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佐藤暢也

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佐藤暢也(さとうのぶや)

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コラム

鷲谷歯科

医院紹介

2016年6月16日 / 2017年3月8日更新

歯科医療における回復室の有用性

はじめに
 現代日本は、長寿国になったと同時に、日本の高齢化率のスピードは年々増している。現在の速度だと、2050年には全人口の3人に1人が高齢者になるようだ。当院の来院患者においても、高齢者率が増加傾向にある。また近年、高齢者の歯科医療はインプラント手術をはじめとする口腔領域の多種・多用な手術施行と共に、術前・術中における全身管理の重要性が注目されるようになってきた。しかし、術後の患者管理までを考えた場合、まだまだ及第点にはいたっていない。その理由は、術後の注意事項や帰宅後の注意事項などの説明、及び文章を渡すだけで、実際にそれらの注意事項が守られているかどうかは患者任せであり、術者がコントロールできていないということである。また患者によっては、安静にしたくても安静にできない環境や理由が生じるかも知れない。そのようなケースを考えると、術者サイドで安静にできる環境を提供する必要が生じてくるのも当然の流れであるように思われる。

術後管理システムの提案 
 そこで当院は、開業8年目の2000年より医院内に2床の回復室を設けた
(図1)。2003年からは入院施設の申請・許可(1床48時間までとする)を取得し、患者の状況に応じて日帰り入院あるいは入院の措置を実施している。
17年経過した現在も高齢者は勿論、若い世代の患者にも認められており、価値のある設備投資と自負している。
 先般、私は当研究会主催の講演の機会に恵まれた。演題は、「インプラント
治療における回復室の有用性について」である。講演でも述べたが、回復室はインプラント治療の患者だけが利用する特別な部屋ではない。
治療内容に差別はなく有効に活用している。私の思う回復室の定義はこうだ、「回復室とは、手術(検査)前後の患者や不穏状態の患者、処置が多い患者、急変の患者等が多く利用する術後管理の個室である。

 本稿では、これまでの当院の回復室を利用した患者の動向や意識を分析し、今後の歯科医療に付加されるべき術者及び患者のニーズについて簡単に紹介したい。

回復室利用の目的 
 回復室の利用は、基本的に歯科小外科手術やインプラント手術などの外科的観血処置を実施した場合に、術後の安静や鎮静ならびに術後投薬やその経過観察を目的としている。ベッドの他に生体情報モニター(図2)、血圧計、酸素ボンベ、点滴のセット、AEDの常備、そしてテレビ・ビデオを常設しており、生体情報モニターは入院の場合、院内LANを経由して担当医が24時間体制で待機する当直にリアルタイムに表示される(図3)。
そして回復室を利用した患者は、当医院の入院定義に基づき「日帰り入院」と「入院」に分けられる。入院患者は単に安静な環境を提供するだけのケースもあるので、テレビ・ビデオは患者のリラックスを促すために常設されている。
 新設当初は、患者の予後を考慮して入院の選択肢もあったが、今では患者の生活スタイルをなるべく崩さないように、日帰り入院がメインになっている。
また、当直職員の負担を考えると無理のない選択でもある。
その最中、日帰り入院患者の場合は、手術や観血処置後の患者ばかりではなく、極度の炎症による体調不備や発熱、緊張状態や貧血などの緩和に利用されていることも多い。つまり、回復室とは術者・患者双方が安心を得るための施設といっても過言ではない。

回復室利用の動向と傾向 
 回復室の利用状況は、設置当初からデータを取っているが(延べ1,922人)、今回は平成27年の利用者の分析を報告する(延べ151人)。年齢別に観ても全ての世代が利用しているが、高齢者の割合が最も多い。男女比率は、女性66%(100人)、男性34%(51人)と圧倒的に女性が多い。理由の一つに、当院では家事に携わる女性に対して安静環境を与えるために回復室の利用を勧めている。家事をこなし家庭を守っている女性が、帰宅後に安静な環境を得るためには家族の協力が不可欠であることはいうまでもなく、家族が半ば強制的に安静状態に誘導しないと現実的に安静の状態をえることは難しい。これらのことを考慮すると、医療供給サイド(術者側)が術後の安静期間までを治療範囲と判断して、患者を強制的に管理した方が合理的だと考えている。



日帰り入院患者の利用目的
 利用状況では、「外科小手術 59人」と「急性処置 44人」の2項目で68%を占めている。次いで「インプラント手術 35人」の23%となる。
抜歯については、その難易度によってインプラントの埋入手術よりも患者への外科的侵襲が増大する。下顎の大臼歯(特に智歯)などは骨質が硬いことも手伝い、難抜歯になることが多い。また、上顎においても上顎洞と近接した位置に根尖が存在する場合は、上顎洞への穿孔を警戒する必要があるが、抜歯窩へコラーゲン製剤を填塞することで問題なく治療することが多い。とはいっても、それは術者の管理下にあることが前提であり、そのためにも抜歯後は回復室を利用してもらい、最短でも麻酔果が消失するまでは経過を観察するようにしている。他に患者の体調不慮や、受診による極度の緊張状態が貧血や呼吸困難を引き起こしている患者の利用もある。
 特に観血処置を受けたわけでもない一般臨床患者においても、これだけの回復室利用頻度があるということは、歯科小外科手術やインプラント手術の術後管理のためにこのような回復室の必要性が高まっているのではなく、歯科医療全般的に処置後のケアが求められているのではないだろうか。

おわりに
 歯科医療は補綴物依存型の治療から、生体の治癒能力を最大限に利用した再生医療が注目されている。それに伴い治療技術や治療理論はより高度になり、より繊細になってきている。このような再生医療を応用した歯科先端医療を成功に導くためには、生体の治療転機をコントロール下におく必要がある。
 近代歯科医療においては、術後管理までを治療の一環としたシステムづくりが非常に大事だと思う。そしてそのためにも治療後の回復室の存在が重要であると考えている。また、今では当院職員がリネンとベッドメイキングも素早くこなし慣れたもので、いつでも患者を迎い入れる準備ができている。




                               鷲谷一晴
                    医療法人晴功会 わしや歯科医院
医院HP http://washiya-dentalclinic.com/

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