が必要です。

■①賠償予定の禁止(労働基準法第16条)

「使用者は、労働者の不履行 について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」(6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金 )

→就業規則等で、「損害額の全額を負担する」「損害額の2分の1を負担する」「一律10万円を負担する」などと定めることは違法となります。

※賠償予定額を定めることが違法であり、現実に発生した損害の賠償を求めることはこの法に触れません

■②損害額を給与からの天引きすることの原則禁止

賃金全額払いの原則(労働基準法第24条)により、
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(30万円以下の罰金 )と定められています。
これにより、会社が一方的に損害額を相殺し、給与から天引きすることは違法です。

ただし、「労働者の完全に自由な意思に基づいていると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することを要件として,全額払いの原則に反しない」(日新製鋼事件・最二小判平2.11.16)とあるため、自由意思による同意書等があれば賠償額の給与天引きも可能と考えられます。

■③損害賠償できる限度(裁判例から)

1.従業員が深夜作業中に居眠りをして会社の機械を破損させたケースで、従業員に対して修理費用の 4分の1に限って弁償義務を認めた(名古屋地裁)

2.車間距離不保持及び前方不注意により先行車に追突したタンクローリー運転手の従業員に対し、修理費の4分の1に限って弁償義務を認めた(最高裁)

上記の例からは従業員の過失が大きい場合でも、弁償されられるのは通常は4分の1程度、全額賠償を求めるのは相当厳しいと考えられます。

・・・これらのポイントから、一律に事故等の損害請求を会社が決めるのではなく、事故等の都度、従業員と話し合い、個別に同意書を得て請求割合、方法等を決めていくことが必要と考えられます。

この記事を書いたプロ

今井順也

今井順也(いまいじゅんや)

今井順也プロのその他のコンテンツ

Share

今井順也プロのその他のコンテンツ