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退職前に!やっておきたい家計の見直し

2023年1月11日 公開 / 2023年1月13日更新

テーマ:家計管理

コラムカテゴリ:お金・保険



こんにちは、ブレない自分と家計をつくる。
家計の総合医。の内田英子です。

「住民税の請求に驚きました。退職したらのんびりできると思っていたのに、
思ったよりも貯蓄の取り崩しが早くて不安です。」

先日、昨年の4月に退職したばかりという高橋様(仮名)から
こんなご相談をお受けしました。

高橋様は地元の大手企業で勤務した後、現在は持ち家にご夫婦で暮らされています。
住宅ローンは完済しましたが、
夫婦あわせての年金額は手取りで20万円程度。
細々と暮らしていければなんとかなるだろうと考えていたそうですが、
想定外の住民税や奥様の年金保険料の支払いがかさみました。

そんな中、光熱費を始めとするあらゆるもの・サービスの値上がりを受けて、
これからの暮らしが一気に不安になってきたそうです。

リタイア後に家計のやりくりに悩まれる方は多いです。
その理由はご家庭によって様々ですが、
退職金をまるでボーナスかのように錯覚して、
日々のやりくりをあまり気にしないまま
現役時代と同じ生活スタイルで続けてしまい、
その結果、あっという間に多くの貯蓄を
取り崩してしまっている、
と言う方が目立つように思います。

今や30年を超えて続くことも見込まれる
”老後生活”。

老後破産とならないために、大切なことはいくつかありますが、
退職前に家計の見直しを行うこともその一つに挙げられます。

そこで、今回のコラムでは退職時期が近づいてきたらやっておきたい
家計の見直しについて3つ挙げ、
家計の総合医の視点で解説します。

固定費の見直し

まず退職前にやっておきたいのは、固定費の見直しです。
固定費とは、毎月決まった金額が発生する支出で
例えば住宅ローンの返済や保険料、固定電話やスマホの通信費、
自動車に関連した維持費用などが挙げられます。

前述の通り、年金額は現役時代のお給料と比べると減る方が多いです。
その場合、固定費のように金額が変わらない支出であったとしても
収入に対する負担割合は上がります。
その結果、固定費を見直さないまま年金生活を迎えると
自由に使えるお金が大きく減って、暮らしの満足度が一気に下がるという
事態にも陥りかねません。

固定費は一度見直せば、その節約効果は長く続きます。

最近は契約内容が昔より複雑になっているサービスも多いです。
専門家や周囲のサポートも得ながら、
なるべく早く見直しに着手しておきましょう。


リタイア生活で膨らみがちな支出の洗い出し

次に、退職後の年金生活で膨らみがちな支出の洗い出しを行いましょう。

退職すると、自然と節約できるだろうと思われる方も多いですが、
実はリタイア後だからこそかさみがちな支出もあります。

例えば、以下の様なものが挙げられます。

  • 交際費
  • 娯楽・レジャー費
  • 医療費


これらの支出は前出の固定費と異なり、
毎月決まった金額が必要になるわけではありませんが、
だからこそ意識しておかないとあっという間に膨らんでしまう費用でもあります。

特に現役時代と生活スタイルやお付き合いを変えたくない、
という方は交際費や娯楽・レジャー費が膨らみがちです。
医療費の負担も侮れません。
最近の社会の変化と照らし合わせると
医療費の窓口負担は今後増えると心得ておいた方がいいでしょう。

まずは今どの程度ご自身が費やしているのか
確認してみましょう。
そしてその後、ご自身が気持ちよく健やかに過ごせる
メリハリのついた暮らしをイメージしてみましょう。

リタイア生活における大きな支出の洗い出し

最後に、今後想定される大きな支出を洗い出していきましょう。
リタイア生活において特に注目したい大きな支出は以下の3つです。

  • 介護・医療費
  • 住居維持管理費
  • 孫への援助資金


長期の療養や介護が必要となった場合、
幸い日本には公的医療保険や公的介護保険
といった家計の負担を抑えるセーフティネットがあります。
そのため、長期の療養や介護が必要になった場合も、
必ずしも高額な負担が必要になるわけではありません。

とはいえ、実際に介護が必要になった場合は
新たな支出が発生することも事実です。

ちなみに、どれくらいの費用が必要なのか、というと
介護に必要な毎月の平均額は以下のとおりです。
※あくまで平均額です。ご利用のサービス利用量によっては超える場合もあります。

(在宅介護の場合)月4.8円程度
(施設介護の場合)月12.2万円程度


在宅介護の方が
比較的家計の負担を抑えることができそうですが、
それでもご家庭によっては
貯蓄を取り崩さなければいけない場合もあるでしょう。
また、リフォーム費用も必要となるかもしれません。

施設への入居を希望する場合であれば、
一時金を含め、別途資金を確保することが必要となります。

まずはご自身のお考えをもとに必要となりそうな介護資金を洗い出してみましょう。


次に、住居維持管理費を洗い出しましょう。
退職前後にご自宅が築30年を超える場合、
リタイア後の生活において定期的な修繕費用が必要となるご家庭は多いです。

修繕費は近年上昇しており、
場合によっては築30年で800万円程度の修繕費が必要となるとも言われています。

ぎりぎりになるまで住宅の修繕をしたくないという方は多いですが、
ぎりぎりになるまで修繕を放置していると定期的な修繕を行った場合よりも
費用はかさむ傾向にあります。

こまめに点検しながら修繕を行える
資金を確保しておくことが大切です。

最後に孫への援助資金も洗い出しておきましょう。
孫への援助は行わないという方もいらっしゃいますが
一方で孫への援助にはついつい財布のひもがゆるんでしまう、
という方もいらっしゃいます。

あなたはどちらでしょうか?

老後は資産の取り崩し期にあたります。
孫への資金援助を希望される場合は
気持ちよく援助するためにも
ご家庭のボーダーラインをあらかじめ決めておきましょう。



まとめ


多くの方の退職後の主な収入源となる国の年金は
ご本人が亡くなるまで受け取れる一生涯の年金ですが、
現役時代の収入の100%を補えるわけではありません。

収入に合わせた暮らしをすることは家計管理の基本ですが、
多くの方は年金生活に入ると
現役時代の6割程度の収入に落ちこみます。
老後も何かとお金がかかる中、
資産をお持ちの方であっても
長い老後生活の中では
生活を見直さず4割もの収入減を資産で補うとすると
90歳を前にして資産が尽きてしまうと言う方は多いです。

退職前にはなかなか退職後の生活はイメージできないという方は多いですが
だからこそ、数字で把握できるお金の把握から
老後準備を始めてみてください。

あなたの心を耕す家計づくりを応援しています。

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この記事を書いたプロ

内田英子

「家計の総合医」として家計改善を導くお金のプロ

内田英子(FPオフィスツクル)

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