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児玉 猛

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コラム

防災行動計画(タイムライン)の作成の重要性

2020年2月25日 公開 / 2020年3月30日更新

テーマ:防災行動計画

コラムカテゴリ:くらし

 防災・減災の対策として防災行動計画(タイムライン)が注目されています。本コラムでは、タイムラインの効果的な作成のためのポイント、課題、留意点などを挙げ、あるべき姿ではなく、身近なところで実効性の高いタイムラインを検討できる題材を提示したいと思います。

1. タイムラインの作成の重要性

 昨今、防災行動計画というよりもタイムラインという表現が多くなってきており、メディアでも使用され、一般的に浸透し始めてと感じています。タイムラインとは、事例列に、「誰が」、「いつ」、「何を」をするかの行動が関連付けられている行動計画です。タイムラインとして、分かり易い国土交通省の資料を紹介します。タイムライン国土交通省 これは、台風のタイムラインであり、赤道付近の熱帯低気圧が台風となり、日本へ上陸し、暴風雨の強さや進路などの状況を予測し、行政と関連機関が連携しながら応急対策・対応の行動を記述している行動計画です。また、地震の場合は、発生後の初動対応ということで72時間の行動(救命)があり、全体としては、地震発生後3ケ月間での時系列での応急対策・対応が表現されている場合が多いです。
 タイムラインの良いところは、被害想定に応じて、時系列に、「誰が」、「いつ」、「何を」するかが可視化されています。過去の防災行動計画はの多くは、応急対策・対応の実施内容は記述されていますが、どのタイミングで実行するのか、誰が実行するのかなどが記載されていませんでした。そのため、防災行動計画のマニュアルがありますが、今、何をすれば良いか、どう動けば良いのか、誰がするのかなどが判断できず、行動の遅れで被害を事前に食い止められなかったという多くの反省がありました。
 そこで、タイムラインのイメージと重要性を理解いただけたと思いますが、基本的には、行動計画を作成する場合は、5W1H(Who:誰が、When:いつ、Where:どこで、What:何を、Why:なぜ、How:どのように 頭文字)が必須であると考えます。

2.被害想定とハザードマップ

 タイムラインを作成するために、大前提となるのは、発災時に、どのような被害(ケガ、家屋の損傷、生活インフラが利用できない、避難所生活要など)になるか充分に検討することです。

2.1 自然災害の怖さの理解

2.1.1 震災の場合

 大きな地震が発生した場合は、地震速報で、千葉県東方沖 最大震度4(マグニチュード 5.9)などと報道されます。そこで、規模の大きい地震を体験した方は、地震を恐怖として記憶していますが、未経験の方は、そもそもどのような揺れなのか、身の周りがどうなるのかを理解するのは、難しいです。例えば、震度と揺れ方の資料として、気象庁のリーフレットの内容を紹介します。震度と揺れ気象庁 震度階級として、10階級ありますが、震度4以上は、防災・減災のために何かしらの行動を起こす必要があると考えます。特に、冬季の火災です。洗濯物がストープの上の落ちて、燃え上がり、出火などです。ちなみに、各自治体は、震度4でも、当該都道府県庁への報告が義務付けられてる様です。それから参考までですが、地震の揺れを体感したい方は、防災・減災の展示会でのVR(バーチャルリアリティー)の地震体験コーナー、自治体・地域の防災訓練での地震体験車(起震車)や都内の防災館(本所、池袋他)での体感を得ることを御奨めします。

2.1.2 台風・大雨の場合

 近年は、台風・大雨での被害が多く、適時、気象庁の気象状況の発表も強化されており、最新情報としては、警戒レベル(5段階)のどこの段階にいるかを説明する機会が多いと思われます。ここに、気象庁の資料を紹介します。5段階レベル気象庁ここには、明確に住民の取るべき行動も記述されています。被害想定は、命を守ることです。地震とは違い、発災(河川氾濫、内水氾濫、土砂崩れなど)までの時間に猶予があるため、検討する時間、準備する時間は確保されます。対象地域の方々は、注意と行動が必要ですが、遠く離れた家族の方々が対象地域に居住している場合もあり、注意を払う必要があります。暴風雨については、ほとんどの方が経験されていると思いますが、更なる体感をしたい方は、前述の都内の防災館でも体験できる様です。被災状況は、テレビなどの被災状況報道から学ぶことになります。

