立地、資金、外観、空間のバランスがカギ。〝住宅のコンシェルジュ〟が後悔しない家づくりをかなえます（2/3）

細部からニーズを読み取る観察眼。手描きにこだわり、打ち合わせ中にデザインを仕上げるスピード感

　今さんが生まれて初めて描いたデザインは自宅の間取り。11歳の頃、住宅雑誌で見つけた海外の家に憧れ、型眼紙に見よう見まねで描きました。それがそのままマイホームの間取りとなり喜んだのもつかの間、事件が起きます。

　冬、2階屋根から雪が落下。1階屋根に穴が空き、家族団らん中のリビングに雪が降り注ぐ事態に。時代はオイルショック。原油価格の高騰に伴い建築資材価格が上昇し、予算内で収めるために建築業者が手抜き工事を行っていたことが、その後発覚しました。
　「それからです。『しっかりした家を建てなくては』と思うようになったのは」

　大学の建築学科で学び、大手住宅会社に就職。営業職で入社しましたが住宅デザインに情熱を注ぎ続け、やがてデザイン推進室室長を務めるまでになりました。注文住宅、建売住宅などさまざまな物件を手がけてきましたが、共通点は、流行に左右されないシンプルさ。デザイナーとしてのモットーは「コンセプトを持たない」だといいますが、その心は？

　「コンセプトはお客さまの中にある。心の中にある夢を形にして、ご家族の笑顔が映える空間を作ろうとすると、自然に形ができてきます」

クライアントの話す内容はもちろん、雰囲気や話し方などからも好みやニーズをくみ取り、デザインを立ち上げていく今さん。タブレットにペンツールで手描きし、打ち合わせのその場で見せていくスピード感で、イメージを具体化していきます。SNSやクラウドビデオ会議ツールも使いこなし、さらに迅速な対応を目指しています。

＜次ページへ続く＞

【次ページ】大好きなふるさと、弘前の街並みづくりに意欲。フィッシングアドバイザーとしても活躍中

次のページへ