マイベストプロ千葉
児玉 猛

防災士の資格を持つ「防災・減災」の行動計画の専門家

児玉 猛(こだまたけし) / 防災・減災のコンサルタント

初動プロセスマネジメント

お電話での
お問い合わせ
043-382-9622

コラム

自然災害から自身と家族の身を守るための自助

2019年12月3日 公開 / 2020年3月30日更新

テーマ:自助・共助・公助

コラムカテゴリ:くらし

1.「自助が最大の減災対応策」

 「自助・共助・公助」における効率的なバランスによる防災・減災の実施であり、大災害での各助の比率は、「自助7:共助2:公助1」と言われています。従って、誰か助けてくれるであろうという考え方は、楽観的であり危険です。また、比率の高い「自助」においても課題が多く、「共助」、「公助」とも同様です。課題解決を待っていては、「まさかの場合の対応は困難」となります。本コラムでは、各助の課題を再認識し、「自助が最大の減災対応策」であることを説明します。

2.自助・共助・公助の世論調査結果

 災害のイメージ調査(【図1】災害被害の具体的イメージ 出典:内閣府政府方法室「防災に関する世論調査」)では、地震の比率が高いようです。平成29年度の調査ですので、平成30年7月豪雨、令和元年台風15号、19号と大雨を経験しているので、次回の調査では、台風、河川の氾濫の比率も大きくなると想定しますが、今回は、震災を対象とした内容となります。

災害被害の具体的イメージ

 「自助・共助・公助」とは?と考える方が多いと思います。「自助」は、自分の命は自分で守ること、「共助」は、個人の力では限界があるため、近隣・地域で協力し合い、初期消火、救出・救援などの協働活動であり、「公助」は、役所、消防、警察、自衛隊などによる救助活動、避難所の開設、救援物資の支給、仮設住宅の建設などです。
 そこで、各助に対する意識調査(出典:内閣府政府広報室「防災に関する世論調査」)を見て見ましょう。「自助」の比率(39.8%)が高まって来ています。

自助・共助・公助の意識

 東日本大震災(平成23年3月11日)以降でも熊本地震(平成28年4月)、大阪府北部地震(平成30年6月)、北海道胆振東部地震(同年9月)があり、身近で多発しているため、次回の調査では、さらに、「自助」、「共助」に対する意識が高まると推測します。みなさんの意識は、どうでしょうか?「自助7:共助2:公助1」の比率を考慮すれば、もっと「自助」の比率が大きくなるはずです。

3.「自助・共助・公助」に見られる課題

3.1「自助」の課題

 大地震の備えとして、【図2 大地震に備えている対策】(出典:内閣府政府広報室「防災に関する世論調査」)に見られるように個々の対策が準備されていますが、50%未満の状況です。

大地震に対する備え

さらに、平常時での対策の比率が増えても、震災発生時(発災時)の行動(初動)については、大丈夫でしょうか?
 例えば、
 (1)家族の安否確認(不在時)
 (2)出火した場合(初期消火)
 (3)ケガ人が出た場合(応急手当)
 (4)閉じ込められた場合(救助要請)
 (5)電気、ガス、水道、通信などが使えない(生活インフラ)
 (6)避難路の確保(道路事情)など
幾つか列挙しましたが、これは、平常時の備えと災害発生時の行動そのものが伴わないと自身と家族の命が守れないことになります。

3.2「共助」の課題

 地区の防災活動の中心となるのが自主防災組織といわれる住民による活動組織です。そこで、全国の自主防災組織の状況【附属資料43 自主防災組織の推移】(出典:内閣府作成/消防庁「消防防災・震災対策現状調査」)は、平成30年4月1日現在で、組織数165,429、活動カバー率83.2%となっています。地方の方々は、町内会、自治会などへの加入が必須となり活動カバー率は高いと想定しますが、都市部近郊の自治体では、そもそも、町内会、自治体などに加入していない戸建や賃貸住宅の方々がおり、活動カバー率は60%台が想定されます。

自主防災組織の推移

 ここで、小生が今年(令和元年)の6月から9月にかけて、千葉県の市区町村58団体の自主防災組織の関係部署を訪問し、自主防災組織の課題について、簡単なヒアリングをした内容を列挙します。
 (1)地区防災計画を作成できない。(特に、被害想定)
 (2)組織のメンバー高齢化、さらに、存続が危ぶまれる。
 (3)防災訓練がマンネリ化している。
 (4)役員改選(1-2年)があり、知識・経験などの継続が難しい。
 (5)現状業務で手一杯であり、自主防災組織まで手が回らない。(町内会、自治会)
 (6)防災訓練の参加者がいつも同じメンバー(高齢者、母親と子供)に偏る。
 (7)行政側の課題
    ①形式的に自主防災組織を作ったことにより、実態(実行力)が伴っていない。
    ②対応職員の人数が少ない。
    ③資機材の予算が厳しい。
    ④住民に対して、強制はできない。
 以上の通り、少し生々しいですが、「共助」の中心となる自主防災組織からの支援も厳しいと想定します。
 さらに、防災訓練の状況【市区町村の防災訓練実施団体数及び訓練回数の推移】(出典:消防庁「地方防災行政の現状」)ですが、防災訓練の回数も頭打ちの状況が見られます。

防災訓練の実施団体数と回数

 また、防災訓練の参加状況【図3 防災訓練への参加・見学等の経験】(出典:内閣府政府広報室「防災に関する世論調査」でも、参加・見学などは、50%を下回る状況です。

防災訓練への参加

 このように、自主防災組織の力不足と防災訓練の経験不足により、支援者側と受援者側が合致していないため、「共助」へ依存することは厳しい状況です。

3.3「公助」の課題

 大災害の発生都度、自治体に対するマスコミの非難報道は、みなさんもお聞きになっていると思いますので、ここでは、省略しますが、自治体側としては、職員数も少なく、職員の方々も被災者になり得ることです。また、小生の住んでいる市の人口は、約49万人です。救急車は、12台です。普通消防車は、13台です。同時多発火災などの場合は、全ての火災発生家屋の消火活動、、全ての負傷者の病院搬送は、対応不可能です。助けなければならないのに、助けられない状況に陥ります。

4.まとめ

 誰かが助けてくれるであろうではなく、まずは、「自助」として、自身を守り、家族を守りましょう。さらに、余力があれば、「共助」として、近隣の方々を支援しましょう。近隣の方々の「自助」を支援することも「共助」と考えます。「自助」の例として、平常時は、災害保険の見直し、耐震補強、家具の据付補強、水・食料の確保、トイレ対策、安否確認の方法、避難路の確認、初期消火対応、停電対策(漏電対策)、応急手当方法、各種防災訓練参加、各種防災セミナー参加などがあります。並行して、それほど大きくない地震があった時、他人事ではなく、試しに、自ら行動して見ることで、タイムライン(時間経過と必要な行動)が把握、出来ること出来ないことを理解することができます。当然ながら、本人だけではなく、家族全員で進めることをお勧めします。そこで、みなさんへ申し上げたいことは、「自助が最大の減災対応策」という考え方です。自分だけではなく、家族の命も守るために、出来ることから始めましょう。

この記事を書いたプロ

児玉 猛

防災士の資格を持つ「防災・減災」の行動計画の専門家

児玉 猛(初動プロセスマネジメント)

Share

関連するコラム