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児玉 猛

防災士の資格を持つ「防災・減災」の行動計画の専門家

児玉 猛(こだまたけし) / 防災・減災のコンサルタント

初動プロセスマネジメント

コラム

防災・減災のソフト面での防災組織体制(自主防災組織など)の在り方

2020年1月17日 公開 / 2020年7月30日更新

テーマ:自助・共助・公助

コラムカテゴリ:くらし

1.我が国の防災対策の提言

 日本は、災害が発生し易い国土環境であり、大災害の教訓を踏まえて、防災に関する取組を推進しています。過去は、伊勢湾台風(1959年/防災1.0)、阪神淡路大震災(1995年/防災2.0)、東日本大震災(2011年/防災3.0)、直近では、内閣府が、平成28年6月に「激しさを増す新たな災害のリスクに向き合う」として、有識者からの提言を受けた「防災4.0」の内容は、下図の通りです。

 赤枠の「留意点」ですが、知らないうちに(?)、行政側の対応だけではなく、住民、企業が自ら対応しなければならない状況となっています。特に、「住民・地域における備え」として、各自治体は、地域の自主防災防災組織向けに、防災・減災のハード面(消火器、発電機など)の資機材補助予算だけではなく、フソフト面(防災訓練、教育、セミナーなど)としての「防災リーダー」の育成に注力しています。
 本コラムは、現状の「防災リーダー」の育成の注力だけでは、予測されている大規模自然災害に向かい合うことは厳しく、むしろ、皆さんが積極的に防災・減災について参加活動ができる環境・体制の在り方、気付きとして、「全ての人が防災リーダーという意識を持つ」ことが重要であることを説明したいと思います。

2.防災リーダーの選任と教育内容

2.1 防災リーダーとは?

 某市のホームページに掲載されている「防災リーダー」に向いている人の内容です。
● 防災に関心をもっている
● 防災対策に携わった経験がある
● 行動力がある
● 地域において人望が厚い
● 自己中心的ではなく、地域住民全体のことを考えることができる
● 様々な意見を取りまとめることができる
● 少数意見を尊重できる
以上ですが、これだけの逸材は、なかなか見つからないと思います。

2.2 防災教育

 そして、防災リーダーの教育内容ですが、地区内の被害想定を検討するための災害図上訓練(DIG Disaster/災害、Imagination/想像力、Game/ゲームの頭文字)、応急手当(胸骨圧迫、AEDの使い方、止血など)、初期消火、救出・救護、避難所運用訓練(HUG hinanzyo/避難所、U unei/運営、G game/ゲームの頭文字)などが中心となっています。
 これらは、現場での技能であり、防災リーダーとしての心構えや災害時に支援をいただく他の関連機関、NPOなど団体とのコミュニケーションの取り方などの研修は、少ないと思われます。

3.防災リーダーの課題

(1)防災リーダーの選任
 自治会などでは、会長となる場合が多く、当然ながら高齢者となる可能性が高く、また、一般企業は、ある程度の役職以上でなければならないという規定もあります。したがって、必要能力と選任者とのミスマッチが生じていると推察します。選任する前に、まずは、防災・減災に関心のある方々を多く集めることが必要です。
(2)防災リーダーの教育内容
 前記2.2で説明しましたが、個々の技術取得だけではなく、むしろ、自治体はもちろんのこと、福祉協議会、NPO団体、病院、学校、地域の一般企業(事業所)などとのコミュニケーションづくりの教育が重要と考えます。それは、自主防災組織のメンバーだけでは対応できないことも多々あるからです。
 小生が各種研修、防災訓練などを通じて、実技の他に検討が必要と考えた内容は、以下の通りです。
①地区のハザードマップを作成するために、実際に歩きまわり、危険箇所・危険物が発見されましたが、その後の改修・撤去などのが必要と思われますが、依頼先、費用負担などを行政、自治会、個人なのか、どう進めるべきなのか検討の必要性を痛感しました。
②応急手当の訓練で、一時救命措置として心配蘇生、AEDなどがありますが、胸骨圧迫には体力が必要との認識、AEDの台数、出血状態で感染症が疑われ状況での人工呼吸の不安、何よりも、負傷者が多数の場合にどう判断すればよいかの疑問が生じました。災害拠点病院との取り決めが必要と考えます。
③初期消火として、訓練用の水消火器で練習しても、本番でのホースの圧力、噴射時間(約30秒)でどれだけ消火できるかの不安、実際の出火で地域での世帯数と必要な消火器の本数などを消防署に確認する必要があります。
④避難所運営訓練でも、現在は、要配慮者として高齢者、障がい者だけではなく、外国の方の対応も必要です。さらに、ペットの同行、同伴もあります。避難所の施設管理者として校長先生(学校の場合)の受入の判断となっています。通常の避難者が利用できるのは、グランドと体育館だけです。それ以外の場所の使用は、施設管理者の判断となるため、それらを取り決める必要があります。
⑤救出・救護訓練でも、支援する側の二次災害の回避の判断も必要です。また、救出・救護される側の要配慮者が、個人情報保護法を盾にとして、自身の状態を説明しないこともあります。認知症は、身近な問題です。行政、福祉協議会、民生員などとの調整が急務です。
 上記の防災リーダーの教育に関する課題を挙げましたが、現行の教育内容を否定している訳ではなく、関連する課題を解決するためには、防災リーダーが多くの分野の方々との協力が必要であることを再認識していただきたいと思います。