2.2 ハザードマップでの確認

 次は、地震が発生した場合の被害、暴風雨での浸水などの可能性の把握になります。それは、ハザードマップを参考にすることです。各自治体は、ハザードマップ作成に力を入れています。入手方法は、居住地域の自治体の関係部署に貰いに行くか、自治体のホームページで参照できます。これは、自分自身が行動すれば、情報は、すぐに入手できます。小生は、市川市在住のため、同市のハザードマップを入手し活用しています。特に、市川市は、「防災カルテ」という小学校区(避難所)毎に、防災・減災に必要な情報を取りまとめたもの(全6ページ)があり、個人的には、高い評価をしています。ここで、防災カルテの一部を紹介します。
 防災カルテに記述されている情報は、(1)地区の位置、(2)地区の概況、(3)人口・建物状況、(4)防災リスク(マイナス面、プラス面)、(5)防災関連施設、(6)被害想定結果(地震、風水害)、(7)防災上の課題、(8)防災対策の方向性(地域の取り組み、個人の取り組み)、(9)防災マップ、(10)基礎資料①震度分布図、②液状化危険度、③建物被害(揺れ、液状化危険度)、④津波、⑤洪水、⑥内水氾濫、⑦高潮まどです。市川市防災カルテ平田小学校 被害想定を理解し、把握するために、まずは、居住地の自治体の防災・減災のパンフレットの入手、ホームページを参照されることを御奨めします。

2.3 リスクの考え方

 被害想定は、リスクとして表現される場合が多いのですが、再度、リスクとは何かを整理します。先日、日本防災士会の研修「地域リスク」の講座で、国立研究開発法人 防災科学研究所の池田様が説明されていました。『自然災害のリスク』とは、ハザード(災害を引き起こす自然現象、軟弱地盤などの土地条件、現象を軽減するための建物の耐震化など)、暴露(災害で失いたくない地域社会にとって大切な資源である人命、建物、経済活動、文化活動など)および脆弱性(木造・非耐震化建物、狭い道路、支援不足など)でリスクを捉えることと説明されていました。確かに、ハザードマップだけで被害想定をすることの危険性を再認識しました。

3.自主防災組織などのグループでのタイムライン作成のご提案

 マイ・タイムラインとして、東京都、大田区、仙台市、浜松市、残念ながら昨年の台風19号「令和元年東日本台風」で千曲川の氾濫で甚大な被害のあった長野県なども作成の推進をしています。
 そこで、各自治体の各種タイムラインの策定を待つのではなく、自らタイムラインを作成して見ては如何でしょうか? まずは、意思疎通が図れる体制、例えば、自主防災組織(地区防災)、自衛消防組織(企業)、各コミュニティー、家族、個人から始めることを御奨めします。
 ここに、タイムラインの作成の手順(案)を提案します。
①仲間を集う(参加者)
②ハザードマップを準備(行政などから入手)
③近隣(街歩き)調査(街頭消火器、消火栓、避難所、危険箇所など)
④関係者の洗い出し(受援者、支援者、自治体、福祉関係など)
⑤応急組織体制の検討(発災時の季節、曜日、時間帯、居場所など)
⑥前記②から⑤でのリスク想定(被害想定)
⑦被害想定毎の応急対応の検討(被害想定規模/5W1H/対応可否など)
⑧応急対応に必要な準備事項(実行できる範囲)
⑨応急対応の学習・訓練(むだ、むら、むりのないこと)
⑩①から⑨で変更がある場合の見直し
⑪タイムラインでのトータル時間(家族例)
<<地震の場合>>身を守る(発生後1-2分)、家族安否、非常用持出品準備と情報確認(同3分)、ガスの元栓閉めブレーカーを切る(同5分)、消火・救出活動(同10分から数時間)、避難所入所(同数時間から3日間)など
<<大雨の場合>>情報収集、非常用持出品準備など(大雨予想の2-3日前)、情報収集と自宅周辺確認、土のう設置(同1・2日前から数時間前)、高齢者避難(同2時間程度前)など

 各項目について大変と思い、タイムラインを「元々作成するつもりはない」、「作成なんかできない」、「作成しても行動なんかできない」と思うのではなく、まずは、小さい組織から始めて、自分たちのスキルの向上を図り、かつ、自分たち(組織)に合ったタイムラインを作成し、それを拡げて行くことを御奨めします。個人から家族、家族から近隣のお知り合い、近隣から地域の自主防災組織・・・。それが、自助から共助への展開となります。
以上

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