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大河津克範

障がいのあるないにかかわらず話せない子に声と会話を育むプロ

大河津克範(おおかわつかつのり) / 施設管理者・児童指導員

児童発達支援こゑ

コラム

どうしたらいいの⑥はじめは挨拶から

2022年9月20日

テーマ:お子さんを知るための挨拶

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

コラムキーワード: 児童発達支援発達障害 支援子育て悩み相談

始めの実践は挨拶から


幼児は挨拶の体験がありませんから「美しい声」で実体験をすることから始めます。午前は「おはようございます。よろしくお願いします」午後は「こんにちは。よろしくお願いします」と大きな声で元気に挨拶してください。肝心なのはお子さんが注目する元気な声の挨拶です。くらい声や命令調で語尾下がりの声は厳禁です。
その際の注意点は文字にある通りの発音ではなく日本語の発声で行います。「オハヨ・オ・ゴザイマス。ヨロシクオネカ゜イシマス。」「コンニチ・ワ・ヨロシクオネカ゜イシマス。」となります。「おはよ・ウ」とか「こんにち・ハ」とならないよう特に気をつけてください。

療育終了の御挨拶は、これも美しい声で元気に「ありがとうございました」日本語の発声で「アリカ゜トオ、ゴザイマシタ」です。次に、大きな声でひと言一言区切りながらゆっくり「ア・リ・カ゜・ト・オ、ゴ・ザ・イ・マ・シ・タ」と発声し、少しずつテンポを早くしていきます。お子さんは、この早いテンポが意外と好きで、一生懸命ついてこようとします。なるべく多く挑戦させてください。そして最後に「アリカ゜トオ、ゴザイマシタ」と言って締めくくり。一人ひとりタッチして散会です。その時のお子さんの表情をしっかりみてください。始める前と比較して楽しいという笑顔があれば順調に成長している証明です。1つ1つの行動にもお子さんの表情に常に気を配り、成長の実感を確かめながら進める気持ちを大切にすることが重要なポイントです。ただ決められた事を淡々と行うのではなく、常に新しい変化を発見してください。わずかな変化を見逃さない集中力と観察眼が大切です。

余談ですが・・・


前回のコラムでお話ししたことで、なぜ「5・7」のリズムは発声・会話する上で実効性が高いかについてお話しします。
実は偶然のことからです。何気なく行っていたことで気づかされました。ある意味で、入所していた青年に気づかせてもらいました。教えられたと言ったほうがいいかもしれません。
千葉県の最重度知的障害者更生施設(当時の名称)の入所者に厚生労働省所管の長寿社会開発センター助成事業の一環として健康で長生きする「発声体操」の指導をすることになりました。
施設に到着して玄関を入るとその青年は玄関の壁によしかかり、上がり框に足を伸ばしてL字型に座って牛乳のロングパックをマイクの様に持って頭に打ち付けながら「ダー・ダー・ダー」と言っていました。あとで気がつきましたが彼は「ダー・ダー・ダー」しか言えなかったのです。
私が「こんにちは」と声をかけるとなんと彼は自分で自らの顔に5・6発ビンタをしたのです。はじめは訳も分からず「なんで」とびっくりしました。それが彼との最初の出会いでした。
それから毎月1〜2回の指導に行きました。内容は「あかはなは・・・」の合唱と「奥の細道の」合唱です。初めはっきり言える人はほとんどいませんでした。しかし、幸運だったのは、私たちの指導の間の日にパートの職員が自発的に同じ合唱を毎日やってくれていたことです。今思えばこの毎日の力が非常に大きかったと思っています。
例の彼は毎回参加しましたが、はじめは相変わらず「ダー・ダー・ダー」としか言いませんでした。ところが半年くらいもたった頃、奥の細道の俳句部分を「くさーのともーォー・すみかわるよぞーォー・ひなのいえーェッ」と和歌の節をつけて読んでいたら急に「アアーアアアーァー・アアアアアアアーァー・アアアアアーァッ」とその節を真似し出したのです。これにはびっくり!!「えっ」言えるじゃない。
この調子ならはっきり言える様になると「確信」しました。それから回を重ねるごとに彼は声もしっかり真似して「くさーのともーォー・すみかわるよぞーォー・ひなのいえーェッ」と高らかに歌い上げ始めたのです。「あかはなは・・・」が言える様になったのはその後でした。そして彼は、市が主催する障害者の文化発表会で施設の選抜約50人の一人として「奥の細道」の「くさーのともーォー・・・」の俳句を独唱したのです。なかなかいい声でしたよ。
 この出来事があって「5・7」のリズムの力を改めて認識する事が出来ました。日本の文化って本当に素晴らしいですね。彼は産まれて初めてはっきりした声を出したのです。
それから「あかはなは・・・」を暗唱し、会話ができる様にもなって行きました。そして私が「こんにちは」と挨拶すると恥ずかしそうに「こんにちは」と言える様になったのです。初めてあった時、彼がしたビンタは「こんにちは」の代わりにした彼なりの挨拶ではなかったかと気づきました。
挨拶って大切ですね。その一言で相手のことがわかる場合もあります。お互いの心を通じあう第一歩です。それだけにお子さんの顔を見たらしっかりと挨拶する事。その習慣を常に身につけ、その日のお子さんの変化を「よーく」観察し見守ることが大切です。ゆめゆめおろそかにすることは出来ませんよ。

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