4.課題解決

4.1 環境づくり

 防災・減災について、多くの現役世代の方々が関心を持ち、防災・減災に係る事項に、積極的に参加し易くなる環境が必要です。
(1)防災情報の関わり
 皆さんは、緊急速報メールで地震状況、気象状況による避難情報などをスマホで受信したことがあると思いますが、ローカルエリアでの緊急速報メールということで「Lアラート」と言います。予期せず、受信し、内容を見た時、少なくとも、どうしよう? どうすれば良いのか? 最初の行動は? 家族・友人は、大丈夫?などを考えると思います。
 下記のLアラートの説明ですが、スマホを利用されている方がは、各種防災アプリも利用可能(緑の枠)です。試しに、自治体のホームページに掲載されているハザードマップ、避難所マップなどのURLにアクセスし、防災情報が身近にあることを確認して見てください。

(2)地域内でのコミュニケーション
 スマホの活用により、地域内のコミュニケーションが図れる可能性が高いと想定されています(下図を参照ください)。『人を助けたい』という皆さんの意向が強い様子が伺えます。実例として、ご存知の通り、災害時にSNSによって助けられた方々も多くいらっしゃいます。


(補足)スマホの所有率の資料ですが、高齢者も利用しています。

4.2 防災・減災の組織体制

 防災情報へのアクセス環境は、ほぼ整っていますので、後は、参加し易いという気持ちと気付きを起こさせる必要があります。
 下図の「防災支援者が参加し易い環境づくり」ですが、現在の防災関連は、経験者であること、有識者ることなどで構成されている体制が多く、新規で参加するには、敷居が高いように感じられます。そこで、現役世代の方々が、「スマホ操作」をひとつのスキルとして参加できる受け入れ体制が必要と考えます。

たとえば、全員集合の防災訓練も実施内容(シナリオ/不在時の場合の家族安否確認)によっては、スマホ活用の参加で、場所と時間の制約を受けずに参加することも可能になるのではないでしょうか?スマホ利用が当たり前の小学生から現役世代までの参加協力関係が構築できれば、強力な組織体制となります。現行の防災・減災の活動における実務は必須ですが、さらに、スマホを活用する人材が参加することで、情報取集、地域連携、支援者層の拡大、外部協力者とのネットワークづくりに大きく貢献できます。
 まずは、防災・減災に関する支援をしたい方々を増やすことが第一です。この頃の防災・減災関連のセミナー会場には、女性も含め、現役世代の方々の参加が増えています。また、防災士の認定者も令和元年12月末現在で、185,249名です。防災・減災に関心を寄せている方々は、確実に増えています。後は、受入体制と思います。

5.まとめ

 防災リーダーの育成も重要ですが、防災リーダー候補を含む支援者層を拡大することです。その中から、防災リーダーが選任されることが必要です。地域特性も考慮し、A地区とB地区ではタイプが異なる防災リーダー像があっても良いと考えます。また、防災リーダーが被災し、不在でも対応できる準備と心構えが必要です。それは、災害発生時の支援する側、支援される側という決め事ではなく、支援した側と支援された側という結果論です。これから防災・減災に係ろうとされる方は、スマホで防災アプリにアクセスし、学習し、スキルを習得してください。そして、地区の自主防災組織体制への変革を目指して、積極的に参加活動されることを期待します。その活動から新しい防災リーダー像と組織体制の在り方が見えてくると思います。そのためにも、「自身が防災リーダーとして意識を持つこと」であり、支援される側とならないように、まずは、「自助」が重要です。以上

この記事を書いたプロ

児玉 猛

防災士の資格を持つ「防災・減災」の行動計画の専門家

児玉 猛(初動プロセスマネジメント)

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